「マクロスFRONTIER[フロンティア](TVアニメ動画)」

総合得点
88.8
感想・評価
3910
棚に入れた
18341
ランキング
99
★★★★★ 4.1 (3910)
物語
3.9
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.6
キャラ
4.0

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退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ロボット物の入り込みにくさを恋愛要素で柔く入りやすくした作品

■ロボット物の入り込みにくさを恋愛要素で柔く入りやすくした作品

『マクロスシリーズ』といえば、『ガンダム』に並び立つロボット物として、一部の層から支持を受ける人気シリーズです。アニメを少しだけ知っている方なら、本作を名前だけでも知っている人も多いかもしれません。
ロボット物というと、一般人からすると入りにくいとか、変テコで手に取りにくいとか、そういう感覚が少なからずあると思うのですよね。本作は、そういう「入りにくさ」を出来る限り脱色している作品です。例えば、キャラクターデザインをリアリティのある大人っぽい物にしていたり、恋愛要素を加えたり、作中に菅野よう子さんの音楽を積極的に持ち込んだりして、お定まりのロボット物にならないようにしています。
ロボット物で言うところの、機体が凄くかっこいい事をアピールするシーンがあからさまではないのです。さり気なく、そういうシーンを組み込んできますから、ロボット物としての癖が少なくて、ロボット物に慣れていない人でも、観やすいのです。
本作は、戦闘よりも「人間ドラマ」を全面的に押し出していますから、ますます「癖」は少なくなりますよね。ロボットが活躍するというよりかは、人間が中心となって話が進んで行くので。若い人をターゲットして作られているので、前半は過激な描写(死の描写や憂鬱とした描写)が少なく、後半のための「人間ドラマの掘り下げ」に時間を費やしています。
こういう細部に渡って、ロボット物に慣れていない方でも、入り込めるように工夫していることが、『マクロスシリーズ』に若年層を取り込めた大きな要因になっているのです。

■揺れ動く三角関係

この作品の魅力の一つとして上げられるのは、揺れ動く人間関係です。最初は、「ランカとアルトが付き合うのかな」と思わせるような伏線を張っておき、後からシェリルとアルトを急接近させたりとか、シェリルとアルトが良い感じになってきたら、今度はランカにスポットを当ててあげたりだとか。
ランカというあどけなくて可愛らしいヒロインと、シェリルのような大人っぽくて我が儘なヒロインを使って、主人公のアルトと接触させたり突き放したり、バランスよく両ヒロインがアルトと絡むように作られています。この何とも言えない三角関係が、どちらと結ばれるのか予想が出来ないハラハラドキドキの展開を作り出しているのです。

■でも、細部まで見てみるとちょっとライトかも。

世界観はとても壮大なのに、そういう恋愛関係や人間関係などを中心にストーリーを進めていきます。若年層をターゲットにするのなら、それは仕方ないことなのかもしれませんが、SF的な濃さを求める人にはちょっとライトかもしれませんね。おすすめしません。
色々な要素が混ざっているので、SF的な要素は薄味になっている感じがするのですよね。そう考えると、この作品は恋愛物として観た方が良いのかもしれません。

マクロスシリーズに新しい顧客層を取り込みたいという狙いで作られた作品なので、商業的に考えれば基本的な戦略目標はクリアしています。それに恋愛物として上手くまとまっていると思うので、私は満足しています。

■やっぱり歌アニメ。

「SF・ロボットアニメ」とwikiを見ると書いていますが、全く宛にしないでくださいね。
本作の魅力は、揺れ動く三角関係と菅野よう子の楽曲とシーンがマッチしていること、付け加えれば世界観の一部を押し出していることでしょうか。前述した通り、世界観を押し出すにしても、人間関係を中心に描いているので、「壮大さ」は最初のナレーションでしかアピールが出来ていません。「壮大なんだろうなぁ」っていうのは舞台や背景から物凄くアウトピットされています。
マクロスシリーズで、登場した背景や場所がマクロスFで使われていたりしています。何というか、それも踏まえてなんですけれど、マクロスF全体から、「この世界観は壮大だけれど、フロンティアでは一部しか描かないので、気になる方はシリーズを見てくださいね」というような遠回しな宣伝が見え隠れしているように感じるのですよね。

そういう宣伝も踏まえてなのか、はたまた、ただ単に音楽的な楽しみを付加したかっただけなのか、本作では、菅野ようこさんの楽曲が物語の山とも言える部分にたくさん使われいます。それはもう頻繁に。というか、これがマクロスFのチャームポイントなんでしょうね。


それで、その音楽の使い方がとても上手いのです。例えば最終話の敵と戦う場面でも、娘々メドレーが使われていて、音楽と映像がかなりマッチしていました。勢いのある曲、BPMが速い曲では熱いシーンや台詞を加えて、静かな曲、BPMが遅い曲の場合は、回想シーンや不利なシーンなどを入れるとか、とにかく曲とストーリーがマッチしているのですよね。
加えて、曲のクオリティも高いので、アニメが終わった後に、「もう一度、曲を聴きたいなぁ」という風なことを思ってしまったり。やっぱり歌アニメ。
歌の力で、ワンシーンから抱く感情が倍増します。音楽は人の心を動かすこともあると言いますが、マクロスFでは、それが顕著に現れていたと感じました。

■総評
若年層を取り込むために作られた作品なので、SF的な濃さや難しさを求める方にはライトな本作ですが、恋愛物として観ると、揺れ動く三角関係が繊細に描かれていて、尚且つ、音楽とストーリーがマッチしているので、クオリティが高い作品です。

恋愛物が好きな人とか、ロボット物を敬遠していて、ちょっとだけロボット物に触れてみたい方におすすめしたい作品です。


■投稿日
2014.09.17

投稿 : 2014/09/17
閲覧 : 315

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