Ellue さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
愛と信頼と絆を描いた傑作
原作未読。
話の構成の凄さに感服いたしました。
3話に至るまでに完全に魅了されていました。
全く知識がなければ1話が終わって「えっ!?」ってなると思います。
2話で全く違う物語になってしまったのかと思う展開に驚かされ、
3話から10話に至る物語が2話に繋がっている構成になります。
12話の結末を盛り上げる為に丁寧に2人の主役の関係を描いています。
剣や銃器と言った現実味のある武器と霊獣と言った非現実的な怪物を使役して戦う
いわゆるバトルものと言うことになるのでしょうか。
科学的なものと日本の古風な退魔師的な能力が入り混じってバトルを繰り広げます。
バトルの作画や演出も非常に綺麗かつ時に熱く、時に切なくて魅了されました。
そして、この作品の魅力の一つがバトル以外のところとなります。
先述の様に主役と言える登場人物は神楽と黄泉の二人です。
最初からみていけば、二人は敵同士のような関係です。
でも神楽の様子は敵と対峙するそれではなく、
黄泉が一方的に神楽に攻撃を仕掛けています。
その謎は、3話から始まる物語に描かれている仕組みです。
その物語の中で二人は出会い、血の繋がりはなくても実の姉妹の様に
それ以上の関係のように仲良くなっていきますが、
ある事件を期に黄泉は悪霊と化してしまい神楽達と敵対する存在となる
模様が描かれています。
それが2話に繋がり、神楽と黄泉の物語の結末へと進んでいきます。
神楽の成長が物語にケリをつける形になります。
剣の腕でも当初は黄泉には遠く及ばなかったものが
互角以上に渡り合えるようになったのもそうですが、
人間の原形をとどめた様な悪霊に憑依された敵には
剣を向けることも出来なかった神楽が、最後は黄泉と対峙する事ができた。
母が亡くなりどうしようもないほど落ち込んでいたが、
父がなくなった際には、一人で乗り越えることが出来て戦いに赴くことも出来た。
そして、そこまで自分を強くしてくれた黄泉と決着をつけても
それを背負い、前に進んでいくことが出来た。
そういったもの全てを含んで最後に黄泉は神楽に
強くなったと言っていたのだと思います。
黄泉も最後の最後まで強力な力に支配されながらも心底にあったのが
神楽を守ると言うずっと変わらない気持ちであったことが感動を誘います。
ダークな部分も多分に含んでいて、バトルものなのでその中で命を落とす
キャラもいたりしますし、描写も残虐なところもあったりします。
エキサイティングなバトルと言うわけではなく重い展開のものが多い為、
バトルものとして観れば面白みに欠如しているように映るかもしれません。
この作品で見てほしいのは剣と剣のぶつかり合いではなく、
神楽と黄泉を中心とした心理描写なのだと思います。
私の場合、逆に引き込まれてしまった訳ですが、
1,2話の構成で取っ付き難いとの声もあるようなので
何とか3話まで辿り着き、結末まで見て欲しい名作です。