migratory さんの感想・評価
2.8
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:今観てる
スラムダンクよりドラゴンボールとして見る
バレーボールのルールを知らない自分にとって、理解しやすい、見やすい作りのアニメになっていると感じます。
スポーツマンガとしても質が高く、アニメーションになってスパイクなどバレー独特の動きなど一層動きに迫力が加わっているかと思います。原作はほぼ未読の感想になります。(否定的な意見も含むのであらかじめ了承ください)
宮城県立烏野高校排球部のエース「小さな巨人」に憧れ、バレーボールを始めた小柄な少年「日向翔陽」。彼が中学時代に初めて出場した最後の公式戦で惨敗した相手「コート上の王様」と呼ばれる天才セッター「影山飛雄」にリベンジを誓うのだが、憧れの烏野高校の地でその影山とチームメイトとして再会する。。。日向は当然影山をライバル視するのだったが、自身の反射神経と瞬発力を活かせる存在というのが、他ならぬ影山であった。
かつて強豪と呼ばれた宮城県立烏野高校排球部は、現在では昔ほど強くはなく良くて県ベスト8、特別強くも弱くもない。
「落ちた強豪"飛べない烏"」そう呼ばれるようになっていた。
そこに日向や影山などの新入部員、そして強豪と呼ばれていた時代の監督、烏養の孫・烏養繋心をコーチとして迎え入れ、独りでは見ることの出来ない「頂の景色」を見るため、烏野高校の仲間達と共に再び全国の舞台へ目指していくことになるのだった。
中学時代には独善的で勝利にこだわりすぎるあまり(自己中の)王様と呼ばれていた影山だが、トスを見ずにスパイクを打つ「変人速攻」やその俊敏さを生かしたおとりの役目を見出された日向と組むことで自身の力を最大限に発揮しようとしている。
彼らは一年生でありながらレギュラーを奪い、すでに戦いの基盤を成している。そんな戦いの図式が出来上がってゆく点にこの物語の面白さがあると思います。
それはもはや異常な強さに切り替わっているといっても過言ではないと思います。
たとえば、烏野高校のエース・3年の「東峰旭」が過去の試合で挫折した経験からバレー部を離れていたというドラマを持っていながら、二人の存在の前には日陰の存在で可哀想だと思えるほどに、実は二人は天才なんじゃないかとの疑念が持たれます。
第20話「及川透は天才ではない」はその象徴的な回。
及川徹は青葉城西の3年で主将。甘いマスクで女子人気が高い点やチームを指揮するカリスマ性などから天才性が見られるが、努力を惜しまないという一面を持つ。彼の努力というのは、翌日試合を控えているのにもかかわらず、また、疲れているのに関わらず対戦相手のビデオを見るなどして徹底的に分析や見立てをする。それはさまざまな視点から視野を広く持っていたいとの表れだろうか。つまり、天才的であるというのは視野が狭いということでもある裏返しではないだろうかと考えられる。
一方の彼ら(烏野高校)は決して努力をしていないということではないが、及川の場合、無数にある選択肢の中から相手高を倒すべくの取捨選択をしているといった、天才的というより努力家としての印象が強い。そのため彼の役割であるセッターというポジションは劇中でも言われていたが、周りを上手く引き出す指揮者という表現が適切ではないのだろうか?
その及川に対峙するのが、日向や影山である。特に北川第一中時代、及川の後輩でチームメイトだった影山にとっては手本としていた人物であり、及川譲りの強力なジャンプサーブを武器に持つほど影響力は強い。それだけに影山は及川との対戦で心乱されてゆく。
日向や影山の主人公目線で物語が次から次へと展開されてゆく。けれど、視点が限られているということでもある。
それが天才なのだということでもあると思います。その天才性の証拠に青葉城西との試合から以下の疑問を挙げてみた。
・何で監督は一瞬の出来事である月島のアタックを打ちにくそうだと言い放ち、しかもそれは心的ポイントなのに目視で判断できるのか?そして、瞬時に見抜いて解説できるのか?
・なぜ月島は決してよくは思ってない影山に直接、しかもわざわざ嫌な気持ちを言えるのか?
・更に一度のトスでそれが自分に合わないと見極められる判断力や、言いたいことも言えないこんな世の中に言いたいことを言っても咎めないチームの雰囲気、それでも成り立つ関係性の有り方が出来すぎている。
・その直後、言われたことをすぐさま実行に移す行動力とアタックを決めてしまえる圧倒的天才性(影山も月島も)とでも言える確実にポイントを決める攻撃力は驚くべきことである。
これはもう、烏野が天才集団といわざるを得ない。そんな天才たちの集まる烏野高と戦う相手高が可哀想に思えてくる。
特に、アニメ終盤であるこの展開を盛り上げるvs青葉城西戦の試合は、及川が天才な人物なのではないと理解してからは、青葉側に同情してます。せっかくのヒソカ&ボマーのタッグ(風早くん&ボッスンのイケてる主人公とイケてない主人公、夢のタッグとも言う)も豪華な布陣と思えなくなります。
もはや踏み台にして自身の天才的な手腕で魅力性を高めようとする工作にはぐうの音も出ません。三段階もパワーアップしたのに超サイヤ人になって圧倒的な力の差を見せ付けられるような、まるでヤムチャのような、寂しい気持ちになります。
もう少し、及川が他のチームメイトとのコミュニケーションの仕方に違いがあったり、感情の見せ方が上手かったりすれば魅力的な人物になれるのにと思ったり。どちらかというと、母性をくすぐるキャラクターになっていると感じるので、幼馴染である岩泉一のほうが実は精神的に強いのか、とも感じてます。たしかに、どこまでも対戦相手を分析しようとする姿勢は自信のなさとも言えるのか…。
色々と書かせてもらいましたが、原作より見やすくなっていることは間違いないと思いますのでオススメな作品です。