てとの さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ホームズ
イタリアの国営放送局RAIが、イタリアの民間制作会社REVERに制作を発注。REVERが日本の東京ムービー新社に共同製作を持ちかけて、実現した日伊合作作品[2]。実際の制作は東京ムービー新社傘下のテレコム・アニメーションフィルム(以下テレコム)で行われた。
日伊同時放送の予定で1981年4月に制作が開始され[3]、当初はテレコムの若手中心で制作して宮崎駿はバックアップする予定だったが、結局は宮崎駿が監督に就任した[4]。
1982年に6話分を手がけたところで、制作は一時中断。フィルムにまでなったのが4話分で、絵ができあがったのが2話分の状態だった[3]。中断の理由はシャーロック・ホームズシリーズの原作者のコナン・ドイル遺族との間の権利問題が解決しなかったためと言われていたが[5]、制作担当だった竹内孝次によれば、著作権獲得の交渉を任せたイタリア側の動きが遅かったため、日本側が見切り発車で制作に突入したものの、テレコム側がアニメ映画『ニモ』の制作をすることになったため、制作が中断したとのことである[4]。片渕須直は、制作中断の理由をイタリア側からの送金が途絶えたため、と説明している[6]。
お蔵入り状態になった本作を誌上で度々紹介したり、イベント上映していたのが徳間書店の『アニメージュ』誌であった[7]。そして、徳間書店が製作した宮崎駿監督の劇場アニメ『風の谷のナウシカ』の同時上映作品として2本が選ばれ、1984年3月に陽の目を見ることになる。
この映画館での公開が決まったことがきっかけとなり、1984年2月頃には広告代理店がテレビのスポンサーの獲得に動き出し[8]、制作も再開。テレビ朝日が放送することも決定した。
宮崎を継いで監督したのは、『ルパン三世 (TV第2シリーズ)』での演出担当のメインスタッフだった御厨恭輔。東京ムービー新社からの発注で、制作部門を備えて間もないスタジオぎゃろっぷが月に2本から3本をグロス請けして、制作の中心的役割を果たした[9]。
なお、原作問題が解消されなかった劇場公開版ではコナン・ドイルが原作ではないと断りがあったが、テレビ放送の際には原作者としてコナン・ドイルがクレジットされている。
イギリスに留学していた夏目金之助(夏目漱石)や、始まったばかりの郵便飛行機が登場するなど、1900年前後のイギリスという舞台設定を活かして話が作られている。「まだらの紐」や「青い紅玉」「技師の親指」など原作のモチーフが登場し、原作の愛読者にとってのささやかなファンサービスとなっているが、『バスカヴィル家の犬』は子供向けでないとしてイタリアのRAI側から却下され、原作のような不気味な雰囲気は抑えられる結果となった[10]。
テレビ版のホームズ役を演じているのは、イギリスのコメディ番組『モンティ・パイソン』や多くの洋画(イギリス映画007等)の吹き替えで有名な広川太一郎である。また、モリアーティ教授を大塚周夫が演じている。
映画版2編のホームズ役の声は柴田侊彦が演じた。
なお、REVERのマルコ・パゴットとジー・パゴットはその後『モンタナ・ジョーンズ』でも日伊共同作品を手がけている。
自分的にはよいアニメです。