「ぎんぎつね(TVアニメ動画)」

総合得点
67.5
感想・評価
703
棚に入れた
3491
ランキング
2434
★★★★☆ 3.5 (703)
物語
3.6
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

神道系+日常系+ちょっぴりジュブナイル。地味だが温かみのある良作

神使(しんし)と呼ばれる、神社に住む神様の代理的な存在が視えて意志を通じる事が出来る少女と少年が、神使と交流したり、普通に日常を過ごしていく。
特別深く感動したり強いインパクトのある物語ではなく「神使も身近に居る何気ない日常」を描いた神道系+日常系アニメ。
感動も萌えも地味だけど、独特の空気感・雰囲気が微笑ましく、温かみのある良作だと思う。
いわゆる雰囲気アニメ、序盤時点で退屈を感じてしまう視聴者には不向きかもです…。
※ログホライズンと放送局が逆じゃね!?と思ったのは私だけではないハズ!


{netabare}『物語』
ヒロインのまこと、まことの家(神社)に居候する事になる少年・悟(さとる)は神使が視えて話せる以外はごく普通の高校生、他に特別な力は無い。
神使の銀太郎やハルも、多少の神通力はあれど、特に大きな奇跡を起こせるワケでもない。
まことにとって銀太郎達は、ただそこに居る存在。いつも傍に居てくれる存在。
本作のストーリーは特に大きな波乱やイベントが起こるワケでもなく、まこと達人間と銀太郎たち神使が淡々と平凡な日常を過ごしていく感じ。
その過程で、まことや悟以外の神使が視えない普通の人間たちも、神社やまことを通して、ごく自然に神使の存在感に知らずの内にふれ合っていく。
その関係性を、神社や神道の小ネタを交えつつ、銀太郎やハル達を通して、親しみやすく伝えてくれる。
その静かな雰囲気というか空気感が本作の魅力で、日本人古来の神様と人間の繋がりを、現代の普通の人々(本作のキャラや、私達視聴者)に思い出させてくれるのが良い感じ。
時代が移り変わっても、神社という聖域で昔からずっと変わらず、見守ってくれている存在が(もしかしたら居るかも!?)
このアニメを観て、神社を訪れた際に、神社を見る目が少し変わった気がします。

「神様(厳密にはその代理的存在)が視える神社の娘が主人公の、日常系アニメ」
本作は感動系ではなく、日常系寄りのほのぼのした雰囲気が持ち味かも。
まことは友人達と一緒に遊んだり会話したり、普通の女子高生らしい地味な日常回が微笑ましい。
萌え特化アニメではないので萌え的には地味だが、皆可愛く良い子ばかりなので、個人的には日常系として十分以上に楽しめました。
萌え的には、悟に甘えるハルちゃん見てるだけでほほえまー、な気分になれる♪

一方で悟は親を幼くして亡くした後、イヂワルな親族のせいで居場所が無かったネガティブな状況であったが、まことやまことの父、剣道部の部長らとの交流を通して成長していく。
幼い(といっても80歳超)神使のハルは悟にとって大事な存在だが、ハルだけではなく、もっと大人な銀太郎の存在も大きかった。
特に説教じみた話や展開は無く、ごく自然に人と神使、そして人と人との関係性の温かさや大切さが伝わっていく、丁寧な交流が良かった。
大きく盛り上がるイベントでは無く、地味な日常回(神使たちとの交流含む)を通じて徐々に気付いていく、地味ながらジュブナイル作品としても良作だと思った。

ラストはまことの家の神社が行う神事で幕を閉じる。
今まで何気ない日常で出逢ってきた友達や関係者たちが神社に集まり、父の祝詞と共に、神事を取り行う。
決して厳粛なワケでもなく、お祭り的な楽しさ、けれど同時に神社という「ずっと昔から繋いできた」場が、特別で大切な場所に思えた。
特別大きな波乱や深い感動がある物語では無いが、神社に皆が集うラストに、本作特有の温かい空気感を感じ、視聴後に満足感(と終わってしまう寂しさ)を覚えたのです。
しみじみと良作だと思う一方、凄く深く感動する程でも無い為、点数は辛めに4.0点です。

※余談、夏目友人帳との比較
あにこれのレビュー拝見させて頂くと「夏目友人帳」との比較を論じておられる方が多い模様。
確かに不思議な存在が視える主人公、妖怪(本作だと神使)とのコンビという共通項はあるが、両作品は完全にコンセプトが違うと思う。
本作は夏目友人帳程に深く感動して泣けるレベルの話は皆無なのだが、じんわりと温かい余韻を残すタイプ。
前述したが本作は「神道舞台の日常系、雰囲気アニメ」なのです。
夏目友人帳は文句無しの名作級だけど、ぎんぎつも甲乙付け難く大好きです。


『作画』
同時期の萌えアニメ等に比べるとかなり地味ではあるが、落ちつきのある良作画で個人的には好み。
まことちゃんは原作よりかなり可愛いです。
神使は子狐神使のハルちゃんが非常に可愛い!
神社の神聖にして温かみのある雰囲気をバッチリ表現していた背景作画も優秀。

『声優』
まこと役の金元寿子さんの、素直な可愛さのある声が良かった。
それ以上に藤村歩さん演じるハルちゃんがあざとい可愛さ♪
男性陣が燻銀のベテラン多く、三木眞一郎さんの銀太郎、井上和彦さんの金次郎が渋くてカッコイイ。
カッコイイおじさん、義友おじさんを平田広明さんが好演。
まことの伯母の江津子姉さんは田中敦子さんの姐御肌。
悩める悟を救ってくれた良き先輩きぬちゃんを小野友樹さん「いーじゃん別に!」
その悪友のアホ生徒会長の杉田智和さんも杉田さんらしい持ち味だったw

豪華声優陣と言っても良い中、一番の見所はまことの父・達夫役の関俊彦さんだろう。
飄々としてどこか抜けているけれど、優しく不思議な包容力のある素敵な父親にして、神使は視えなくともしっかりと繋がっている好人物。
その温かみのある人柄を遺憾なく発揮していた関さんこそ、本作のMVPだと思う。
最終回の祝詞は本職の神職に比べ下手だったかも知れないが…いーじゃん別に!

『音楽』
OP「tiny lamp」ED「月光STORY」共に、本作特有の雰囲気や主題を的確に歌い上げている良主題歌だった。
特にOPが素敵な歌で大好きです。アップテンポで前向きな曲調の中にしっかりとテーマを盛り込んでいる。
特に大きな波乱や深い感動があるワケでもない地味な本作の、本当の良さや持ち味を、完璧に捕えていて素晴らしい。
「ずっと昔から紡がれてきた時間」「私にそっと囁きかけるよ、ああ~、僕はいつもここだよ」
特に「ああ~僕はいつもここだよ」のシーンで銀太郎に乗って天真爛漫に微笑むまことちゃん可愛い!
この辺りで少し胸が熱くなります。
本作を最後まで視聴すると、本当にこの歌とこの作品に込められた意味が分かり、しみじみと心に染み入ります。
ちなみに作曲者もこの歌詞には感情移入されたそうです。
作中BGMのクオリディーも申し分無し。

『キャラ』
まことちゃんは萌え系アニメの萌えキャラに比べ地味ではあるが、素直に可愛くって好き。
感情は豊かで怒ったりスネたりもするけれど、心が素直で優しい、良い子。
神使の銀太郎が傍にいてくれて、また素敵なお父さんと一緒に育った事で、良い子に育ったんだな~というのが滲み出るような良い子。
NHK教育のアニメヒロインが務まりそうです。(ログホラと放送局交換すべき)
銀太郎はツンデレ、普段はめんどくさがって動かないが、結局まことちゃんを助けてくれるナイスガイ。
子狐神使のハルちゃんが非常に可愛い!
悟君の成長物語な側面が強いので、彼や剣道部部長との交流が良かった。
まことちゃんと悟君、年頃の男女が一つ屋根の下で暮らしてるのにドキドキなイベント一つ無かったのは残念、いや本作には不要な要素か。
各話に登場するゲストキャラの神使たちがいずれも魅力的で時に楽しく、時に心温まる。
まことの友人達も良い子多く、おじさま好きの日輪子お嬢様は良い眼鏡っ子で可愛かったw
お嬢様に密かに想いを寄せる秘書氏も純情、ラブコメ要素はヒロイン組を差し置いて彼が担当していた。

本作で一番魅力的な人物は、まことの父の達夫だろう。
となりのトトロの姉妹の父を彷彿とさせるような良き父親で、彼の娘ならまことちゃんも良い子に育つだろうなーと思った。
神使が視えるかどうかは関係ない、大事なのは、視えないけれどソコに居る存在を敬う心なんだと示してくれる。
達夫こそ、ぎんぎつねのテーマを体現しているキャラクターだと思う。{/netabare}

投稿 : 2014/09/10
閲覧 : 400
サンキュー:

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