れのん。 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ノイタミナ枠の名作・ダイキチがりんちゃんを育てる姿に、目から汗がとまらない。。。
原作既読。
ノイタミナ枠の名作。
実写映画化もされましたが、自分は、映画版は好きでなく、原作とアニメが大好きです。
仕事はできるが、不器用なところのある、30歳の独身男ダイキチが、母方祖父の葬式で、6歳の女の子りんちゃんと出会い、義憤と勢いから、りんちゃんを引き取って育ててしまうことになる。
子育てがテーマの作品だが、女性でなく男性による慣れない子育ての物語で、しかも、主人公が育てる女の子は自分のこどもでない。こういう設定が、視聴者に大きな感動を与え、子育てについて考えるきっかけをあたえている。
とにかく、りんちゃんがとっても可愛らしく、さまざまなほのぼのとしたエピソードや、会話のやりとりに、とても感動させられ、目から汗がいっぱいでました^_^;
ダイキチは、ほんとによくがんばっている。実際には、ダイキチのように、会社で残業のない部署へ配置転換されることを選ぶのは、相当重い選択であるはず。それを、やってのけて悔いることなく、りんちゃんのために、抜けた乳歯を記念に入れておく入れ物のことにまで、「ぬかったー!」と、どきどきしているダイキチは、ほんとうにかっこいい。
これまで、さまざまな小説や漫画やドラマやアニメで、「かっこいい」登場人物にはいろいろ出会ってきたが、ダイキチのようなかっこよさはまったく初めてで、しかも、文句なしに、男として第一級のかっこよさだ。
この作品(アニメ、原作1~4巻)は、あくまで、現実にはまずあり得ないようなフィクションである。いや、ある意味では、ファンタジーなのかも知れない。ダイキチの職場での葛藤や、子育てをめぐるさまざまなエピソードなど、かなり現実世界に近いような描かれ方で好感が持てるが、かといって、物語のすべてが、現実世界でのリアリティに即したものだとは思われない。
例えば、物語の発端で、育児にもっとも遠い存在であった独身男のダイキチがリンを引き取ることになり、ダイキチの両親が引き取ることにならなかったのは、よく考えてみると、かなり不自然なような気もする。また、リンは、ある意味、理想的な子供のように描かれており、子育てのポジティブな面ばかりが強調して描かれている印象が強い。
しかし、原作者が1~4巻で伝えたかったメッセージは、「子育ては、一見、犠牲のように見えるかも知れないが、ほんとうは犠牲ではない。子育てには、なにものにもかえがたい、よろこび・しあわせがある」ということであった。この物語の、現実にはまずあり得ないような展開や、強調のされ方は、上記のメッセージを伝えるためのものであったと理解される。
ちなみに、どうでもよいことかもだけど、ダイキチが実の娘でもなく養子でもないりんちゃんを引き取り、小学校でも保護者になっているのは、アニメや漫画では描かれていないけど、いずれかの時点で家庭裁判所によって、未成年後見人に選定される手続きをしたものと、推測される。そうでないと、生活しているさまざまな場面で、法的にいろいろやっかいなはず。
なお、このアニメは、原作漫画の1巻~4巻までの、りんちゃん6~7歳時の物語である。原作漫画5巻以降では、時間がとんで、りんちゃんは高校一年生(回想シーンで中学生)になる。アニメ化された原作前半と、第5巻以降とは、テーマがまったく異なっている。
非常にしばしば、原作の結末部分(第8巻後半から第9巻)について、賛否両論(どちらかというと、めだつのは、原作の結末への強い批判)があり、それは今日まで続いてしまっている。
原作についてのレビューは控えるが、原作の結末への賛否両論が、この傑作アニメにわずかでもマイナスの影響を与えることがあれば、それほど残念なことはない。