STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ポップ感溢れる残酷な世界
原作は未プレイ。
設定のベーシックな部分は既存のミステリーやデスゲームものにあるようなもので、それほど
斬新さは感じないが、その上に乗っかる世界観や登場キャラが結構ぶっ飛んでいて、その辺が
この作品の個性かなという感じ。
キャラに関しては容姿からして濃いメンツが多いが、舞台が閉鎖空間ゆえに各キャラの行動
などはある程度似通ったものになってしまう。それゆえに各キャラの差別化を図るためにも
ここまで濃くて正解かなという印象。
ストーリー展開的には主人公の苗木 誠や霧切 響子が中心となるが、他に印象度が
高かったのはぶっ飛び具合が凄かった腐川 冬子、というよりジェノサイダー翔、
コワモテの容姿とは裏腹に良心の固まりのようだった大神 さくらが印象的。他に疑心暗鬼的
状況の中、友情に厚かった石丸 清多夏や朝日奈 葵はいい子だなあといった印象。
しかし、希望ヶ峰学園の生徒以上に印象度が強かったのはモノクマ。「ドラえもん」以来
アニメで大山 のぶ代の声を聞くことができたのが単純に嬉しかった。
序盤から中盤までは誰かが死んで、その犯人を捜しての繰り返しだが、初っぱなにいきなり
メインヒロイン的雰囲気だった舞園 さやかが殺されてしまったのはびっくり。こうなると
苗木 誠は別にして、もう誰が死んでもおかしくないといった感じで、ちょっとした緊張感の
ようなものが出てくる。
各殺人事件のトリックなどは正直それほど凝ったものではなく、更に学級裁判上で後出し
証拠のようなものも出てきたりで、視聴者が犯人捜しをするような作品ではなさそう。
むしろ加害者と被害者の背景に興味深さを、犯人特定後のお仕置きなどに面白みを感じたり
した。
このお仕置き(まあ処刑だよね)や次々と起きる殺人事件など、よくよく考えると結構血生臭い
展開なのだが、殺害現場の血はピンクだったり、お仕置きはポップでコミカルなタッチで
描かれたりして、いわゆる通常のグロさはかなり緩和されている感じ。ただ残酷なお仕置きが
楽しげに描かれたりすることで、返って薄ら寒さを感じたりもするが。
中盤以降はモノクマと生き残った生徒達の対決モードに移っていくが、ここで真相が明らかに
なると、結構スケールの大きな話だったようで、それなりのインパクトはあった。
テーマ自体は希望と絶望の戦いという、割と少年漫画にあるようなものではあったけど、
こういうベタなテーマは嫌いじゃない。
展開自体は割と面白かったのだが、事件が起きて、それを解決してのくだりは正直
せわしなく、はしょっている感があった。
結局は1クールゆえの弊害なのだろうが、日常におけるキャラ同士の交流などがあまり
描かれることがなかったため、キャラにそれほどの思い入れを抱くことがなく、そのまま
キャラが殺されたり、犯人としてお仕置きを受けても、割と淡々とした感じになってしまう。
この作品と同じく、ゲーム原作で、岸 誠二監督の「DEVIL SURVIVOR 2 the
ANIMATION」にも似たような感があったけど。
キャストに関してはそれなりにキャリアのあるメンツで固められた印象で、安定感を感じる。
腐川 冬子とジェノサイダー翔の沢城 みゆきや、真相判明後の江ノ島 盾子の豊口 めぐみの
いかれた感じと人格の使い分けは見事といったところ。