「のんのんびより(TVアニメ動画)」

総合得点
90.1
感想・評価
3400
棚に入れた
15506
ランキング
64
★★★★★ 4.1 (3400)
物語
4.0
作画
4.1
声優
4.1
音楽
4.0
キャラ
4.3

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ネタバレ

れのん。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

癒やし系日常アニメの名作 ・ つよいノスタルジーによる感動で、目から汗がとまらなくなった☆

原作既読

 ちょっと試しに見てみようと思われる方におすすめなのは、第一話、第四話、第十話、第十二話(最終話)の四つです。この作品には、強いノスタルジーや叙情性がめだつ回と、ノスタルジーを背景としながら原作漫画のほのぼのギャグが前面に出ている回があります。おすすめした四つの回は、前者です。
 感性的にこの作品のほのぼのギャグがあわない人もおられるでしょうし、この作品にみられる、日本の原風景・田舎へのノスタルジーや、だれにでもありそうなこどもの頃の想い出に、共感できなかったり、まったく癒されない人には、おすすめじゃないかもです。
 スローライフなので、時間の流れはゆっくりのんびりですが、おもしろいし、ひきつけられるので、視聴していて、毎回、30分たつのをみじかく感じました。
 アニメ全12話をとおして、春・夏・秋・冬・再びめぐってくる春と、四季の移ろいのなかで、キャラたちのほのぼのコメディが描かれています。視聴していて、「自分も、こどもの頃は、四季の移ろい、一年のときのながれが、今よりずっと内容豊かで長く感じられ、季節季節のよろこびやおどろきにみたされていたな、それだけ感受性も豊かだったのかな」と思いました。

 あっとさんの原作漫画もなかなかいいですが、川面監督やシリーズ構成の吉田玲子さん他スタッフの力で、さらにその真価が発揮され、癒やし効果抜群の、日常系の名作になったと思います。個人的には、これまでの日常系アニメの中で、いちばん好きな作品です。
 op 曲は、nano.RIPE。「花咲くいろは」のop曲と,どこか似ています。この op 曲と、四季折々のキャラたちの元気な & のんびりした姿のop アニメーションの雰囲気が、作品全体によくあっていて、好きです。
 ed 曲は、ZAQ。歌詞もおもしろく、メインキャラ四人の中の人たち(阿澄佳奈、佐倉綾音、村川梨衣、小岩井ことり)が歌っています。 

 このアニメは、実に丁寧につくられており、細部にも気配りされています。例をあげれば、「次回予告」でも、スタッフはこの作品の雰囲気(日常)を少しでもこわすことがないように、舞台となっているキャラたちの家の居間やこども部屋のテレビの画面に、小さく次回予告を映しています。

 メインキャラは4人の女の子たち(小1、小5、中1、中2。中学生の二人も、無邪気でこどもっぽい)で、男性キャラはわずかしかいません。中三のお兄ちゃん(越谷卓)は、セリフがないけれど大切な役割を果たしており、セリフがないことがギャグになっています。最終話まで、お兄ちゃんにセリフがないかどうかについては、スタッフも悩んだそうですが、そこは視聴されるときの楽しみの一つでしょう。
 
 魅力的なキャラたちが登場してきますが、なかでもすばらしいキャラは、小一のれんちょん(れんげ)です。あのちょっと不思議で、しかも半端じゃない可愛さは、アニメでしか表現できないです。れんちょん独特のあいさつ「にゃんぱすー」が、有名になったのもうなずけます。スタッフは、この「にゃんぱすー」も、全12話の中で、たしか数回しかセリフとして使っておらず、控えめなところが、またいいです。

 日本の故郷・田舎の風景を描いた背景は、とても丁寧に描かれており、演出もすばらしい。作画は、抜群にすぐれていますが、厳密にはフォトリアルなものではありません(川面監督によれば、フォトリアルな風景でなく、フォトリアルな風景を「可愛く」したものだとのことです)。田舎の風景を描くとき、道路標識や電柱などの人工物をしばしば絵の中に取り入れているのも、みごとです。
 第一話冒頭の2分30秒、セリフが全くなく、ノスタルジックなBGMとともに、田舎の美しい風景や、朝、分校に登校しようとしているメインキャラたち&村人の小さな姿が描かれてゆきますが、数あるアニメの中でとりわけ印象に残るような見事な導入でした。

 間のとり方に、このアニメならではの工夫が見られます。たとえば、キャラの感情の変化を表現するのに、なんどか、かなり長い静止がとりいれられています。これは、非常に印象的な演出で、れんちょんをはじめとする魅力的なキャラへの感情移入が、半端じゃないものに深まりました。

 一例をあげると、4話で、ほのかちゃんが急に帰ってしまったことを知り、れんちょんが泣き出すシーン。
 原作では、呆然自失のれんげの顔が3コマ続き、4コマ目で涙がぽろりです。これを川面さんは、BGMとともに、れんちょんの顔アップをかなり長い時間かけて静止(厳密には静止画でなく、わずかずつズームインさせており、いちど、まばたきがはいります)、そしてBGMをとめ、蝉の声の効果音に戻し、ここで、れんちょんの目に涙がにじみ、かすかな嗚咽、そして、とぼとぼかえっていくれんちょんのちいさな姿、ほのかちゃんといっしょに行ってとても楽しかった場所を、誰もいない風景として描き、れんちょんの心の寂しさを表現・・、ここまでの演出で、私の涙腺は崩壊しちゃったのでした^^
 なんでもない子供らしいお話なんですが、この叙情性の表現は、アニメならではと、川面監督に感服いたしました^^

 限界集落とか、老人が多くて人口構成が偏っていることとか、過疎地の人間関係のむずかしい側面とかの、田舎のリアルなマイナス面は描かず、ノスタルジーの対象としての田舎を美しく描きます。「ばらかもん」とちがって、田舎でありながら語尾の「~のん」以外、方言もないです。

 メインキャラ4人(れんちょん、ほたるん、なっつん、こまちゃん)をはじめ、こどもたちの日常をほのぼのコメディで描いています。ちょっと感動的なエピソードもあり、思わず目から汗が流れましたが、シリアスな話はありません。登場人物も、少なくされています。

 声優さんについては、れんちょん役の小岩井ことりさんが抜群にすばらしく、この人の演技なしには、このアニメは考えられません。ほたるん役の村川梨衣さんも、ご本人のキャラとぜんぜん異なるほたるんを、見事に演じている印象でした。

 スタッフの方々と、声優さんたちに、心から感謝しています。

投稿 : 2015/05/28
閲覧 : 419
サンキュー:

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