Acacia さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
できればDVD(BD)で…。
「黒の契約者」は70年代の日本ドラマや映画の雰囲気を
現代のアニメという媒体で再現したらどうなるかといった
意欲作だったと思います。このシリーズに触れた後、松田優作の
「探偵物語」や「蘇える金狼」を観ましたがその時代独特の
空気感が画面を通して感じられ大変面白い作品でした。
また、タルコフスキーの「ストーカー」も視聴しましたが
よくこの映画だけでDTBの世界の一部を構築できたなと関心したほどです。
対象年齢は高めの作品です。
作画の質は高め。主人公のアクションの迫力は勿論、
鉄格子の隙間からワイヤーを投げて通している等
少し頭を使ったアクションを見せてくれるのがポイント。
背景も良く動き、退廃的な美術風景。
2007年のアニメとしては突出しています。
物語は地味ですがよく練られてます。
岡村天斎監督の持ち味と言いますか
全話通して、湿り、感動的に見せず、淡々と
事実を突きつける演出・脚本が徹底されています。
本編は基本2話完結。東京に突如出現した不可侵領域とそれを囲む
地獄門。そして同時に能力と引き換えに心を無くし
様々な諜報機関に利用され闇で蠢く契約者達という存在。
中二病てんこもりの設定。そんな中で契約者が時折見せる人間臭さ。
人間。ここがこの作品の肝だと思います。
改めて観ると、 {netabare}
2話の篠田千晶の過去話に出てくる
契約者のシルエットが白と黒じゃないかと見えたり
5話でまだ猫の能力が判明する前に鴉が猫が憑依する時と
同じ飛び方をしていたりと色々な所に仕掛けがあります。
{/netabare}
オチとしては{netabare}
黒が捜していた妹は南米の戦争の末に流星の欠片で力を増幅させ
天国門を含む南米の一部を不可侵領域にし更に黒と一つになり黒は白の能力
(電撃であり物質変換)を使っていた。
アンバーは実は真実しか口にしていなかった。
ハヴォックが数年ぶりに黒を見た時、何に関しても反応が希薄だった
彼女が黒が電撃を使っている事に疑問のような態度を示していた。
ニックとの問答の末、流星の欠片が本当の星空を見せたり
等々物語の核心が所々に散りばめられています。
大黒斑周期に反ゲート物質を打ち込むと何故、契約者は消えるのか
とか、謎のままの部分も多いですが、そこも色々と想像するのが
楽しい作品でもあります。星見様は結局何者だったのだろう…とか。
{/netabare}
音にも拘りが感じられ、サラウンド環境で視聴すると
街のあらゆる雑音。また、細かな音の演出も見つかります。
DVDまたはBDで視聴環境が整えられる方は
凝った音も楽しんで頂きたいです。お勧めです。
補足ですが、パッケージ版BD、DVD(レンタルも)には
サラウンドで収録されていますが、北米版の方は
確認していませんので分かりません。そこはご注意下さい。
自分としては今まで観てきたアニメの中で
一番、愛している作品です。