れんげ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
魔法少女と、ソウルジェムみたいだね。
第1期は2005年放送。全26話。
2014年より第2期放送。(夏を跨いだ分割2クール)
本作は、その合間に放送された1時間の特別篇。
人には見えない「蟲」の怪異を専門にした、蟲師ギンコの物語です。
【あらすじ】
狩房(かりぶさ)家に代々仕える、蟲師「薬袋(みない)家」。
最古の蟲師一派であるこの一族からは、時折「何かが欠落した者」が出るという。
知己である狩房淡幽(かりぶさ たんゆう)より、山の異変調査に出向いた薬袋家当主「クマド」。
その手助けを頼まれた「ギンコ」は、現場に趣き共同捜査を開始するのですが……。
【論じてみる】
{netabare}
「棘のみち(おどろのみち)」と呼ばれる本作。
前半で収録出来なかった(間に合わなかった?)エピソードを、後に1時間スペシャルとして放送と相成りました。
ただ、やはり「蟲師」は、ヒキ無く物語を一度で完結させるスタイルが合っている気がしますので、調度良かったですね。
時間を費やした分、本編同様に所作一つ一つに気を配られた気合十分の作画でしたし。
しかし、内容そのものはいつもよりスケールが大きく見応え抜群ではだったのですが、如何せん物語に集中しないと、やはり置いてけぼりを食らいかねません。
それが今回は倍の1時間ですので、そいうい意味では気軽に見難いのは難点かもしれないですね。
さて本作は、蟲師のギンコと対面する最古の蟲師一派の当主「クマド」の人物像に迫る内容でした。
「なにやら蟲に、ことさら情をかけてるようだな…、珍奇なことよ。」
ギンコにそう言い放つクマドは、その言葉通り…と言うよりは生来の蟲師と同様に、蟲に対し深い情などをかけてはおりませんでした。
しかしそれは、蟲師として生きなければならぬ故に彼にふりかかった、一族のある凄惨な儀式からくる憎しみが、そうさせていたのでした。
いや…、と言うより…、彼にはそのような感情など、最早どこまであったのか…。
『それ(魂)が無くなっても、俺は生きてるの?』
『……ちゃんと、代わりの「モノ」を入れてあげるよ。』
蟲が見える力と引き換えに持っていかれた、彼の魂。
人工の蟲を魂の代替にし、彼はこれまで蟲師として生きてきたわけでしたが、それは果たして生きていると言えたのでしょうか…。
終盤、その「魂を喰う蟲」にギンコが襲われた際クマドは、身体から蟲である実体を抜き出し、その蟲を逆に喰らうことで助けてはくれました。
しかしそれは、自ら戻ることのないその代替の蟲(魂)を、また新たに作り「クマドという身体」に入れ直すことになるワケで…。
それでまた動き回る彼を見ると、人という生き物が一体なんなのか…、よく分からなくなりましたね。
終盤に入った、土井美加さんのナレーション
『魂を 失ってもまだ…、
うつしよを動き回っているもの…。
それは一体…、何なのだろうか?
それは一体…、誰なのだろうか?』
ここは、背筋に嫌な悪寒を残させるものでしたね。
そんな物語の最後の最後。
淡幽を含めた3人が野原で茶をすすり合うシーンは、嫌な後味を少しだけ緩和させてくれる良い役回りでした。
淡幽「これは美味いというものだ。」
ギンコ「オマエ、そんなムリヤリ……。。。」
美味いかどうかも分からない、一切笑うこともないクマド。
ですが、きっとその内の気持ちでは、この一時を…彼らと一緒に楽しんでいてほしいものです。
{/netabare}
【総評】
シナリオとしては、やはり通常の30分枠以上の見応えがありました。
続章放送前に放送された、同じく1時間の特別編「日蝕む翳」より、私は本作「棘のみち」の方が、個人的に好きでしたね。
ただ、第1期を見てキャラクターをある程度理解していないと、十分に楽しめない点は要注意です。
そうそぅ、あと本内容を見て
「魔法少女と、ソウルジェムみたいだな。」
とか考えてしまうのは、きっと私だけじゃないハズ!!
そうなったらもう
「となると…、あの爺が「キュウべぇ」みたいなモンか…。」
とかも考え出してニヤニヤしてしまい、話に集中出来なくなる可能性も十分に考えられるので、視聴の際は気をつけて下さいね。
くれぐれも。
ではでは、読んでいただきありがとうございました。
◆一番好きなキャラクター◆
『ギンコ』声 - 中野裕斗さん
◇一番可愛いキャラクター◇
『※狩房 淡幽』声 - 蒲生彩華さん
(※回想中の、最も幼い時。)