OZ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
温かい我が家
テレビアニメ『花咲くいろは』が楽しめたので
観てみる事にした劇場版作品
■温かい我が家■
何かと劇場版は今一つな印象がある為
観る前から少なからず不安を抱えていたが
見事それを払拭してくれた『劇場版 花咲くいろは』
物語は喜翆荘が閉館する少し前で
本編の20話~21話付近に遡る。
皐月 菜子 民子3人のエピソードが組み込まれており
中でも緒花の母 皐月をメインに展開され
若かりし時代が描かれている今作品。
後に緒花の父親となる綾人が登場したり
緒花の名前の由来が知れたので
ファンには嬉しい所だろう。
『花咲くいろは』と言えば「走る」が連想される。
とにかくキャラクターが走ったり泣いたりするので
観ていて忙しいが
相変わらずのらしさは健在だ。
タイトルに使われている「HOME SWEET HOME」
元は造語であり 人により解釈が異なってくるけれど
「家族」をテーマに描かれた今作品には
「温かい我が家」がしっくりきそうである。
■OVAの延長線上■
称賛出来る部分もあれば
手放しで出来ない部分もある。
ハッキリ言って66分では"詰め込み過ぎ"である。
3人のエピソードを約1時間で収めており
単純にテレビアニメと比べると
2話で3人分の話が構成されているので
当然 展開が早回しになり
お世辞にもテンポが良いとは言えない。
加えて主軸が皐月の過去なので
興味深い内容にはなっているが
あくまでサイドストーリーと言った所だろう。
劇場版と銘打つより
OVAの延長に位置するのが妥当な作品かもしれない。
■ハイライト■
今作品で最も印象に残ったのは
菜子の妹 麻奈を
緒花と菜子で探しに行き
突然緒花が涙する場面。
デパートの屋上にある小さな遊園地で一人ぽつんと佇む麻奈。
菜子は麻奈を見つけるやいなや
心配かけた事を叱りつける。
麻奈は「みんなはママと一緒なのに
自分だけいないのなら行きたくない」と泣き出してしまうが
「菜子がいるでしょ」と
優しく麻奈を抱きしめる菜子。
それを見た緒花は突然泣き出し
「子どものくせに大人みたいなこと言って
菜子だって泣きたいのに ちゃんと大人やれてるよ」と
菜子の代わりに涙を流す。
何時も我慢して自分を抑えていた菜子に
緒花自身 皐月との母娘関係を重ねて
母の苦労が理解出来たのだろう。
緒花の涙につられ
一緒になって涙してしまったものだ。
■あとがき■
66分と決して長くはない時間だったけれど
予想以上に楽しめました。
もう30分くらい加えてもらえれば
グッと完成度が高くなっていたかな。
緒花と皐月の母子を重ね合わせる展開は
本編で皐月が好きになれなかった分
少しだけ感情移入出来る様になったよ。
後 ちょっと気になったのは
次郎丸の官能小説「温泉仲居 泡まみれの新人研修」を
子供に貸本として小銭稼ぎしようとしていたので
実に彼は変態だったね。
子供も見た目は小学生なのに
その歳で官能小説かよ!と密かに思ったな。
テレビアニメ版を観終えた時は
続編は特に無くてもいいかな。なんて感じたものだが
今回 劇場版を終えたら続きが観たくなったね。
繰り返し観たい!とはならなかったけれど
充分満足出来る作品でした。
満足度 ★★★★★★★★☆☆ (8)