takekaiju さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
笑って泣いて落ち込んで這い上がって、最高のエンターテイメント
大人も子供も笑顔になって楽しめるサーカス、「カレイドステージ」。
その舞台に憧れ渡米した苗木野そらは数々の試練や挫折に立ち向かいながらも、自分の思い描く真のカレイドスターを目指していく。
あらすじや各サイトのレビューなどを読んだ段階では、『ガラスの仮面』や『エースをねらえ』のような熱血スポ根を連想していて、正直あまり食指が動かなかった。面白そうだけれど敷居が高い感じ。
が、実際に観てみると当初のイメージとはぜんぜん違うことがわかった。
開始早々ギャグ連発したり、オーナーやフールがセクハラしたりと、目標に向かって練習する熱い姿よりも先に心安い作品の雰囲気にぐいぐいと惹きこまれていく。頑張る姿勢や夢のために努力する様子をテーマにしつつも、こういうアニメとしてのお約束をきちんと押さえているところが好印象。出し過ぎても駄目だし、抑え過ぎて堅苦しい雰囲気にしても面白くないし、ここのところのバランスが抜群にいい。
物語本来のテーマと適度な笑いどころの盛り込みは、この時代の作品全般に当てはまる良い特徴だと思う。
『カレイドスター』の場合は、そらの底抜けな明るさや見切り発車する行動力、フールのセクハラ発言、アンナの滑るギャグ、本人に気づかれないケンの恋心、レイラのステージにかける真剣な眼差しなどなど、登場人物が生き生きと描かれていることが、笑いあり涙あり、感動ありの面白さをつくっているのだろう。
声優の演じ方が上手いなーと思う。ゴールデンの例に漏れず、『カレイドスター』でもオープニング前の冒頭では「部屋を明るくしてテレビから離れて観てください」というお決まりの文句が流れる。だが、各キャラがその個性いっぱいにアナウンスし、同じセリフなのにそれぞれ違って聞こえる(各キャラのセリフとして聞き取れる)ところからも特にそう感じる。
熱血根性ものとしては、明確な目標を持たせやすいスポーツものと違って、どこにゴールを置くのかスタッフにとっても視聴者にとっても難しい。「真のカレイドスター」というもの自体が漠然としていて、作中そらもそのことに悩んでいる。勝った負けたの判断が難しいからこそ、自分は何を目指していたのか根本的な“目標”を見失う形でそらの挫折が描かれる。元々そらの能力が高かったり、何が不足しているのかわかりづらくて成長過程には共感できなかったが、この種の挫折の仕方はリアルにもあるあるでわかりやすい。