しかchan さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
人殺ししか出来ないと思っていた私の命に…。こんなに素敵な使い道があったんだ。
人類を淘汰する可能性を持つ新人類を巡る一連の争いを描いた作品である。
【良い】
・OP
OP曲の「LILIUM」は作品の雰囲気に適した曲だったと思う。
歌詞が聖書や賛美歌等からの引用となっている。
また、ルーシーが中指と薬指を合わせている映像は自分の罪を認め、神に対し許しを乞うポーズである。
【悪い】
・テーマ
本作のテーマは「差別」であると監督が述べていたが、「差別」というテーマを丁寧に描いていたとは言い難い。
{netabare} 製作側はヒロインであるルーシーのバックグラウンドに「差別」というものを描いて殺人鬼になった経緯を視聴者に理解させようとした。
しかし、あの過去描写ではルーシーを悲劇のヒロインとするには説得力に乏しい。
仮に、これが憎むべき相手に対して復讐するだけであれば、あのような描写でも我慢できるが、彼女はそれを理由に夏祭りの家族連れ、関係のない人々、罪もない人々を次々と惨殺する。
惨殺描写自体は悪いとは思わないが、夏祭りに行っただけで命を奪われた大勢の人々の方がルーシーよりも圧倒的に悲劇的であるのは明らかでいくら酷い扱いを受けていたとはいえ、罪の無い人々を次々と惨殺するルーシーに感情移入することはできない。
ルーシーがそのような行動に至ったのはディクロニウスのDNAの声がそうさせたという見方もあるが、そのようなフィクション設定ではそれまでの薄い心理描写をカバーする要素にならない。
そもそも、「差別」という現実的で御大層なテーマを掲げているのにもかかわらず、そのようなSF設定を引き合いに出している時点でおかしいのではないか。
「差別」をテーマにして制作したのではなく、本当は美少女達によるエログロを織り交ぜた惨い殺人劇を作りたいので、それを肯定する理由付けのために無理やり「差別」というテーマを掲げたような気がしてならない。
作品全体から漂う「重いテーマを扱っている(ドヤ顔)」オーラに個人的に嫌悪感を抱いた。
現実社会において「差別」というものは「相手方の無力=超能力の非存在」を前提としたものであり、様々な社会環境で「無力」に苦しむ人々がいる中、「超能力」での殺人を描く本作でメッセージを伝えようとするのはどうかと思う。{/netabare}
【総評】
そんなにエロくはなかったが、グロ耐性がない人は視聴しない方が賢明である。