「千年女優(アニメ映画)」

総合得点
72.0
感想・評価
447
棚に入れた
2163
ランキング
1227
★★★★☆ 3.9 (447)
物語
3.9
作画
4.2
声優
3.8
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

三崎鳴 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

今敏監督最高傑作

今敏監督作品2作目。第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞・第57回毎日映画コンクール大藤信郎賞・第6回ファンタジア映画祭最優秀アニメーション映画賞・芸術的革新賞
第33回シッチェス・カタロニア国際映画祭(スペイン)最優秀アジア映画作品賞受賞。
芸能界を引退した女優の半生を、実体験の記憶と映画の内容を綯い交ぜに描く――。
『パーフェクトブルー』に引き続き虚構と現実を混ぜ込んだ幻想的な演出が特色。今敏監督や湯浅政明監督(『ケモノヅメ』『四畳半神話大系』『ピンポン』ほか)といった御仁達はアニメーションといった媒体を強く意識した作品作りを念頭においており、ビジュアル面ではアニメならではの芸術的表現が全面に強調されている。それゆえに作風が人を選びやすいが、作品の完成度は期待を裏切らない。前作では妄想と現実を織り交ぜたサスペンスをテーマにしていたが本作では映画と現実を織り交ぜた一途の愛をテーマにしている。“鍵の男”を半生を賭けて追い続ける女性しかしながらその正体は偶像であり、幻想である。幻想を追い求める女性、その愛もまた幻想であることは本作の幕を閉じる台詞である『だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもん』の一言に集約されている。民衆たちが輝かしき21世紀という幻想を追い求める昭和時代,観客に幻想を見せる女優という職業。そして映画(=幻想)である本作に魅せられる視聴者――
哲学者ヘラクレイトスの言葉を借りれば『万物は流転する』のだ。それに対して、偶像、イメージ、幻想は常に形を保ち続ける。“存在のあるもの”はいつしか容を失うが、“ないもの”は“ない”という状態を永久に持続する。愛という感情も“容のない”歪んだものだ。もしかしたら私自身もこの作品が好きなのではなくこの作品を理解した気になっている自分が好きなのかもしれない。

本作のキャッチコピーは“その愛は狂気にも似ている”。

投稿 : 2014/08/24
閲覧 : 306
サンキュー:

4

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