明日は我が身 さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
青春全部賭けたって強くなれない?・・・賭けてから言いなさい
主人公綾瀬ちはやは小学生の時に転校生の綿谷新に初めて競技カルタの面白さを教えてもらう。
高校1年になったちはやは、新がカルタをやめてしまったと聞いて、幼なじみの太一とともに新に会いに行く。
しかし実際には新はまだカルタに対する情熱自体を捨てている訳ではなかったということがわかり、ちはやは太一に決意の言葉をかけられる。
「一緒に作ってやるよ……カルタ部。
新は必ず帰ってくるから、強くなってあいつを待とう!!」
こうしてちはやは新との再開もかねて、太一とともにカルタ部を作ることとなる……という物語。
カルタ部を作ることを決める前である4話までは普通の面白さですが、そこから2期最終回までの46話もの範囲はめちゃくちゃ面白いです。
まず、部活もの特有の「仲間集め」のテンポの良い面白さが素晴らしい。
さらにそこで感じる違和感をきちんとテーマとして掘り下げている「初の団体戦」。
そして、主人公ちはやの最大のライバルであるクイーンが登場する「個人戦」。
この辺は怒涛の面白さ。
何よりこの作品の良いところはクセが少ない点ですね。
普通の深夜アニメならアニメをあまり見ない一般人にいきなり見せたら「いやこんなキモい語尾の女現実にいねーよ」とか「こんな大した理由もなく男に胸を揉ませてくれる都合のいい女いねーよ」とか言われる要素満載でしょう。
しかし、このちはやふるはキャラの思考回路がある程度一般人寄り…というかオタク向けに品種改良されてない作品なんです。
なので深夜アニメ独特のクセが少ないし、本来夕方に放送しても良いくらいの内容の作品なんです。
だから誰でも楽しめる作品のひとつだと思います。
作品としての魅力は主に4つ。
1つ目は新との再会、再戦というわかりやすい物語のゴールが用意されているということ。また、ちはや最大のライバルであるクイーンとの戦いも間違いなくいずれある展開でしょう。このようにわかりやすいゴールや盛り上がりがあらかじめ準備されている作品なので軸がブレにくいしどの話も安心して見れます。
2つ目は少女漫画的な感情の爆発と、少年漫画的な熱い成長物語がうまく合わさっている点です。感情の爆発は見てる視聴者に感動や驚きを生み、熱い成長物語は前向きな気持ちを与えてくれます。夢に向かって全速力で走りたい!そんな気分にさせてくれる素晴らしい描写の連続は舌を巻かずにはいられません。
3つ目はわき役含め、主人公以外も一緒に成長していく点です。
この物語はちはやの成長物語ですが、主人公ちはやと関わるうちに幼なじみの太一も、再会を誓った新も、同じ部の部員の机くん達も、ライバルのクイーンも、そしてわき役のヒョロ君達までも……みんなが成長していきます。そのなかで生まれる熱い名言、名シーンの数々!
特に裏主人公的ポジションの太一に原田先生が言ったセリフは名言です(この感想のタイトル)。
そして4つ目が競技カルタという題材の面白さです。
このアニメを見る前は「でもカルタなんか戦略性のないスピード勝負だろ?」と思っていましたが、とんでもありませんでした・・・。
精神的な要素、技術的な要素、頭脳戦的な要素、体力的な要素…そこにはありとあらゆる要素が詰まっていました。また、カルタには札を並べる「配置」というものがあり、これはプレイヤーごとに違う特徴を持っているというのも斬新でした。
なので総評としてはちゃんと頭脳戦や心理戦の緊張感があり、なおかつ挫折やそれを乗り越える高揚感があり、キャラ立ちもテンポもよく、心理描写は爆発的で感動できるし、「チーム」で戦う連帯感や青春もうまく描けていて、なおかつキャラクターが物語を通してきちんと成長していく・・・。
これは文句なく10年代の名作のひとつでしょう。
(あとは原作がきれいに完結してくれれば)