どらむろ さんの感想・評価
3.1
物語 : 5.0
作画 : 1.5
声優 : 2.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
空前絶後のキチガイギャグアニメ。ある意味、奇跡的な怪作
70年代前半に放送されたショートアニメ。
変身ヒーローが悪の宇宙人をやっつける、一見ありがちな勧善懲悪なのだが、ありとあらゆる面でトチ狂っている不朽の迷作。
真面目に観るととんでもない駄作なのだが…ネタアニメ・ギャグアニメとしては超逸品級の快作!
1話数分のショートで観易いので、是非とも一見の価値あり!!!
※まずは代35話「頭の中に爆弾」がオススメですw
「お許しくださいボルガ博士!」
{netabare}『物語』
極めて評価が難しい。
減点法で悪い点を挙げれば、間違い無く最低評価確実なのだが、実際に視聴して終始爆笑が止まらない!
古今、これほど爆笑できるギャグアニメは滅多に無い。
アニメ視聴の目的は要するに楽しめれば良いワケで、本作は観ていて楽しいアニメなので、結果的に低評価では無い気もする。
僅か5分程度で起承転結、強引に1話完結に持っていく力技の脚本は、ある意味芸術的な手腕すら感じる。
テンポが良いという生易しいレベルじゃない!
脚本が破綻しているとよく言われるが、視聴を続けると感覚がマヒしていき、破綻を感じなくなっていく…。
意外にも整合性はバッチリ取れてしまっている事が、逆に恐ろしいアニメである。
全65話、終始退屈を感じず、常に爆笑とツッコミの嵐、ギャグアニメとしては最高評価でもいいくらい。
他の方々が概ね最低評価されてるので、私は逆に最高評価してみたw
悪い点は既に他の方々が(あにこれに限らず)散々指摘しているのだが、倫理観や常識の欠如に尽きる。
精神病患者等に対する差別的表現もあり、現在だと放送コードに引っ掛かる恐れがあるのも、マイナス要素。
例えば第25話「雄一少年を救え!」…
両親の不仲で鬱屈した雄一少年が放火しまくり(多分、かなりの犠牲者出してる)→ジュラル星人(悪役)に「派手にやるじゃねぇか小僧!これからドゥンドゥン家を焼こうぜ!」と唆される→良心の呵責を覚えた少年は研に相談→研がジュラル星人を虐殺→少年、両親と一緒に反省「ボクもうしないよ」お咎めなし、めでたしめでたし♪
……。おいィィふざけんな!?今更反省しても放火された犠牲者は浮かばれねぇよ!
こんな感じの狂ったストーリーがいくつもある。
尤も、この狂気じみた倫理観の欠如こそが、本作を最高のネタアニメの地位に押し上げた原動力なので、ギャグアニメと割り切れるならば、逆に高評価なのかも知れない。
倫理観や整合性を気にする人には見せられない、キチガイアニメ。
なのたが、ソコさえ目をつむれば(一応は)起承転結を完成させる見事な脚本でもある(のかも知れん!?)
前述したが、テンポはズバ抜けて良く、一瞬たりとも気が抜けない面白さ!
あにこれのレビュアーさん、sinsinさんのレビュー「理解できないものへの不安・恐怖」がテーマ、仰る通りだと思う。
工場廃水で人間を蝕んだり、核ミサイルを「目標はヨーロッパだ!(曖昧)」でブチ込もうとしたり、根源的な悪意や恐怖感を感じる怖いエピソード多い。
本作に限らず70年代や80年代には、そんなアニメが多い。
タツノコプロの「黄金戦士ゴールドライタン」や「ゴワッパー5ゴーダム」等、怪奇系のエピソード多いのとも通じるモノがあるのかも。
本作はたったの5分程度で強引に超展開の連続でブチ込んだ結果が、史上空前のネタアニメとなってしまった!
扱うテーマ自体は意外にも鋭く、それを倫理や整合性無視して数分に(制作者は大真面目に?)纏めた結果がこのキチガイアニメだよ!
…本作を駄作と断じる材料は凄まじく多いのだが、百凡の駄作とは一線を画する魅力があるのも確か。
唯一無二のオリジナリティーと、実際視聴して(ネタ的な意味でとはいえ)最高に面白かったので、前述の通りの最高評価です。
『作画』
劣悪。60年代よりも劣化している。
セリフと口パクがズレてたり、画像に毛のような線が混じったり、テキトー極まり無い戦闘シーン、研の乗る戦闘機(上にフラフープみたいな輪っかが回転して飛ぶ仕組み)が、肝心のフラフープみたいな輪っかが回転して無い、等々。
しかし、致命的に不快な程では無いので、最低評価にはしなかった。
本作は真面目にヒーローアクションとしてではなく、あくまでネタギャグアニメなので、この低クオリティー作画も逆に味わい深いw
また研の妹のシャロンは(回によって安定しないが)結構可愛い回も。
『声優』
公式に声優名が判明しておらず、「劇団近代座」の役者さんが兼業されているとの事。
棒読み、やる気感じられない、滑舌が悪くて聴き取り辛い。
「頼みたい事があるんだ→たなびたい事があるんだ」
「火事だー火事だー!→はいだらーはいだらー!」
等々と空耳が氾濫している。
尤も、ネタ的な意味で、それすらも本作の面白さの一環ではあるw
シャロンの声は可愛く、ジュラル星人やバリカンも独特の味わいがあるので、かなり贔屓目に高評価した。
『音楽』
主題歌は正統派の70年代ヒーローソングで普通にカッコイイ。
また、作中BGMが中々秀逸。
ファンからの通称「キチガイレコード」と呼ばれる冒頭の事件発生のテーマは否応なく不安感煽ってくれる良BGMだったり、主題歌を生かした戦闘BGMも中々熱い。
まあ、本編の内容が全く伴っておらず、ギャグにしかならないのだがw
減点法だと楽曲も低クオリティーなのかも知れないが、個人的には楽曲が本作の魅力の一環と見ているので、かなり高評価してみる。
『キャラ』
主人公・泉研(チャージマン研)がとにかく倫理観がおかしい。
キチガイヒーローは伊達では無い!
妹のシャロンちゃんは結構可愛い。渚先生が美人で魅力的。
ロボットのバリカンが中々ユニーク。
ジュラル星人はヤラレ役としては中々のカマセっぷりw
ゲストキャラにも星君やボルガ博士ら、忘れられない名(迷)キャラクター多数。
ゲストヒロインに割と可愛い子多いのもポイント高い。けど正体は大抵ジュラル星人なのが切ないw{/netabare}