まるいぬ さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
二度味わうべきは青春の苦味
「氷菓」
「愚者のエンドロール」
「クドリャフカの順番」
「遠まわりする雛」
この4つの小説から構成されるのが、「えるたそ~」でおなじみ氷菓。
2期が期待される作品ではありますが、
米澤 穂信の古典部シリーズで、アニメ化されていないのは「二人の距離の概算」一冊だけですので、
まだまだ先のこととなりそうです。
■ミステリー■
ジャンルは、ミステリー、学園もの、と言ってしまえば簡単。
しかし、その中身は多くの人が想像するものとは、まるっきり違う。
たしか原作では「ほろ苦さ」を売りにしていた気がする。
たとえば、氷菓というアニメは長編から短編まで、数個のエピソードから成り立っているが、スカッとする話はあまり多くない。
悪い意味ではなく、読者、視聴者に余韻を持たせるような終わり方が多いといった方が正しいか。
もちろん謎は解決する。ミステリーを投げ出したりはしない。
ただ、ミステリーの答えはキレイなものではなかったり、拍子抜けするほど、あっけないものだったりします。
しかし、そのワケは、登場人物の胸に秘めたる思いが深く関係しているためであり、ほろ苦さはミステリーのなかで十二分に味わうことが出来ます。
あくまでミステリーとは、ただ単に事象ではなく、意思も感情もある人間がいるからこそ起こりうるものなのだということを、このアニメをみて強く印象づけられましたね。
■作画■
作画に5.0はめったなことがないとつけにくいんですが、この作品には迷いなくつけた。
これまで5.0に値すると思ったのは「まどマギの叛逆」と「進撃の巨人」くらいだったかね。
どれも、派手なアクション込みのアニメだったから、氷菓みたいな落ち着いたアニメにつけたのは初めてだな。
評価できたのは一枚絵?の単純な綺麗さと動きのぬるぬる感。
それと分かりやすく工夫された演出なんじゃないかと。
分かりやすくってのは、ミステリーの全貌やトリックが視聴者のためにわかりやすくってことで。
おそらくミステリーに慣れない人でも親しみやすいようにって意図の工夫だと思うんだけど、
ユーモアのある演出をしているから、見ているだけ楽しめます。
シャフトに近いね。ああいう演出。
それとクラシックを多用したり、全体としてとても上品な出来上がりだった。
サービスカットなんかも、氷菓の作風には合わないからカットされたらしく
あまりエロ系に耐性のない人にも、安心してすすめられる。
■ストーリー■
何回も見るべき作品とまでは言わないけども、少なくとも二回はみないと氷菓の「ほろ苦さ」は完全には味わえないと私は思いました。
だってミステリーを解く前と解いた後では、まるっきりキャラの印象が違う。
一回目では分からなかった、あのキャラの言葉の意味も、心も、二回目だと、「ああそうだったのか」と、気づける
気づいたときにはきっと「ほろ苦さ」が余韻として残ってるはず。
一個例をあげるならクドリャフカの順番の1シーン
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■キャラクター■
クラナドファンにはうれしい男性陣の声優さんたちでしたね。
えるも里志も奉太郎も摩耶花も、とても人間らしいところが良かったな。
まあ、えるは少し、わざとらしいところもあったけど(笑)
里志なんかは、意味深な表情とかも手伝って、私の中では、中盤まで結構ミステリアスなキャラでした。
あまり自分で多くを語らない里志ですが、
実は原作だと、心の中では摩耶花のことばっかりだったりします(笑)
里志が抱く奉太郎への「期待」を吐露した、吐露できた相手は摩耶花だけっだったしね。
■総評■
毎回の話にムラがあるものの、どれも自分好みで、お気に入りの作品となった。
アニメを見ない人にも勧められる作品として、私はきっと氷菓の名前を挙げるのだろうな。