STONE さんの感想・評価
2.9
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
問題点が多かったかな
原作は未読。
サバイバルゲーム(以後、サバゲーと表記)をメインモチーフにしているが、このサバゲーの
魅力が伝わってこない。未経験者が本作を見て、サバゲーに関心を持つようになるとは
思えないし、経験者向けのあるあるネタ的な面白さもあまり感じられない。
特定のメインモチーフを持つ作品の場合、仮に登場キャラの人間関係描写やストーリー展開に
面白みがあっても、そのメインモチーフの部分が面白くないと、作品全体の印象はパッとしない
ものに感じてしまう。メインモチーフを扱うような雰囲気で煽っておいて、実際はたいして
扱わないことで、それ自体が笑いに繋がるギャグものなんかは別ですが。
そもそも作品におけるサバゲーの扱いが、純粋に競技スポーツとしてのものなのか、キャラの
死なない銃撃戦という一種の設定的なものなのか判りかねる印象があり、作り手側もその辺の
意思統一ができていないように思える。
意思統一と言えば、作品全体に統一感がないのも問題かも。
各話ごとに明暗、硬軟あるのは他作品でもよくあることだが、それでも作品全体のテイストを
決めるカラーのようなものがあったりする。しかし、この作品にはそれが感じられない。
結果として無駄になってしまった要素も多い印象で、中盤の丁次郎登場によるオカルト的
展開などは、幽霊として主人公である大和 ゆらをサポートする「ヒカルの碁」的展開に
なるのかと思いきや、その後は見事にスルー。最後に取って付けたようにまた出てきたりして、
非常に勿体ない扱い。
勿体ないと言えば、前半のゆらのサバゲー中における妄想?も結局何だったのか?、という
感じ。過去の実在した戦闘を引き寄せるような異能的設定でもなければ、思い込みによる能力
アップといった感じの精神的パワーでもなく、単なる心象表現としても中途半端な印象。単に
ああいうシーンを描きたかっただけなのかな。実際、絵的には面白みはあったけど。
ストーリー自体は引っ込み思案の少女がサバゲーと出会うことで自分らしさを見出していくと
いう、それ自体は他作品でもよく見られるような王道的なもので、こういう展開自体は嫌いでは
ないが、この作品に関しては最後までピンと来ないまま終わってしまった。
特にゆらが迷走していく中盤以降はそれが顕著。先ほど統一感がないと書いたが、この中盤
以降はある意味統一感があったけど(笑)。
個人的には主人公が迷走するような鬱展開はむしろ好きな部類なのだが、この作品に関しては
ゆらに対する悪印象が強かった。
これは何故だろう?と考えたのだが、本人が迷っていることに対する不憫さより、
本人の独りよがりに対する不快さが目立ってしまったのが大きいみたい。
更に最終的な解決があまり自己反省もなく、なんとなくなあなあな感じで元通りというのが
良くなかったのかな。
あと迷走中は、随分と他人にも迷惑を掛けていたが、その辺に関しての反省や謝罪が
無かったのもあるかも。
あえて擁護するならもっと長尺の作品で、ゆらが自身の決断によって、一時的とは言え
充足感を得るような展開があれば、迷走中の鬱要素は少し緩和されたかもしれない。それが
本作は1クールのため、ドンドン堕ちていく部分のみが凝縮されてしまった感じ。
作品内でのサバゲーに対する態度として、鹿島 そのらの「基本として楽しむこと」と
榛名 凛の「勝利至上主義」という対立軸があったが、この辺に対する作品の回答も曖昧なまま
終わってしまったも痛い。
このそのらと凜に関してはゆらを導く立ち位置にあったが、その時その時のゆらに対する
存在として描かれたため、結果として一人のキャラとしてはぶれてしまった印象が強い。
なんか問題点ばかり書いてしまったが、ジャズをベースにしたBGMは結構良かった。