三崎鳴 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
わたしにもできること やさしさを守りたい
空軍兵器を美少女に擬人化したイラスト企画を基にしたアニメーション作品。突如出現した外敵であるネウロイの侵略に打倒するため、ストライカーユニットを装備したウィッチと呼ばれる少女らで編成されたストライクウィッチーズが出撃する――。
「パンツじゃないから恥ずかしくないもん!」のキャッチコピーや「ストパン」の愛称で知られる紳士御用達アニメ。「なんでこの娘達はパンツはいて空飛んで戦ってるの?」→「パンツじゃなくてズボンなんだって」といった具合の作品で、良くも悪くも一般人の抱くオタク的深夜アニメのイメージに見事に合致する。濃く豊富なキャラクター性、微百合要素もあり、魅力的なキャラデザイン、なによりパンツ。とは言えどアクションアニメとして作画も中々良く、ストーリーも中々熱い。ただしミリタリー的には目も当てられないかもしれない。主人公である宮藤芳佳の「守りたい」という発言と、OP曲の歌詞にもなっている「私に出来ること」という二つの言葉から本作の主人公像と戦争観を読み取ってみる。仲間のために独断専行、自らの役割を探す主人公は、思春期の葛藤としてありがちな「何のために生きるのか」という自問に一つの解を持っている。主人公にとってネウロイとの戦闘は自分のためでなく仲間のための戦いであるが、その反面、終盤ではネウロイとの意思疎通を図れるのではないかとの可能性の示唆により、戦わなくて済むかもしれないと上層部に持ちかける。つまり、芳佳には仲間だけでなく敵まで守る包容力があるのだ、マイペースながらによく頭が回る。ただし他人を守るという行為の上では自らの身への配慮を忘れるという側面がある、いわゆる自己犠牲だ。特攻隊というのは戦争という盤上の駒として使われるが、そこに個人の意思は尊重されることはない。それが通常の戦争であるが、アニメや漫画を通して描かれる戦争では大抵主人公が絶対悪としての戦争に強い反感を持って行動する。どんなシンプルな描き方をしようとも絶対悪としての戦争はある、本当の敵は“敵の存在”ではなく“戦争自体が勃発したこと”である。