「Fate/stay night[フェイト/ステイナイト][スタジオディーン版](TVアニメ動画)」

総合得点
85.7
感想・評価
3134
棚に入れた
15778
ランキング
232
★★★★☆ 3.8 (3134)
物語
3.9
作画
3.6
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
4.0

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ネタバレ

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:途中で断念した

アニメ版のほうが、アクが抜けていていいのでは

 アニメは一話のみ視聴。原作(PCゲーム)はクリア済み。よって、ほぼ、原作よりの感想となります。

 原作に対する、ごく短い感想としては、
 「良くも悪くも、青臭い夢想の濃縮物」
 ただし、
 アニメ版は、原作の気に障った部分が数カ所、キレイに削られているようなので、アニメ版については、
 「ライトノベル的なエンタメコンテンツとしては、よろしいのでは」
 ぐらいの感想。 



 10代中盤~後半向けの男の子向けの話としては確かによくできているのだと思います。
 アニメの出来のほうは一話を見る限り、おおむね原作の内容からさっくりと予想されたような雰囲気が再現されている印象。もちろん、原作のほうは超絶長いので、かなり省略されているのだとは思います。
 話の中身は、バトルもの、としてはうまく作ってあると思います。特にものすごくハッスルするということはないけれども、まあ楽しめるんじゃないか、と。。



 で、問題は、…というか、Fate Stay/Nightの、「うっ…」となってしまうところは、正義の味方を追い求める主人公・士郎くんのアクの強さでしょう。
 この問題は、きわめて伝統的で普遍的な問題だとは思うので、これを取り扱うのはいいんだけれど…。

 下記、アニメ版にはない原作ネタバレ…
 なので、ちょっと行あけます…
 原作やってない人は読まないように…





(原作やってる人向けのみのネタバレ)










































 


 で、まあ、一番げんなりするポイントは、
 士郎くんの「将来」としてのアーチャーでしょう。
 <正義の希求の末に、戦い続ける英霊になって、世界に対して軽い絶望を覚え続ける…>とか、どんだけ……

 10代の子供のある種の自己犠牲精神の発露の仕方としては、むろん、よくわかります。いやいや、でもそれはさすがに…

 あと、エロシーンの挿入の仕方も、脱力。

 こういうのゼロから突っ込みはじめると長いので、もうどこから突っ込めばいいのかよくわからないので、
 とりあえず、だまって、下記のものを嫁、とすすめておく

■とりあえず、Fate Stay / Night(原作)好きには下記のものを推奨

・まずは、『新ゴーマニズム宣言スペシャル 脱正義論』:「正義」をめぐる運動や、情熱が、いかにして現実のくだらないメカニズムのなかに回収されていきやすいか、ということを論じた小林よしのり、唯一の名作。小林さんの他の本は読まなくておk。96年当時の文脈がちょい掴みづらいかもしれないが。

・すみのママレさんの『まおゆう』、ダイアン・コイル『ソウルフルな経済学』:日本においては、<思想としての経済学>のワクテカ感を知っている人は多くないが、20世紀中盤以後、とりわけアメリカとかでは、『まおゆう』の「魔王」が夢見るような「自由と幸福のための装置としての市場」みたいな夢はけっこうメジャーな思想。まおゆう、はこれをライトノベル文脈にのせて紹介する傑作で、もう少し踏み込んで入門するなら『ソウルフルな経済学』。さらに基礎に行くなら、ベタに『マンキュー経済学』とかの教科書へ。

・そして、加藤尚武『応用倫理学入門』:現代日本人の一般的な倫理感覚の基礎をいったん、J・ミルの功利主義であるとみてとり、その上で、その感覚を基礎にして現代的な諸現象をどのように問うことができるのか、という話。

 読みやすさ的には、『まおゆう』→『ゴー宣』→『ソウルフル』→『応用倫理学』。
 文脈の順番としては、『応用倫理学』→『ゴー宣』→『まおゆう』→『ソウルフル』


 Fate Stay/Night好き、というのはある種の生真面目さのようなものも感じるので、こういうの読むのには結構むいている人種であるとも思うので。

 まあ、ある意味で、こういうアクのあるものが流行るというのは、それはそれで漂白されたものばかりが流行るよりも、考えるきっかけを与えるという点では、はるかにいいだろうと思います。ただ、考えるきっかけではなく、ただの陶酔のきっかけになりかねない危うさがあるので、そこんところが怖いよねっていう。
 少なくとも原作は、<善意への問いかけ>よりも、<問いかけつつもピュアな善意に陶酔していく自分>みたいなものを支える構造に満ちていたので、ちょっとむりぽすぎた。
 まあ、でも本当に何も考えない人間は、アーチャー的な自己陶酔含みの「ニヒリズム」との対立の問題にすら辿りつかないので、ニヒリズムという問いにたどり着く、というだけでも、ある程度、生真面目に考える青年のオーソドックスな悩み方の一種でもあるとは思います。
 真面目で頭のいい子がだいたい一度は通る道、でもあるとは思う。

 奈須きのこの作品は、他にもちょいちょいやったけれど、わたしは全滅です。この自己陶酔感は、ちょっとむり。

投稿 : 2011/09/20
閲覧 : 447
サンキュー:

9

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