westkage。 さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
主要キャラの大幅人員削減で、どことなく作風が変わっているようにも感じてしまう物語。
本作は西尾維新の小説が原作となっている作品です。
放送順に・・・
「化物語」
「偽物語」
「猫物語(黒)」
「物語シリーズセカンドシーズン」
ときて、5番目の放送になります。2014年8月16日に全5話が一挙放送となりました。TV放送としてはセカンドシーズンと切り離されての放送でしたが、原作の種別としては「化物語」のその後を描いた物語シリーズ新章の第3弾ということで、これもセカンドシーズンに入るという事ですね。勿論今作を視聴するにあたってはこれまでの4作を網羅しておくことは必須になりますのでご注意下さい。
今作の主人公はサムネからも解るとおりシリーズを通してのヒロインの1人である「神原駿河」です。これまでのシリーズで主人公を務めている「阿良々木暦」やヒロインの「戦場ヶ原ひたぎ」「羽川 翼」など直江津高校3年生のメンツは既に卒業している設定になっています。神原は3年生に進級し、そこで出会った怪異との物語が綴られることとなります。
私は原作は未読でしたので、今作も期待に胸を膨らませての視聴となりました。
まず総評としてですが、シリアスな話が多く落ち着いた雰囲気の話になっています。今までの話の中で類似した雰囲気の作品で例えるならば「鬼物語」ですね。
この物語シリーズの特徴として、言葉遊びがふんだんに取り入れられたキャラクター同士の会話劇は外せない要素だと思います。その中でも特に言葉遣いの流暢なキャラとして順序付けるなら…
「戦場ヶ原 ひたぎ」
「八九寺 真宵」
「忍野 忍」
「羽川 翼」
の上位4人は欠かせない存在だと思います。
ところが今作にはこの4人が出ないんですね。たったこれだけの要素でも今作の雰囲気を決定づけている大きなファクターだと思います。勿論今作に登場する「貝木泥舟」や「忍野扇」も良い会話をするキャラではあるんですが、なにせ彼らの会話には花が無い…どちらかというと淡々と語るクチですからね。そして「阿良々木暦」は対話するキャラによって左右されるタイプなので、今回シリアスな話しの主役となる神原との対話は概ね落ち着いたものでした。
つまりは今作の主要キャラのメンツ・話のシリアス度から考えて「ユニークな会話劇」は最終回を除き、ほとんど行われていません。なのでソコに期待していると大きく裏切られる結果になると思います。とはいえ物語自体やキャラクターの描写は相変わらずのシャフトクオリティであり、満足のいく仕上がりにはなっています。
主要キャラクターが卒業してしまった=出番が少ない(ほとんど無い)=この作品からも卒業してしまった=このシリーズも終焉に近い…と連想させるような物悲しさと、ストーリー自体の重厚さ、そして会話に花を咲かせる人員が居ない…と様々な要因からどこか寂しげな物語となっています。これはこれで悪くない仕上がりではありますが、どことなく物足りない。ふと「別の作品なのか?」と思ってしまう様な、そんな印象を持ちました。