三崎鳴 さんの感想・評価
4.2
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
いっぺん、死んでみる?
スタジオディーン制作オリジナルアニメーション作品。地獄送りをテーマとした和風ホラー作品であり、虐めや暴力、ストーカー、近所トラブル、児童虐待、盗作、動物虐待など現実にも渦巻く数々の問題に切り込んでゆく。午前0時に“地獄通信”なるサイトにアクセスし、恨みを持つ相手の名前を書き込むことで、地獄少女である閻魔あいと契約する機会を得る。契約の内容とは、黒いわら人形に結ばれた赤い糸を解くことで恨みの対象を地獄送りにする事が出来るが、代償として自らも死後は地獄で永遠を彷徨うこととなるというものだった――。『水戸黄門』のような一話完結型の作品であり、いわば復讐代理人といった所か。この手の作品が陥りがちなマンネリ化を避けるために変化球的なエピソードも多分に含まれており中弛みなどは感じない。復讐時のお仕置きの演出はBGMと相まって効果的に働いておりアニメーションでやる意義がここにあると言える。「復讐は何も生まない」とは使い古された言い回しだが、本作はこれに対する反駁をエンタメ要素として軸にしている。つまりは、復讐せざるを得ない状況を作り上げることで復讐者の心情を丁寧に描写しているのだ。前編を通じて悪人と復讐者の描写を基本としているため不愉快な表現が多く、復讐完遂後の後味も悪い、報われない作品となっているが、考えさせられることは多い。良くも悪くも扱っている問題については広く浅く、社会派とまではいかないが、ドラマ性は濃厚、人を選ぶが、個人的にはかなり推薦したい作品の一つ。バッドエンド愛好家には堪らない逸品でしょう。