景禎 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
三元老の出る幕はない
花とゆめに連載中の少女漫画のアニメ化。
原作未読、アニメ放映時は1話でいったん断念。その後、録画で完走です。
辺境の小国「雨の公国」は、「晴れの大国」の太陽王に「自治を認めて欲しければ嫁を差し出せ」といわれ、じゃんけんに負けた第四公女ニケ・ルメルシエが太陽王に嫁ぐことになった。ところがいざ会ってみると、太陽王は11歳の少年だった~!!という設定。
17歳前後のニケに対して11歳のリビの王宮ラブコメ。はじめは夫婦というより姉と弟という関係ではじまり、時間が立つにつれてお互いの内面を知り、本当の愛情が芽生えていく・・・。とまあ、よくあるラブコメ展開なのですが、少女漫画的ストーリー展開、キャラの立った登場人物、それに加えて音楽や歌、声優、背景というアニメ作品としての演出によって、完成度の高い作品になっていると思います。
作画は丁寧でキャラデザインも平均以上。漫画らしいギャグ要素も多めで、引きの強いストーリーと相まって鑑賞しやすい作品に仕上がっています。営業的にはショタ層を意識した作品だとは思いますが、べつにショタコンでなくても十分に楽しめます。また、少女漫画ですが男性でも無理なく鑑賞できると思います。
私は最初、OPアニメでリビ(11歳の少年)の裸が出てきて継続視聴を断念したのですが、そこは「ショタ層への営業的食い込み」と割り切るべきだったのかな・・・と、反省しています。
1話はアニメのために新に書き起こされたアニメオリジナルのストーリーらしく、そのため2話以降とはちょっと雰囲気が違ってます。ここでニケのお転婆ぶりを描いているのですが、{netabare}見ず知らずの男に嫁ぐというのに「街や人を見てみたいとか」ずいぶん余裕があるんだな?{/netabare}というツッコミは、ここではしてはいけない。
漫画が原作の作品としてはストーリーがしっかりしていて、中盤以降は「次回が楽しみ」感も強い。物語終盤には大どんでん返しとは行かないまでも、ちょっとした予想外な展開も用意されています。{netabare}語り(ナレーション)が、実はニケを育てた姥様(ばばさま)だったり、その姥様が実はニケを雨の公国に連れ戻すための画策をしていた、とか。{/netabare}
さて、この作品を語るにあたって絶対にはずせないのが音楽。OPやEDも良く、BGMも生オケ(それもフルオケ)使ってて贅沢だったりするのですが、なんといっても挿入歌の「アメフラシの歌」がいい。
「アメフラシの歌」はその名のとおり、ニケがアメフラシの儀式のときに歌う歌ですが、2話目に大々的にお披露目されて以降、けっこう何度も出てきます。最終回にはバージョン違いも。
ニケの声優を選ぶ際の条件として「歌がうまい」というのがあったそうで、なんかカラオケ屋の部屋でオーディションをしたとかしないとか・・・。ニケの声優の前田玲奈さんのちょっとハスキーで、それでいて透明な声の質が、シンプルなメロディーにマッチしていて、涙腺を直接攻撃してきます。