退会済のユーザー さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:途中で断念した
タイトルなし
えーと……どこからツッコもうか;
本作は、夢を追うことの楽しさを伝えたいと語っている作品。しかし、語っているだけで描いていない。
設定は過多と言っていいぐらいに色々と盛り込んでいるのに、それらがなにひとつ噛み合わないまま、好き勝手に広がったままお話は展開されていく。そのせいでストーリーも、キャラのドラマもなにもあったもんじゃない。天災以外に見どころなんてなかったんや(絶望)
ヒロインである七々々は、夢や目標に向かうことのワクワク感とか楽しさといったものの実感を他者に望んでいる。結果よりも過程を尊重する人物なのは、コレクションに関する中立の立場から想像できるし、その考えにいたったのが、自分の好物であるプリンを食べた瞬間ってところもミソだ。
ならばそれに対する主人公は、夢を持たない人間、もしくは結果を全てと考える人物であることが望ましいだろう。この作品がもしも【夢を追いかける素晴らしさ】みたいなことを伝えたいのであれば、主人公はいやいやながらも冒険部に入部し、遺跡攻略を重ねていくうちに過程の価値を実感していく、というストーリーになるはずだ。
ところが本作には、そうした描写がまるで無い。
重護という人物造形自体は、七々々との対比となっているので、不本意ながらも主人公が冒険部に入部する。ここまではいい。問題はここからだ。
主人公の目的は、七々々を 殺 害 した犯人への手がかりを手に入れること。そしてその手段として遺跡攻略があり、過程とは、その手がかりを見つけるまでだ。
図らずも、大きな目標を持ってしまった主人公。そこで手に入れたコレクションは、重護の過程の象徴に他ならない。……はずなのだが、主人公は、そのコレクションを他人に明け渡してしまっている。
おまけに、重護が遺跡攻略を楽しむ描写もないときているのだから、ヒロインの望みとはあまりにかけ離れている。
そして、それは重護だけでなく、他の人物も同様だ。作中で誰一人として、遺跡攻略を楽しんじゃいないんだ。本来、この役は主人公が担うべきはずなのに、遺跡攻略そっちのけで色々暗躍しててそんな様子を微塵も見せない。
宝箱を前にした時の高揚感も、遺跡を攻略した瞬間の達成感も、まるで感じられない。夢を追いかけることで感じるはずの熱(七々々が伝えたいであろう)が、無いのだ。
この主人公、多分なにかしらの理由があって夢を無くしたようなので、この犯人捜しを通して再び夢を見つけるのだろう。でもそれはあくまでも【夢をもつ素晴らしさ】であって【夢を追う楽しさ】じゃない。ヒロインと対比になっているようで、その実、微妙にズレている。
そして天災にいたっては「味気ない」だの「つまらない」だの言う始末。
それもそのはず。本作において天災は、七々々の思想に真っ向から対立する人物だからだ。
「現代人は夢を追う楽しさを忘れてるよ!」との七々々の主張に対し、天災は既に自分だけの夢をもち(名探偵になる)、その為の努力を惜しまず(謎を常に探している)、夢を追うことの楽しさを忘れない(他人に馬鹿にされても、いつかそいつらの鼻を明かすと豪語する)。
ぶっちゃけ、七々々の主張をこのキャラだけでひっくり返すことは充分に可能であり、むしろこのキャラを通して【現在の人間だって、なんだかんだで結構頑張ってるもんなんですよ】的なことをメッセージとした作品に仕立て上げてもいいぐらいだ。
そもそも、ヒロインの地縛霊設定自体が、無意味としか言いようがない。
そもそもおかしいのが、ヒロインが成仏できない理由が【自分を殺した犯人が知りたい】という理由だけってこと。それだけで幽霊になれるんならこの世は霊で溢れ返ってるだろ……。
それならいっそ、ヒロインが成仏できない理由に【自分の考えた七重島プロジェクトで、誰かが夢を追いかける喜びを実感する瞬間が見たい】とかにすればいい。で、その為に主人公に憑く、という流がれとかどうだろう? ネトゲやってる設定とかにするぐらいなら、こっちの方が断然よくね?
だってさ、「現代人は~~」とか冒頭でほざいてたヤツが、その現代人がハマってるネトゲ廃人で、そのくせ重護に対して上から目線とか、正直ドン引きなんだが。
でさ、過程を重視してる七々々だけど、逆に言えば結果を蔑にしすぎだよね。
人口の8割近くが学生の島で、超常の力をもったアイテムをあちこちに放置してるって、正気の沙汰じゃないだろ……。仮にこれがGREAT7らによる、【HUNTER×HUNTER】のグリードアイランド的なモノだったとしても。
学生の手に渡ったらどうなるかとか、唯我さんみたいなバカが湧いてくるとか容易に想像できるだろうに。
……と、まぁツッコみたいことはまだあるんだけど、天災が可愛かったので許す。