photon さんの感想・評価
2.7
物語 : 1.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
文化形成からの外道
まず私事なのだけれど、僕も長いことニートをやっていた時期があった。
働いていない時期に西洋の哲学書を読んで鬱になって、東洋の哲学書を読んでなんと無駄な時間を過ごしたんだろうと後悔をして、働いて働いて、そして今も働いている。
誰だったか忘れたけれど、ものの本によると生命はあまねく造化を繰り返しているのだそうで、人とその他の生き物との違いはこの造化の営みを意図的に制御する(矛盾した表現になるかも知れないが)ことが人にはできて、結果文明に還元することができることだと思う。ちなみにその他の生き物にとってそれはただの事象や現象に過ぎず、従って傍からみた時に慣習にしかなり得ないのだと思う。
営みは人が文明を築く上で不可欠なもので、文明という結果・指針が人たることと他を分かつような特徴を持つのだとしたら、文明のファクターである文化のひとつふたつみっつを放棄したニートは人からの道を外れる初めなのではないかと結論付けるに至ったわけで、僕は人から外れぬ道を選択し、西洋哲学はその原理を、東洋哲学はその手段を僕に教えてくれた。恐らく宗教学や倫理哲学、道徳哲学がそのトリガーとなり得るのだろうけれど(だからこそドグマなどという仰々しい存在があるのだと思う)。
そんなことを考えていると、この作品の面白さはニートが神を語る部分にあるのかもしれないなんてことも思ったりした。
神は人にとって(意図的な)造化のトリガーだと僕は思うわけで、その結果・指針のファクターである文化形成のひとつふたつみっつを放棄した先にある結論に関与し得る神がどんな存在なのかということを考えることは面白い。