三崎鳴 さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.5
状態:観終わった
過大評価…?
GONZO10周年記念作品として製作されたオリジナルアニメーション作品。内容は『ラピュタ』『紅の豚』を彷彿とさせる世界観で『とある飛空士』もイメージは近い。しかしながら個人的に本作品において手放しで褒められる点は広大な世界設定と高クオリティなCGで描かれる圧倒的な迫力の戦闘シーンのみである。戦争を題材としている以上、背景、いわゆる争いの発端あるいは動機、敵の存在などは明確にしておかなくてはいけないが、本作では説明を放棄しているため、「なぜ」「どこで」戦争が始まって、「なんのために」「なにと」戦っているのかが不明瞭なままである。その上横文字の専門用語が飛び交うので膨大な情報量についていけず、本作を高く評価している人間のうちどれだけの者が話を理解できているのか甚だ疑問である。又、テンポが非常に悪いが、かといって描写が丁寧というわけでもなくただただ退屈である。序盤こそ主人公達に惹き付けられる要素はあるものの話が進むに連れて存在が希薄化し、キャラクター性は非常に薄い為、感情移入できない。個人的なスタンスとして、基本的、難解な作品に対して説明不足を咎める気はない。視聴者に解釈を委ねるのも一つの作風だが、それはあくまで最低限の世界設定お披露目があっての上でなくてはならない。つまり、解釈をさせるにはそれなりに情報を最低限提示する義務が作者側に生じる。本作の場合はこれを放棄しているのが製作側の怠慢であると思えてしょうがないのだ。これなら運びや姉弟の日常物を中心にシリアスとコメディの配分を上手に取った作品として打ち出したほうがまだ良い(『ソラノヲト』『フルメタ』のような)。個人的な見解として、広大な世界観をベースとした作品構築には、①キャラクター性の濃い主人公(閉鎖的な性格や熱血系男子など)②分かりやすい対立図の提示(A国vsB国、巨人vs人間、ロボットvs宇宙生物など)③世界観を利用した壮大な展開(外的との対立だけでなく内部の謀反にもスポットライトを当てる、地球内での戦いから宇宙での戦いへ発展など)、の3要素が重要であると考えている。難しい事の要点をかいつまんで分かりやすく説明するのが頭脳明晰な者の方法だというのと同様に、ただ難解なだけでなく、共感を求める心理描写や勢いで惹きつける分かりやすい展開も用意しなければそれはただの作者の自慰行為に等しい。