「氷菓(TVアニメ動画)」

総合得点
90.4
感想・評価
8359
棚に入れた
35389
ランキング
53
★★★★★ 4.1 (8359)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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ネタバレ

OZ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

殺人の無いミステリーアニメ

原作の小説は未読だが
キャッチしている方からオススメして頂いたので
観てみる事にした
京都アニメーションが贈る学園ミステリー作品

■殺人の無いミステリーアニメ■
推理物と言えば『名探偵コナン』や『金田一少年の事件簿』等
殺人事件もしくは犯罪を扱った
物騒なイメージが頭に浮かぶけれど
日常の身近な謎を解き明かしていく『氷菓』

まず目に止まるのはやはり作画だろう。
「京都アニメーション」の名前から
少なからず期待をしてしまうのだが
その名に恥じない仕上がりは流石と言った所である。

印象に残ったのは演出面で
事件を語る際に流れる回想シーンでは
文字を視覚化した描写が多く
分かり易くも面白く現状を伝えているのは新鮮だ。

ヒロイン 千反田 えるが瞳を輝かせ
彼女の代名詞でもある「私 気になります!」を起点に
謎解きへと入る流れが定番になるのだけれど
バランス良く日常シーンを取り入れているので
ミステリー好きじゃなくても楽しめる。
派手なアクションや演出はないが
終始 安定した構成である。


反対に気になった点は掴みと次回への引き。
正直この2点は弱い。

最初に起きた「部屋閉じ込めの件」については
些細な事過ぎて面白みがなく
次の「図書室事件」も
物語の入り口として盛り上がりに欠け
掴みがお世辞にも良いとは言えない。

あっ!と驚く様な事件がメインでない為か
「次回どうなるのだろう?」と
真相が気になる程ではないので
引きの強さは感じないかな。

主人公 折木 奉太郎の推理力や
キャラクターの豊かな表情
細部まで作り込まれた作画は見物だが
淡々と物語は進み 展開に溜めがないので
謎を解いていく爽快感は薄く収まっている。

■千反田 えるについて■
今作品で好きなキャラクターは
断然 主人公の折木 奉太郎である。
序盤こそパッとしなかったものの
回を増す毎 魅力的なキャラへと変わり
観終わる頃にはすっかりお気に入り。

しかし 奉太郎以外になると
好きなキャラがいないのである。
決して嫌いではないのだが
千反田 えるがあまり好きになれなかったのだ。

あざとく感じる面もあるけれど
可愛いビジュアルや仕草で人気なのは頷ける。

彼女の好奇心が引き金となって
奉太郎はやれやれと言いつつも
古典部メンバーを巻き込んで謎を解いていく。

勿論 彼女に悪気は全くなく
これが魅力でもあるのだが
今一つ実態が掴めない。
言い換えれば奉太郎 里志 摩耶花達は
共感出来る所はあるのだけれど
えるには無かったのである。

例えば第12話で文集「氷菓」を完売させるべく
怪盗十文字を追うエピソードでは
古典部メンバーがあの手この手で尽くしている中
「いけません!」と言いつつ文化祭を満喫し
何度も目の前の好奇心に負け
本来の目的を見失ってしまうえる。

その後の料理対決エピソードでは
後を考えずに料理を作ってしまった事で
材料の無くなった摩耶花は苦労を強いられる。

第21話のバレンタインエピソードでは
一時的とはいえ天文部の沢木口先輩に無実の罪を着せてしまったりと
真相を知っていて止めなかった古典部メンバーも悪いのだが
自らの好奇心を満たす為
奉太郎達を頼りきっている様にも映る。

物語上 欠かせない存在だが
良くも悪くも自己中心的であり
今一つ彼女を好きになれなかったのである。

■絶妙な距離感■
作画以外に高く評価したいのは
キャラ同士の距離感が絶妙に保たれている事だ。

特に第14話「ワイルド・ファイア」の
料理対決エピソードでそう感じたものである。

一人一人バラバラに行動し
足並みが揃っているとは言えないけれど
それぞれのやり方で最終的に一致団結する。

時に友人 ライバル 恋人と
古典部メンバー間でそれぞれ異なってくる関係だが
「俺達は仲間だ」「ずっと友達だね」とか
仲間を強調する言葉は一切なく
却って互いを信頼しているのが伝わってくる。

分かり易いのは奉太郎と摩耶花で
表面上は邪険にしていても
心の内側ではしっかり認めている。
だからといって親しくする訳ではない関係とかね。

互いにべったりと依存せず
微かだが伝わる程好い距離感が
作られた仲間意識の胡散臭さを払拭してくれた。

言葉にせずとも深く繋がっている古典部メンバー達。
こうした距離感の描写が非常に上手いのである。

■あとがき■
厳し目に書いてはいるが
全22話をじっくり楽しめたよ。
最終話は余韻の残る締め方だったね。

欲を言えばもうちょっと音楽面を頑張って欲しかったな。
劇中BGMはマッチしていたものの
OPED曲共に印象が薄く
悪くは無かったのだけれど無難だった。

曲より映像の方がインパクトあるんだよね。
ルパン奉太郎とモリアーティ里志
えるホームズに摩耶花ポアロの後期EDが好きだな。

音楽面とキャラクターに
魅力を感じる事が出来れば
作品自体は素晴らしいので
間違いなくお気に入りになっていた。

終わり方を含め完成度の高い作品だったので
続編は観てみたいけれど
このまま完結するのが丁度良いのかなと感じたよ。

満足度 ★★★★★★★★☆☆ (8)

投稿 : 2014/08/14
閲覧 : 465
サンキュー:

91

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