kids さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
演出と安定感が目立つ王道ラブコメ
原作は全く読んだことないですが、ジャンプに連載中の漫画が原作です。王道をいくラブコメで、ハーレム要素も結構強めかなと思いました。
はじめに
この作品を観るにあたっては、次の2つの壁を超えられるかで印象が大きく変わると思っています。
1,強引な設定
10年前の過去がキーになるのですが、過去にこだわる動機や絶妙に曖昧な記憶など、不自然さが多々残る内容だったと思います。雰囲気を楽しむタイプなら大丈夫ですが、気になる人には辛いかもしれません。
2,シャフトのらしい演出
化物語を始めとした作品を観たことがあれば、この作品がシャフトで作られたものなのはなんとなく観ていてもすぐに気がつくと思います。問題はこの独自の演出をどう感じるかです。僕は好みだったのですが、人によってはテンポが遅く感じたりするみたいですね。
登場人物について
この作品の主人公は一条楽です。10年前の夏の約束を今でも大切にしており、そのときに貰った錠をいつでも持ち歩いている男の子です。ヤクザの息子で、その影響でとある人と恋人の演技をしないといけなくなるというのが重要な設定になります。キャラとしてはこういう系の主人公らしく鈍感かつ優柔不断で、とてもやさしいのが良さなのはわかりますが、正直好感が持てませんでした。でも、心揺れる男の子だと思えばだいぶ受け入れられるキャラになると思います。
メインヒロインは桐崎千棘ちゃんです。彼女はツンデレキャラの王道をいっていて、この作品の中で一番かわいいキャラだなと思いました。ギャングの娘であることが影響して友達がなかなかできなかったりした過去があり、その分学校生活を最もシンプルに楽しんでいるのも特徴的でした。{netabare}中盤以降は楽のことを想っている自分を受け入れられず苦悩していて、そういった一面はとても感情移入できました。{/netabare}
もう一人のメインヒロインは小野寺小咲ちゃんです。活発な千棘ちゃんとは対照的にとても控えめで清楚な感じがとても引き立っていました。最初から楽のことが好きだという設定もあってか、作中通して思い悩んでいることがある印象でした。こういったところは理解しやすかったのではと思います。
その他
僕はシャフトの演出がとても良かったと思います。ちょっとした動きに独特なカットを入れるので女の子たちの動きがより可愛らしく見えるようになっていたと思います。OPも前期は話数が進むに連れて微妙に変化していたし、後期は初めて観た時には思わず笑ってしまいました。EDは各ヒロインのアニソンを使っていたのですが、これは好みが分かれそうだなという印象を受けました。物語シリーズとは違ってこのヒロインがメインというのがはっきりしていなかったのが痛かったなという印象でした。また注意深く観ると細かいところに文字が散りばめてあったりしていてそういったこだわりも良かったと思います。
また、どの回も笑いとストーリーのバランスがとれていて、安心して観ることができました。そういう意味で安定感が光っていたと思います。
あと気になることがあるとすれば、この作品の結末が想像もつきません。そもそも終わりがあるのか?とも感じてしまうので、そこは少し不安です。
超絶気に入る人はなかなか出てこないかなと思いますが、逆に言えば誰が観てもそれなりに楽しめて「ハズレ」にもなりにくい、そんな作品だと思います。