トゥラン さんの感想・評価

4.2
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

なぜ学園ものがこんなに好きなの？

最初に見たときは死後の世界を舞台にしたバトルもので、地下を根城にして天使に対して反逆を企てていくストーリーだと思っちゃった。
それで、2話の途中で放り出しちゃった。
だいたい天使ってなんだよー、学園の外はどうなってるんだよー、NPCってなんだよー、死んでも死なないなんて格ゲーかよー、いろいろ雑に感じちゃったから。

ところが、ちょっと経ってから我慢して最初から見たら、「Girls Dead Monster（ガルデモ）」のVoでGの岩沢まさみが成仏（と言っていいんじゃないかな）したシーンで一気に持っていかれちゃった。
それで、テーマがなんかわかったから、後は一気に見たんだよね。

ガルデモの次のヴォーカルになったユイはドジでうざキャラっぽいけど、それが生前の身の上とうまく符合していて、その消え方はとっても感動的。
…２つのギターが並んで壁に立て掛けられているシーンは涙ぼろぼろ。
それだけに、この後どうするのかかえって心配しちゃった。

心臓移植のドナーとレシピエントの関係が出てきた時は、ちょっとの違和感混じりだけど、びっくりした。
タイトルの意味はバンドと鼓動のハートビートということかなって。

なぜ天使が必要だったのか、なぜ学園しか描かれていないのか、そういう疑問をわざと置き去りにして、ストーリーを動かしてたような。

音無結弦、立華かなで、仲村ゆり、日向秀樹による卒業式で彼らが次々と消えていくシーンは絶妙。
画面の切り替えというよりカメラワークって感じ。
学園生活も、人生もいつかはさよならしなくちゃいけない。
その時に何を言うかよりも、不安に包まれ、涙流しながらみんなと言葉を交わすこと自体が大事じゃないかなぁ。

このアニメにいちゃもんをつけるのはわりと簡単かな。
他のキャラのエピソードが十分じゃないとか、
ちゃんと回収されていないモチーフがあるか、
NPCと影との関係の説明が苦しいとか、
でも、バンドと同じで完璧さよりもパワーやノリの方がずっと大事だったりするんだよ。

何よりこのアニメは学園ものの本質っていうか、なぜ学園ものを見るのかを気づかせてくれてるって思うんだ。
…誰も学園生活で成仏なんかしちゃいないんだってことを。