よぞら さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「せーのっ!」で世界を飛び超える
ゆずこ、ゆかり、ゆいの三人はバランスの取れた関係を基礎に持っている。彼女は「楽しいから」という理由で話題に興じるわけだが、そこではノリというのが重要な磁場として働いている。ノリというのは一種の環世界間移動だ。彼女たちは凝り固まることがなく、世界を一瞬で飛び越える。
高校生がよく陥るように疎外感や誇大妄想などのあるひとつの観念に固着してしまうと環世界移動できる幅が狭くなってくる。彼女たちはそういったことがない。だから屈託もなく、楽しいと言えるのだ。最終話のタイトル「ノーイベント グッドライフ」はなによりもそれを雄弁に物語っている。それは女子高生を見て人が言うように「かわいい」ですべてを乗り越える単一的な態度ではない。それでは結局自己言及的な回路に落ち込んでしまう。そうではなく、執着を持たず、トピックからトピックへ、ノリからノリへ、世界から世界へと移ること。それは彼女たちが相互に相手を信頼しているからこそ、為し得る妙技だ。信頼の上に成り立っているから、彼女たちの口ずさむ「好き」は脅威にはならない。だから三人はしあわせを見失うことがない。
私たちはアクセスしうるたくさんの情報に囲まれている。それはすなわち、たくさんの幸福に囲まれていることであると彼女たちは囁いている。私たちの決して届かないすぐそばで。