無心 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
せつないね。
true tearsを観終わった後、キャッチの方にオススメされたので観てみた。この作品に出会えて良かったな。
全26話でじっくりと登場人物それぞれの想い、葛藤、成長を観せられるので、終わった後の喪失感はかなりのもの。
幻想的な海の世界と相反する陸の世界。それぞれで生活する少年少女たちの一方通行な恋、海の掟。
中盤にはガラリと展開が変わって、『変わるもの、変わらないもの』に戸惑いながら、『人を愛すること』を学び、受け入れ成長していく。
海の住人、光、要、まなか、ちさき
陸の人間、紡(←要注意:この人めちゃくちゃイケメンです)、美海、さゆ
みんながみな別の方向を向いているが、誰が誰を想っているのか、心理描写がとても丁寧に表現されているので、視聴者が置いてけぼりにならない作りになっている。
『冬眠』という手法で一部の人間の時を止めたまま、5年の歳月を経たものとそうでないものを描くという構成は面白い。
これにより、紡とちさきは5才年上となり、小学生だった美海とさゆは、光や要、まなかたちに追いついた。物語は更に複雑となり、登場人物たちの真っ直ぐな想いに引き込まれていく。
特筆したいのは、後半からヒロインまなかをくってしまった、真のヒロイン美海。彼女の『光の役にたちたい』という真摯な想いに何度心打たれたか。
最後のおふねひきでまなかの代わりに美海が生贄となった時、彼女を助け出そうとした光の姿を見たらなぜか自分まで報われたような気持ちになった。
『私を想って泣いてくれる人を好きになって良かった』
このシーンとても良かったね。ハッピーエンドじゃないけれど。ここまで自分のことで相手が必死になってくれたら、気持ちに区切りをつけて前に進める気がする。本当はすごく、切ないけどね。
人を本当に好きになると、たとえ自分の想いは叶わなくても相手のためにと思ってしまうことがままある。でもそれと同じくらい、どこかでこの健気な自分のことをワカッてほしいという甘えみたいな想いもあったはず。そんな美海の気持ちに応えてくれた瞬間だったのかなぁと、一番好きなシーンだった。
【以上は真面目なお話。以下はただの愚痴なので読まないでも結構です。】
どうしても許せないと思うことが一つあったので、ぜひともここに記しておきたい。
ちさきという女性についてww
断っておくが、彼女がお色気担当だからとか、いかにも男性陣が喜びそうなサービスシーンが二回あったからとか、ましてや紡君の心を奪ったからとか、そんな陳腐な理由では断じてない‼︎と、思う。
ちさき『あんまり察しのいい男の子ってもてないと思うよ』
私『このバカもんが‼︎‼︎小娘に紡の何が分かる??』
…5年の月日を経て少し大人になったことで、光ではなく紡に惹かれている自分の想いに気付く。
誰よりも変化に恐れていた少女が、変わってしまった自分を受け入れてくれた紡に想いを寄せるシーンは、個人的に悔しくも…いいなぁ♡って思ってしまう。
自分の想いよりも、好きな人(紡)の幸せを願わなきゃいけないなんて、なんて切ないんだろう。
自分に置き換えて色々と考えさせられるような作品が好きな自分には、ピンポイントなアニメでした。