退会済のユーザー さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タイトルなし
古典的な純情恋愛風景が新鮮に映る、なんとも手法の冴えた作品。
この作品、主軸は主人公とヒロインのラブコメでありながら、その見せ方に一工夫設けられているのが特徴的だ。
不審者にしか見えない自称小説家のマゾ、男運の悪さが祟ってすぐに失恋してしまうOL、同性と遊ぶよりも異性で遊ぶのが趣味な原黒女子大生といった、まともな恋愛のできない人物の視点に立って二人の初々しく甘酸っぱい恋愛を酒の肴にしちゃうような、言ってしまえば趣味の悪い親父クサい作品。
が、それがこの作品の面白さに繋がっている。
恋愛から遠ざかった彼らからしてみれば、主人公とヒロインのやりとりは絶好のネタ。
あまりにベタでヘタクソな駆け引きや、相手のちょっとした反応にいちいち過剰に狼狽えたりする様は、羨ましくていじりたくなるし、面白そうに見えるから茶化しもする。可愛いから応援したくもなるし、ニヤニヤしながら見守りたくもなるというもの。
大人の視点を設けることで、相対的に主人公の空回り気味の奮闘や、ヒロインとの甘酸っぱい恋愛がより一層魅力的に映るという仕組み。これには唸らされる。しかもシリアス時は暗さや重さを取り払ってくれるしね。酸いも甘いも体験してる大人からすれば、主人公やヒロインの悩みなんて微笑ましいもんだもの。
問題は、この大人たちの視点に立てるかという点。これが無理なら、正直、この作品の半分程度しか楽しめないと思う。
……そんな人たちのことを考慮してか、大人たちのストッパーとして住子さんが居るんだろうな。ヒエラルキー的に一番上だし。
ただ、これがもしも、河合荘の住人が全員同じ学校の生徒だったり、舞台の中心が学校メインだったりしたら、おそらく凡作のラブコメにしかなっていなかったはず。
偏屈文学少女、程度の子どもを振り回すような麻弓さんら大人がいてこそ、本作は面白い。
……よくよく考えたら、メインキャラのうち3分の2が成年で、ヒロイン以外の女性キャラが非処女(さやかさんが処女ってことはないだろう)って、よくこんなのを深夜アニメに持ち込んできたなw