kids さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
実は結構明るい内容、だが特殊な構成で悲劇的なイメージに
原作は漫画ですが、この作品は本編よりも過去が描かれたアニメオリジナルの内容が展開されています。とても悲しい話ですが、中盤は明るいコミカルな内容も多く、素直に楽しめました。
ストーリー構成について
この作品の最大の特徴は、第一話が作品全体を通してみるとかなり終盤を描いているということです。第一話で作品の世界観や悲劇的な展開を視聴者に焼付け、その上でどうしてそのような展開になったのかを語っていくという構成になっています。その結果中盤は明るい内容なのにそれすら悲劇性を演出する材料と化してしまうところが、この作品の秀逸なところだと思います。
おまけですが、この作品が放送された当時は、実際とは全く異なる人物を主人公だとしてメディア展開を行うというフェイクをしていたそうです。公式サイトも第三話が放送されるまではフェイク用のビジュアルを用いていたほどの念の入れようだったらしいのですが、なぜそのようなことをしたのか、何か不思議ですね。{netabare}その主人公とされた人物は第一話で死んでしまうので、もしかしたら悲劇的な展開をより強く焼き付けたかったのかもしれません。{/netabare}
登場人物について
この作品の主人公は諫山黄泉との土宮神楽二人です。黄泉は神楽のお姉さん役として百合っぽさ全開で神楽に接していきます。養子として諫山家に入ったものの神童と呼ばれる剣の実力を持ち、諫山家の次期党首とまで言われていました。許嫁もいて一見彼とは仲が悪く喧嘩ばかりしていますが、彼とのイチャつきぶりも必見です。{netabare}そんな彼女ですが最後は自らが悪霊と化してかつての仲間たちに立ちはだかることになります。そこに至るまで彼女が周囲から追い詰められていく展開は、悲しいですが見どころと言わざる負えないでしょう。{/netabare}
一方の神楽は土宮家の次期党首として日々鍛錬を求められているとても内気な少女でした。しかし黄泉との出会いをきっかけにとても明るい性格になります。黄泉に憧れながら成長していく様も見どころですし、彼女とのイチャついているといえるほどの仲の良い様子は最後の悲劇を演出するとても大きな材料となりました。{netabare}闇に堕ちてしまった黄泉とは対照的に、{/netabare}彼女はそんな黄泉に何もしてあげられなかったことに心を痛め、そういった苦しい感情とどう向き合うのかをはっきりと問題としてつきつけられている印象があります。マイナスの感情に対して、感受性を失うことで傷つかないようにするのか、それとも全てを受け入れて背負うことで大事なものを失わないようにするのか、{netabare}最後のシーンで彼女が見せた笑顔は一体どちらを選んだことを示しているのでしょうか。{/netabare}
その他
OPもEDもそれなりにいい曲でした。特にOPは、明るい曲に合わせてヒロインの二人の仲の良さが伝わってくる映像が流れるのが逆に痛ましかったのが印象的です。
決して悲しいばかりの内容ではありませんが、明るいというわけでもない、そんな変わった作品ですが、試聴する際にはとりあえず第4話までは観ることをおすすめします。OPが観れますよ!そして本編もアニメで観てみたい、続きが観たい作品になりました。