STONE さんの感想・評価
4.1
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
構成力が見事
原作は既読。
本作は原作者の小山 宙哉が自ら脚本を担当しているが、数々のその場その場のエピソードや
描写が、後で意味を持ってくることが多く、無駄な部分がないんじゃないかと思うぐらい話の
組み立てが上手い。
テレビシリーズの頃から原作の構成力は凄いなとは思っていたが、1本の劇場公開作品に
なって、それが凝縮されたような感じ。
テレビシリーズの前日譚ということで、中盤までは六太と日々人の南波兄弟のそれぞれの
日々を描く。
日々人に関してはブライアン・ジェイとの交流が主となっている。テレビシリーズでは既に
故人となっているブライアンだが、数多くの「宇宙兄弟」のキャラの中でも個人的にはかなり
好きなキャラだけに、その在りし日々が観られるのはなんとも嬉しい限り。
ここではアポの出自や名前の由来、月面での人形や酸素生成装置など、テレビシリーズで
描かれた部分の発端とも思われる部分が描かれているのも楽しい。
テレビシリーズでの日々人だが、パニック障害前は何事もうまいことこなしていく印象が
あったが、本作での訓練生時代の日々人はやる気が空回りすることもある。この辺は後の六太に
重なる部分もあり、改めてやはり兄弟だなと思ってしまった。
一方の六太はまだサラリーマンをやっている頃だが、サラリーマン時代も決して好環境と
言えない場でも持ち前のバイタリティとアイデアで状況を好転させたり、知り合った人には
積極的に飛び込んで、結局は知り合った人が彼の魅力にはまってしまうところなど、後の
JAXAやNASAと同じ。環境は変わっても六太は六太だなと思わせる。
ブライアンの死を契機に再び出会う南波兄弟だが、六太の日々人に対する気遣いなど、やはり
この兄弟は素敵だなと思わせるものがある。
作画に関して、止め絵が多かったのが印象的。演出的なものなのか、スケジュールが
きつくてのものなのか判らないが、劇場版ゆえにちゃんと動かして欲しかったという思いは
あった。
全体的な作画レベルも劇場版なら、もう少し頑張ってほしかったかも。