にゃにゃお。 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ナルホド、隠れた名作。
初レビューです。
何か面白いアニメはないかと探していたところ、このサイトに辿り着き、この作品に出会いました。
アクション・サスペンス、伏線が最後に回収されるような、話の続きが気になってドキドキワクワクな話が好きなので、恋愛をメインに描いた作品はあまり見たことがありません。(決して嫌いなわけではありません。)
この物語は、高校生の男女6人の恋愛を描いたものです。
作品のタイトル「true tears」にもあるように、「涙」がキーワードになっていく感じです。
みんながそれぞれに誰かを想っていて、でも自分が向けた矢印の向こうにいる人は別の誰かの方を向いていて…
「三角関係」なんて単純な図式じゃ表せないような、もっと複雑なもの。
言ってしまえば、ドロドロです。
高校生がやってることなので、純粋で綺麗なものですが。
この作品、1度目を見終えた後にすぐもう1度最初から見直しました。
1度目は、主人公・眞一郎は最後にどの子を選ぶのか?
それだけが気になって最後までストーリーを追って見ていたんです。
本当に最後の最後まで、誰を選ぶのかわかりませんでした。
もしかしたら、このまま誰も選ばずに終わる…?
でも、彼はしっかりと自分で考え、自分で決めた答えを出します。
{netabare} やっぱり選んだのは最初から想い続けていた比呂美だったんですね。
比呂美派の私にとっては、これでよかった。けれども、選ばれなかった乃絵のことを思うと
{/netabare}
ハッピーエンドのようなそうじゃないようなモヤモヤ感がなんとなく残ったままでした。
2度目は登場人物それぞれの心情を追って見てみると、1度目には気づかなかったキャラや物語の魅力を感じることができました。
素直じゃなくて、眞一郎の近くにいる乃絵と友達になろうとしたり、乃絵への僻みをついポロっと口に出してしまったり。でも、そんなこと思ってしまう自分が嫌で。
ちょっと変わってるけど、純粋で天真爛漫な性格の乃絵とは対照的な、ちょっと腹黒い部分を見せる比呂美。
最も人間臭く、だからこそ共感できるキャラで、私の1番好きなキャラでもあります。
主人公の親友・三代吉くん。
とにかく一途。
自分の恋が叶わない恋だと気づいたとき、みんなは「代わり」を探した。
だけど彼は、乃絵に誰も好きにならない呪いをかけてくれと頼み、「代わり」を探さなかった。
愛子の本当の気持ちを知った後も誰に対して怒ることもせず、愛子には変わらず優しく接し、眞一郎には「お前ならいいよ。」と。
それに、人との距離の取り方もうまいと思うんです。
愛子に対しても眞一郎に対しても、そっとしておくべき時はそっとしておく。
恋愛面でも友情面でも、非常に魅力のあるキャラだなと感じました。
主人公の眞一郎。
彼を成長させたのは他でもない、乃絵です。
彼にはやり遂げなければならない大きな仕事が2つありました。
「絵本」と「踊り」どちらも乃絵がいたからこそ、やり遂げられることができたし、そして自分の気持ちにもちゃんと向き合い、答えを出した。
{netabare} その答えが乃絵ではなく比呂美であったことは、切ないところだけれども、彼にとって乃絵は大切な存在であることには変わりないはず。{/netabare}
踊りのシーンは本当にかっこよかったし、{netabare} 比呂美に想いを告げて抱きしめたときの表情も男らしくてドキッとしてしまいました。{/netabare}
そしてこの物語の大きなテーマである「涙」。
{netabare} 結果的に乃絵は涙を取り戻すことができました。
が、切ない。
でも、その切なさの中には、悲しみや辛さは感じませんでした。
うまく表現できないけど、流すとスッキリする涙。
眞一郎に出会って、恋というものを知って、実らなかったけれども、涙を流すことができた。{/netabare}
この涙は乃絵の成長の証なのだと、2度目を見終えてみて気づくと、1度目に残ったモヤモヤ感が解消されました。
キャラに焦点を当ててつらつらと感想を述べてみましたが、オープニングもすごくいいですよね。
なんたって、曲がいいです。
作画も素敵です。
冒頭の紅葉の鮮やかさとか、雪山とか。
特に好きなのは、夜の麦端祭りの風景ですね。
ここまで、かなりのベタ褒めできましたが、「これ、めっちゃ面白いよ!見てみて!」と言えるほどイチオシかと言われると、正直そこまでは…。
かなり不思議ちゃんの乃絵のキャラは受け入れにくい人もいるだろうし(私は嫌いじゃないですよ。)、鶏の雷轟丸と地べたが飛べる飛べない=眞一郎と乃絵の気持ち・行動の比喩表現とゆうのも少し理解しにくいところがあります。
でも、個人的にはすごく楽しめました。
「隠れた名作」や「もっと評価されるべき」といった表現にナルホドな。と思わされた作品です。