雷撃隊 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
戦争は拠点の奪い合い
ガンダムはホワイトベースの航海録だがジオン軍と連邦軍の戦記物でもある。補給線上の拠点の奪い合いという国家と国家の戦争をかなり正しく再現している。
まず1話冒頭で戦争勃発から戦況の膠着までが簡潔に語られる。本編の映画1に当る部分で連邦軍の反抗作戦がはじまり映画2の部分では奪われた拠点の奪還作戦が描かれる(オデッサ作戦、ジャブロー戦)。映画3ではジオン軍の補給線を逆に辿り敵本国に迫る(ソロモン、ア・バオワ・クー)。そして条約調印で幕となる。この国家と国家の戦争を正確に描いているのは1Stが一番解りやすく出来がいい。ちなみに後のZ、zzは内戦なので少し異なり、νはホロコーストが目的なので殲滅戦に近い。
主題歌の歌詞に「巨大な敵を、撃てよ」とあるが戦争全体を見た場合、有利な金持ち連邦軍が貧乏ジオン軍を追い詰めてゆく展開だ。しかしホワイトベースのクルーは地獄を経験する。彼らは巻き込まれたから生き延びるために戦っているだけである。愛国心も理想や野望も持ってはいない。戦争全体から見れば取るに足らない雑魚に過ぎない。ガンダムそのものも足軽で一兵卒である。歴史を動かしているのはギレン総帥やレビル将軍たちである。富野作品で度々批判の対象となる「汚い大人たち」だ。勝ってる戦争でも場所によっては地獄になるわけだ。ホワイトベースがいなくてもジオン軍は補給が伸びきって飢え死にだろうし・・・。ガダルカナル島の日本艦隊と同じ運命だろう。
映画2では黒い三連星が登場。ケロロ軍曹が「ドムは3つないとダメなの」と言っていたあれだ。「ジェットストリーム・アタックだ」「踏み台にしてったー」いいね。
もう一人、青い巨星ことランバ・ラルも登場。この人は唯一アムロを本気で苦しめた強敵だろう。シャアよりも遥かにガンダムに打撃を与えている。大人だけど抑圧者じゃないところもいい。「私の出世は部下たちの生活の安定に繋がるからな」
働く大人としては一番まともな理由だ。数少ないまともな大人だったけどやはりというべきか早死にする。卑怯者ばかりが長生きするのは世の常でやるせなくシビアだ。
主題歌「哀戦士」は多くのアニソン歌手が歌い継いでいる名曲だ。この歌知らない奴はガンおたじゃないぞ。近年のガンダム見てると無性にこの曲が恋しくなる。昔は良かったとは言いたくないけど・・・。
ここ数年のガンダムは建国当初の理想を失い腐敗した国家みたいになってしまってなんだかなー、という気分になる今日この頃です。富野ガンダムはいいものだ。