kids さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
“ただ生きていられる”という名の幸せ
常に死と隣り合わせの極限状態を感じたことが今までにありますでしょうか?この作品の登場人物は常にそんな状態で生きています。また、作中グロい描写もあるのでそういうのが苦手な方にはあまりおすすめできません。ご了承下さい。
世界観について
この作品の肝は設定です。主人公である村上良太の周りにやってくる女の子たちは魔女と呼ばれる人体改造を施された存在で、超能力を使うことができます。首の後ろにハーネストと呼ばれるものがついていてこれに付いている3つボタンのうちの左下のを押すと溶けて死んでしまいます。そして最大のポイントは、彼女たちは鎮死剤を毎日飲まなければならず、もし服用しないと35時間程度で死んでしまうというものです。この設定が常に死が間近に迫ってくる状況を実現しています。
これら大まかな設定で満足できれば問題ありませんが、細かいところに目がいってしまう人はあまりこの作品を楽しめないかもしれません。というのも、細かいところだと矛盾点が結構たくさんあるからです {netabare}(例えば、橘の左手が明らかにめっちゃ動いていたりとか) {/netabare}。この作品を観るときはシンプルにストーリーを楽しみましょう。
ストーリーについて
ストーリーは、終盤がかなり強引であることに目をつぶれば、かなりいい内容だと思います。村上の元にやってくる女の子達にはそれぞれ独特のキャラクターがあってとてもそれらが引き立っていたし、メインではないにしてもハーレム要素まで入れてあり、そういうのが好みの人も十分に満足できたはずです。恋愛面も一人ひとりちゃんと主人公に惚れる理由があるのがいいなと思います。メインの物語は少なくとも9話まではかなり丁寧に描かれていたという印象でした。薬切れの恐怖と敵に見つかり殺される恐怖が常にあるのですが、これらを退けようと協力しながら成長していく様はとても見応えがありました。
登場人物について
先程もかきましたが、この作品の登場人物はとてもキャラが濃く、且つ感情移入できる要素があるキャラクターばかりです。
主人公の村山良太は幼なじみを自分のせいで失ったことを悔やみつつ、次々と現れる魔女たちを守ろうと全力を尽くします。この姿に心惹かれた魔女たちの気持ちを納得ですよね。
メインヒロインの黒羽寧子はこの作品の最重要人物です。とても子供っぽいけど、まっすぐで可愛らしい、そんなキャラクターに惹かれた方もたくさんいるのではないでしょうか。終盤もっと丁寧に描かれていればもっと良さが出たのになとは思うのでそこだけ少し残念です。
作中もっとも心理描写がなされていたのはカズミ=シュリーレンツァウアーではないでしょうか? {netabare}村山に想いを寄せる一方で彼の気持ちにも気がついていて、だからこそ揺れる恋心であったり、自分が生き延びることしか考えていなかったのに、気がつけば仲間と一緒にいることを望むようになったりと {/netabare}心情の変化が一番目だったキャラクターだったと思います。
その他
OPがとっても独特で、歌ではなくてメロディーです。僕はあまり好きになれませんでしたが、作品のダークな感じがとても引き出されていると感じました。
EDはいわゆるアニソンです。こっちはしっとりとしたバラードでとても気に入っています。
10話以降急に雑になったのは残念ですが、この作品を通して、ただなんとなく生きているだけでもとても幸せなんだなと思うようになりました。人ってホントに欲張りな生き物ですよね。あれもほしい、これもしたい、と思うのが人の常ではありますが、たまにはそういったことを隅において、今の自分が実は結構幸せなんだなと思えればなと思います。