くせ毛 さんの感想・評価
3.7
物語 : 5.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
惑星間通信
とうとうこのような時代がきたのか。
この物語の導入部分を見れば、まずそう感じた。
多くの人がまだ宇宙を遠くの存在に感じる現代、デブリという宇宙を漂流するゴミが深刻な社会問題になるなどということは身近に感じる人自体少ないと思われるが、こういった将来起こる可能性のある世界を庶民レベル、庶民の目線で描いたこの作品はとても意義のあるものだと思うのだ。
その中で、宇宙の恩恵を受けることのできる先進国の人間、そのような余裕などなく未だに地域紛争が続いている地域の人間がいる。そうした現在から続く社会問題を反映した部分もある。
宇宙開発が進みそうした格差は広がっていくばかりなのだ。
エゴイズムの追求が生んだしわよせを受けている人間による宇宙開発を妨害する革命運動。
しかし、そこで宇宙で生まれ、宇宙で育ち、宇宙を愛する一人の少女が現れる。
結局、人の笑顔を守るということはどういうことなのだろう。
他人を苦しい状況に追い込んでまで自分たちの幸福を願うということは正しいことなのだろうか。
「愛があればいい」
ただそれだけでも片付けられないことだということに主人公は気づいてしまう。
ただ感情の赴くままに宇宙に憧れ、求める青年の存在が人の生きる目的を探すことの如何をまた表現しているのだ。
結論は出ないままだ。
しかし、宇宙という計り知れないほど広大な空間の中でも、人の思いはその時空を飛び越えていけるのだということで締めくくった作品であったように思える。
それだけで解決するわけがない。
だが、宇宙開発が進んでも我々は決して、人を思いやる心を忘れてはならないのだ。
011 9/18