STONE さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
テレビ未放映部分も含めた感想です
原作は未読。
1期が人気のあった作品だけに最初から飛ばすかなと思っていたら、意外にも序盤は1期の
続きといった感じの話を淡々と進めている感じで、手堅い出だしの印象。
この序盤ではあまり話は動かず、新垣 あやせ、沙織・バジーナをフィーチュアした回が
あったりしたが、脇役にも魅力的なキャラが多い作品だけにこういう回はなかなか楽しい。
話が動き出すのは高坂 桐乃が高坂 京介に恋人の振りを頼む一件辺りからで、ここからは先が
気になる展開が最後まで続く。
その反面、1期に見られたようなオタクライフ描写などを中心とした、ストーリー展開以外の
遊びの部分が減ってしまった感じで、良くも悪くも2期はストーリー重視といった印象が強い。
展開そのものに関しては、1期における京介と桐乃の関係は、内心はともかく表面上は
兄妹愛といった範疇に収まっていた感じだったが、本作になってからは露骨に恋愛感情めいた
ものが出てきて、引く人は引くだろうなといった印象。
この二人の関係以外にも、ある状況に対してのキャラの感情は理解できても、その行動は
理解に苦しむことが多かった。
まあ、自分ではなく他者の行動なので、「この人はこういう行動を取るのね」と割り切って
見ていましたが。
演出に関しては、話が動き出してからは、各話のラストで次話への期待が膨らむインパクトの
ある引きが多かったのが印象的で、この辺は次へのつなぎとしてははなかなか良かったんじゃ
ないかと。
逆にあまりよろしくない印象だったのは、前振りが無く、いきなり結果だけ見せられるような
部分が幾つかあったこと。この辺は原作からの取捨選択によるものなのかな。まあ、本筋では
なく枝葉の部分だから、凄く気になるわけではなかったけど。
で、結末についてですが・・・。
この作品に限らず、結末に至るまでの流れなどは気にしても、最終的結果そのものは作り手が
そういう選択をしたのなら、それはそれで納得してしまうことが多いので、京介・桐乃ENDと
いう終わり方も個人的にはあまり不満はない。
ただ、最後の方はあやせ、黒猫、来栖 加奈子、田村 麻奈実と畳み掛けるようにケリを付ける
展開で、なんか残務整理をやっているみたいな印象があった。
まあ黒猫、麻奈実に関してはわざわざ出向いて、話をしに行っているから、本当に残務整理
なのかもしれないけど。
結果については不満ないと書いたが、あやせ、黒猫に関しては散々京介とのやり取りを見て
きただけに、その最後は見ていて辛いものはあった。
この二人は人気のあるキャラだけにこの結果に不満を持つ人も多いだろうなあ。
最後まで誰ともくっつかないハーレムものなどはモヤモヤした消化不良感を感じることが
多いが、実際に誰か一人とくっついてしまうとこういう辛い部分も出てくるなと、改めて思った
次第。まあ、現実の恋愛でもよくあることではあるのだけど。
この他ヒロインとのケリの付け方で一番印象的だったのは麻奈実。
桐乃と殴り合うというキャットファイト部分もインパクトあったが、それ以上に1期から終始
おとなしかった麻奈実が己の感情を剥き出しにする部分はやはり印象が強く、京介への思い、
桐乃への激情など、今まで溜め込んでいた部分が相当あったのだろうなと思ってしまった。
京介と黒猫が付き合うことになった時も余裕を見せていた麻奈美だが、京介との付き合いが
長いだけにいつかは自分の元に戻ってくるという自信があったのだろうか。
そんな彼女にとって、自分より京介との付き合いが古く、兄妹以上の感情を持っていた桐乃が
唯一危険視すべき存在で、幼い頃から釘を刺していたのかな。
京介と桐乃の最後の関係については、「もう行くとこまで行っちゃえ」とも思ったりも
したが、作品の雰囲気からして背徳感を感じさせるわけにもいかないだろうから、この辺が
妥当な落としどころなんですかね。
他作品で見られる、「実は血が繋がっていませんでした。だからセーフ」みたいな展開は、
個人的には安直に思ってしまうので(「血が繋がっていないから恋愛感情が生まれた」なら
いいんだけど)、その辺には走らなくて良かった。
期間限定の恋人で、その後は普通の兄妹にすんなり戻れるのか?、と思ったりもしたが、
見方によっては桐乃の京介への思いは、幼い頃からの感情に縛られてのものにも見える。
そうだとすると、結婚式に至るまでの流れは、幼い頃からの夢を叶えることで、そこで
区切りを付けて、次への一歩を踏み出すための儀式だったのかもしれない。