nyaro さんの感想・評価
4.4
3話 一旦総括。今回で作品の世界観は考察できなくはないです。
1話 アニメ化が非常に上手くいっている成功例。待ちかねました。
{netabare} 待ちかねた2期が始まりました。一応先行して原作は読んでいますが、この作品はアニメ化がこれほど成功している例を知らないくらい、原作の理解が進みます。原作の文章がちょっと面倒で頭を使いながら読むので物語に入りこみづらいです。アニメ版は話が分かりやすいし、声優さんの演技もいい。エンタメ度が原作よりも数段上がっています。
原作を読んでいるので、考察的なことはもうちょっと話が進んでから書こうと思いますが、ハイファンタジーでありながらSFとしての仕掛けがすごい作品です。加えて「人間」を表現している本作。非常に面白くなってきました。{/netabare}
2話 まだまだ謎が多いですが、いろいろ収束していく感じが出てきました。
{netabare} カタコウムとカラスの花。そして根の国。葬られるのか、神の一部になるか死に関する2つの考え方ですね。1期で一番訳の分からないところが回収されて行くのでしょう。死者の灰も関係しているのがわかります。
神に逆らう。パラダイスシフトとは当然パラダイムシフトの事でしょう。神殺しがテーマだとすると、神殺しとは物理的に神を殺すことだけでなく、神の摂理つまり理に逆らうこと。だからラブラック=ベルが理の少女なんだろうなと言うことが感じられます。そこに正義と悪の二元論がどう絡んでくるのか。
アドニスもベルもギネスも結局神に逆らおうとしています。その行方はどうなるのか。まだまだ謎かけが多いですが、神殺し=旅をきっかけに物語が収束していく感覚が出てきました。 {/netabare}
3話 今回で話の意味は想像がつくと思います。一旦総括します。
理ではなくて理由の少女の意味が、今回の小さな少女のところで明かされています。と言っても、今までのところを考察していればそうだろうな、という当たりが付くという感じです。つまり、今回までついてこれた人はやっと意味の端緒がつかめたのではと想像します。ですが、それで合っていると思います。表現が面倒なだけで構造はそれほど難解ではありません。世界観だけなら1期の2話でわかります。
最後まで見るとカタルシスは確実に訪れますが、それまで興味が持続しないという印象は大いに同意したいところです。
この作品はベルの自分は誰か?故郷はどこ?というのがテーマでした。それを実体験するためにこんなにわからなくしたのかなと思います。それだけに、脱落者は多いと思います。
以下、作品の大きな構造のネタバレです。
{netabare} 要するにベルは地球からの移民船からカプセルで月に降りてきた少女である。だから怪力です。テーマパークがあって、休止モードに入ろうとしていたら人間が来てしまったので、休止モードに入れなくなった。ベルは遊びのことを考える幼子だった。そのたった一人の人間でベルをもてなすためにベルの好みに応じて奇妙に進化していった。それが「理由」である意味です。それが剣と魔法と音楽の世界だった、というような話です。
もちろん、剣や正義、城とカタコウムに物語としての意味性はあると思いますが、SFの仕込みと重なっているのでそれがややこしさを倍増させています。 {/netabare}
私自信、原作は1巻で一度脱落しています。アニメ(1期)という補助線を得て、今回やっと読み終えることが出来たくらいです(以前読んだかもしれませんが、理解を放棄して記憶から抹消している可能性もあります)。結果として非常に面白かったです。が、それは面倒な作業を終えた達成感に支えられている気もします。つまりSFスノビズム的な根性がないと付き合えたものではないです。
そういう話ですが、最後までこの作品に付き合おうと思った時に、本作の映像化はなかなかだと思います。この作品を理解して映像化した制作陣は相当のSFリテラシーの持ち主かと思います。
まあ、そろそろレビューとして書いてもしょうがないことになって来たので、この次は話が一段落した時にします。