nyaro さんの感想・評価
3.0
取り組みは素晴らしいです。震災と老齢化は入れるべきでした。
ユーチューブのお勧めで出てきて視聴。23分1話の町おこしアニメです。
大槌町というのは、東日本大震災で大きな被害を受けたところですが、なんとか復興をがんばっているんですね。面白い取り組みだと思います。この町はどこかで聞いたことがあると思ったら、井上ひさし氏「吉里吉里人」の舞台となった町だそうです。
小説そのものは長くてどうも読む気にならず手に取ってませんが「吉里吉里人」の中の架空の独立国家「吉里吉里国」を街おこしとして本当に作ってしまったので有名だったそうです。むかしからエンタメを積極的に取り入れたのか、この「吉里吉里人」がきっかけでエンタメに何かを見出したのか、でしょう。
なお、ウィキでこの町を調べたら2005年の人口分布ですらかなり極端になっていました。若者が流出し子供が生まれない現状がはっきりわかります。その中でまだこの作品を作る気力が残っているのは素晴らしいと思います。
で、作品そのものはロボットアニメですが、話的には神の使いとしてのロボットです。「大魔神」や風神雷神や不動明王の様に昔から神仏とバトルは親和性があるのでしょう。スーパーロボットの原点は宗教的なものの気もしてきます。操縦者が必要なのは「レイアース」なんかもそうでした。
この設定は隣に遠野市という民話のふるさとがある同町の題材としてはなかなか適切なのではないでしょうか。
話は面白くはないですが、アニメのレベルはなかなかです。見て損したとは思いませんでした。
町人も一部活躍するのですが、やっぱり登場人物のほとんどは萌え美少女です。ここはどうなんでしょう?ヒロインとして萌え美少女が活躍するのはいいのですが、老人パワーや現地の特産品パワー、それと町の史跡とかそういうのがもっと見えてくるとご当地町おこしアニメとして、わかりやすくなったのでは?と思います。
それと町で体験した東日本大震災と津波ですね。これは次世代に何かを渡したいと思うなら、ぜひメインストーリーのプロットに入れてほしかった。もちろんまだ13年ですから当事者も多く無理というのもわかりますが、逆に13年たちました。そこをちゃんと総括して意志を示すことも大事だったのでは?
ということで、ご当地アニメを大震災の大きな被害を受けた町、老人ばかりで過疎化が進んでいるであろう町で作ろう、という意欲は素晴らしいと思います。ですが、町の特徴がないばかりか、衰退の現状と震災の総括がないので、かえって他の街でもいいじゃん、というアニメになっています。そこが物足りないかな、と感じました。
評価はしません。大変でしょうけど、率先してがんばってください。