2022年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画一覧 14

あにこれの全ユーザーが2022年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画を評価したーデータを元にランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月22日の時点で一番の2022年夏(7月~9月)に放送されたアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

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年代別アニメ一覧

76.7 1 2022年夏(7月~9月)アニメランキング1位
映画 ゆるキャン△(アニメ映画)

2022年7月1日
★★★★☆ 4.0 (230)
874人が棚に入れました
高校時代、キャンプを通じて関係を育んでいった、なでしこ、リン、千明、あおい、斉藤。時を経てそれぞれの道を歩んだ5人が、とあるきっかけでキャンプ場を作ることに。 『ゆるキャン△』が演出する、自然の美しさや美味しい食事、焚火を眺めるようなゆったりと流れる時間――。 「美味しいご飯を食べたり、きれいな風景を眺めたり、温泉にゆっくり浸かったりして……明日もまた頑張ろう」 そんな気持ちになれるひと時の体験。2022年の夏は、映画館で野外活動しよう。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

受け継いでいきたい優しさの連鎖がここにある

【物語 4.0点】
『へやキャン△』、『ゆるキャン△』2期、映画『ゆるキャン△』。
2018年冬・1期終了後に立ち上がった足掛け四年に亘る3本制作企画の総決算。

大人になった社会人・なでしこたち野クルメンバーが、{netabare}年末戦士サンタクレンジャーから週末戦士作業着レンジャー{/netabare}に進化して、キャンプ場作りに挑むというオリジナルストーリーがメインだが、
決して、1期、2期の人気の余勢を駆った蛇足ではない。
じっくりと煮込まれた設定、脚本、シリーズを横断する伏線芸が提供される。


子供の頃、大人になったら何でも出来ると思っていた。
だが大人になったら案外出来ないことも多かった。
それでも大人になっても楽しいと思うことを皆と一緒にやって行こう。

官民含めた組織を越え始まったキャンプ場プロジェクトに対して、
周りの大人たちが優しく、さり気なく見守るのも暖かい構図。
しがらみの中にあっても、皆、本当はワクワクしたかったんだとの性善説に包まれる癒しの120分。

鑑賞後は凝り固まった心身が、心の芯から解きほぐされるのを実感しました。
整体やマッサージ店に高額なサービス料払うくらいだったら、
本作に鑑賞料金払って身も心も軽くなりましょう♪(←強引な勧誘w)


【作画 4.0点】
アニメーション制作は1期以来のC-Station。

2期では比較的温存していた?富士山も今回は冒頭から押して来ます。
未だかつて、これほどまでに、配給会社がロゴ富士山の松竹で良かったと思った瞬間があったでしょうかw

{netabare}カニだの鮭{/netabare}だの今回も飯テロは即死級の威力。
腹ペコで鑑賞するのは危険なので、何かつまめるフードは用意しておきましょう。

東京、名古屋、横浜と、なでしこたちの活動圏拡大に伴い背景も(聖地巡礼地もw)大増量。
その描き込みに労をいとわず、彼女たちの成長を好表現。
広がった大人の世界を、志摩リンが祖父から受け継いだ大排気量のバイクで駆け回る描写も感慨深いです。


【キャラ 4.5点】
東京・昭島市のアウトドア用品店「フォレストオウル」店員となった各務原なでしこを見守る店長・小牧。
刹那的にノルマを達成する営業ではなく、長期的にアウトドアファン層拡大に寄与する、
なでしこのある種の甘さをも容認するステキな女性。
なでしこに、この仕事本当に向いているわと評価しますが、あなたも相当に向いています。

{netabare}女子高生3人にランプにお試しで火を付けたりしてアドバイスするなでしこの接客に、
なでしこが「カリブー」に何度も眺めに来たランタンをお買い上げするまで見守った店員の姿が重なります。{/netabare}
TVアニメ版で客として優しくおもてなしされたなでしこが、
今度はキャンプの楽しさを広める店員となる優しさの連鎖が温まります。


名古屋の「しゃちほこ出版」編集部員として苦闘する志摩リンを見守る先輩アフロ社員・刈谷。
{netabare}部下が伸び盛りと見て、裏でフォローする心情を上司・白川に吐露する件。
それを受けて白川がお前のほうが大変だったとイジり返す。{/netabare}
先輩が後輩を育み会社の将来を繋ぐ。
氷河期に断絶した当たり前の育成精神がこの会社では連綿と続いています。
こんな暖かい社風なら、ブラックに呑まれて消えていったアイツも凍えずに済んだのかな……。
そう考えたら目頭が熱くなるものがありました。


大垣千明、犬山あおい、斉藤恵那と他の野クルメンバーも成人。
映画では恩師の“グビ姉”鳥羽に続いて{netabare}千明{/netabare}が酔いどれ2号として覚醒w
早速、{netabare}酔った勢いで名古屋から遠征し、タクシー料金メーター9万オーバーの{/netabare}武勇伝を打ち立てるw
ですが、これがプロジェクトの始まり。“飲みニケーション”も悪くはありません。


【声優 4.5点】
実はメインキャスト陣が成人した野クルを演じるのは1期12話の妄想シーンに続いて2回目。
因みに、キャラ設定等も、その妄想シーンから組み立てられており類似点多数。
イメージトレーニングも万全で、キャラを崩さずに成長を演じる好対応。

ナレーションは引き続き大塚 明夫さんで盤石の安心感。
最後、{netabare}兼任する志摩リンの祖父役として発した「いいキャンプ場だ」{/netabare}との一言に報われます。

犬山あおい役の豊崎 愛生さんは映画でも、まつぼっくりさんで\コンニチワ/などと暗躍している模様。
終盤、{netabare}帰って来た原付ビーノで\マカセロ/{/netabare}と男気?を見せたボイスも決まってました。


【音楽 4.0点】
劇伴もお馴染みの立山 秋航氏がオフィスシーンでもブレずに
笛とパイプのケルト風も散りばめる癒し系を継続しつつ新曲を量産。
今回は組曲「松ぼっくり」を編成し、キャンプ場完成までの道程を管弦楽も交えて生き生きと演出。

主題歌もお馴染みのお二人。
OPは亜咲花さんの「Sun Is Coming Up」
淡々と重ねた日々がちゃんと明日につながっていると励ます社会人応援ソング。

EDは佐々木恵梨さんの「ミモザ」
ふと立ち止まって振り返って変わった物、変わらない物を静かに確認するバラード。


【余談】
歴史文化財の保存と活用についても考えさせられた映画でもありました。
{netabare}特に、縄文、弥生の遺構辺りは、教科書に載るレベルの重文級であっても集客は厳しい。
実際、立派に整備された箱物に閑古鳥が鳴いている遺跡が当たり前になっている感があります。
土器発掘体験だけじゃ家族連れは中々やって来ないかと。
少子高齢化でインフラの維持すら難しくなっていく今後の日本にて、
遺跡の価値を損なわない程度のエンタメ化は検討に値すると感じました。{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 34

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

日常系を「映画」にする問題。「真面目かぁ〜い!」byあおいちゃん。

 一言寸評すると「真面目か!」。私はゆるキャンファンであるが、本作は真面目なスタッフさんが日常系作品を2時間の映画にしようと考えすぎて失敗してしまったという印象である。


 テレビで30分1話をちょびちょび見るには最適なゆるキャンであるが、2時間に引き伸ばすと非常に間延びして感じてしまうし、障害や課題を出して山を作るという基本的な映画のシナリオ構造も無理してやってる感があった。


 なにより大人になった野クルメンバーという要素が殆ど活きてない。わざわざそんな設定をするのならグッとくる展開に活かして欲しかった(ナデシコとリンちゃんは百合カップルではなく百合夫婦説を提唱している私としては、しれっと二人が同棲してるとか〜というのはネタである)。そもそも原作終わってないのに未来設定はねぇ。実際に時間が経っているデジモンのあれは最高だったけど。


 正直これだったらあんまり考えずに映像化されてないリンちゃんと綾乃ちゃんのキャンプ、さらにオリジナルのみんなでやるキャンプを加えて、いつもよりちょっと豪華なゆるキャンで全然良かったような。或いは「のんのん」みたいに普通に外に出るとか。


 あと、尺なんて作品によって最適量がまちまちなんだからポンポさんじゃないが90分でも、プリキュアみたいに75分とかでも面白ければ満足できるからもっと短くてよかった。2時間はほんまに長い。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 19

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

日常系アニメが一段飛ばしで現実の扉を開く歴史的瞬間 「遠くのものほど大きく見えた」に込められた複数のメッセージ

2018年の第1期
2020年の『へやキャン』
2021年の『SEASON 2』に続く、複数の女子高生を主人公にキャンプで繋がった人々の姿を描く青春群像劇『ゆるキャン』の最新作


本日、完成披露上映会に参加してきたのでネタバレ無しで観どころをご報告します


原作でも全くの未知とされている、社会人に成長した主人公らを描く原作者あfろ先生が監修もされた完全新作の120分です


特に前説も無く、登場人物が多く、シリーズを追ってきた人に向けた小ネタばかりの作品に仕上がっているのであらかじめシリーズを予習していただいた方が無難です


まず【冒頭の5秒】に注目してください
映画好きならハッとさせられる仕掛けがあります
しかもそれが実に“『ゆるキャン』らしい”仕掛けで心の中で大きくガッツポーズしてしまいましたw
それぐらい度肝を抜かれた冒頭です
その手があったかwと


そして「きらら系」とか「日常系」と呼ばれるジャンルの作品で原作のその先を描くという試みが初めてです
それぞれ社会人に成長したキャラ達は住む場所も職業もバラバラながら、実に個性を尖らせた姿で登場して来ます


特にキャンプを仕事にした各務原なでしこと、キャンプは趣味と割り切った志摩リンでは、かつて初心者だったなでしこの成長も相まって2人は同じ目線である様に思えても実は少し違った価値観にもなっている、という表現になっています


また、山梨に残ったイヌ子こと犬山あおいや、Uターン転職で山梨に戻ってきたあきちゃんこと大垣千明と、地元から離れた他の面々とでは今作のキャッチコピーである「遠くのものほど大きく見えた」の意味合いも違って来ますよね


この複数の場所で複数の視点が同時多発的に絡み合うのが本作の一番『ゆるキャン』らしい要素です


キャストによる舞台挨拶では「あきちゃんが転職に至るまでには色々あった」と語られていたので、その“色々”と言われていた部分が本編では描写されなかったので、裏設定なんかもまだありそうです
観終えた後も想像や考察の余地がありそうです


ちなみに斉藤恵那が横浜のペットサロンのトリマーに就職した姿は、1期の頃からキャスト陣の間ではなんとなく予想していたそうで、まさに予想的中だったそうです


肝心のストーリーですが、町おこしの一環として5人の主人公が寂れた過疎地に新たなキャンプ場を建設しようと奮闘するものになっております
あれ?
『鉄腕DASH』か『目がテン』の話でしたっけ?w
流石はシリーズ一貫して【全然ゆるくない】のが『ゆるキャン』ですw
劇場版らしいスケールの話ですねw


公式youtubeチャンネルでは、テレビシリーズの主だった舞台である甲斐常葉駅からも程近い“道の駅しもべ”に、リアルに新しいキャンプ場を建設する動画が公開されています
この新キャンプ場は今回の物語の舞台とは全く関係ないのですが、モデル地とコラボ地は別けておきたい、という公式と身延町の思惑があるようで、今後は映画の公開後に間髪いれずにオープンした後、『ゆるキャン』とのコラボを前提とした展開を予定しているそうです


さて個人的なイチオシポイントはあfろ先生の登場メカへのコダワリが今作にも上手く引き継がれたと感じたところです
既にキーヴィジュアルでは成人したことで自動車に乗る様になったなでしこやあきちゃん、祖父のお下がり(?)なのか新城肇氏と同じトライアンフ スラクストンに乗るしまリンが描かれています


本編ではその他のキャラの愛車にも目を光らせてみると面白いですよ
ポイントはあfろ先生は基本的に四角いフォルムや丸いヘッドライトを好むという点
恵那の愛車はお洒落で都会的な彼女らしいチョイスでした
それと志摩家の自家用車が小さくなった?と思った人は気のせいじゃありませんという点
しまリンが名古屋で1人暮らしする様になったのだから自ずとそうなった、と納得します


最後になりますが古くからのあfろ先生作品のファンにはお馴染みの“アイツ”が遂に銀幕デビューを果たします
あfろ先生は日常系漫画家じゃない、不条理SF作家だ!ってことを急に思い出す、そんな上級者向けのファンサービスがありますw


そんな『映画 ゆるキャン』は7月1日に全国ロードショーです
是非お楽しみに

投稿 : 2024/12/21
♥ : 17

71.7 2 2022年夏(7月~9月)アニメランキング2位
神々の山嶺(アニメ映画)

2022年7月8日
★★★★☆ 3.8 (32)
117人が棚に入れました
「登山家マロリーはエベレスト初登頂に成功したのか?」という登山史上における実際の謎に迫りながら、孤高のクライマー・羽生と彼を追うカメラマン・深町が前人未到の挑戦に立ち向かう姿を描く物語。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

山に取り憑かれた男の心理に呑み込まれる

夢枕 獏氏の小説を原作にした故・谷口 ジロー氏の漫画化作品(いずれも未読)を、
谷口氏の強い意志で、フランス映画界がアニメ化。
同国・映画賞での評価、人気を獲得した上で、
日本に吹替版として“凱旋”して実現した劇場公開作。


【物語 4.0点】
1500頁におよぶという原作漫画。
サイドストーリーは削ぎ落とし、孤高のクライマー・羽生と、彼の足跡を追う雑誌カメラマン・深町に絞り込み90分余にまとめる。


「マロリーはエベレスト初登頂に成功したのか?」
「登山史上最大の謎に迫る」「究極の冒険ミステリーが始まる」

などと煽って来ますが、これは如何にもプロモは五流の日本映画界による的外れな宣伝かとw
もっとも私も“マロリー”に釣られた口なので大きなことは言えませんが(苦笑)


開始後まもなく、この映画の主題が謎解きではなく、
山に惹かれる人間の豊潤な心理の開示にあることが分かります。

人間ドラマが積み重ねられるに連れ、羽生がエベレストに挑む理由の心当たりは
絞り込まれるどころか、終盤にかけて、どんどん増えて行きますし。
結局、最後も、{netabare}マロリー初登頂の真相も羽生の真意もぼかされたまま終わります。{/netabare}

この物語に対して、山も人間も謎に満ちていて奥が深いと唸って満足するためには、
ミステリーなど邪魔になるだけなのでザイル(縄)共々切って落とした方が賢明かと思います。


【作画 5.0点】
アニメーションはフランス、ルクセンブルクの3スタジオで制作。

登山物は実写も含めて、本番はあくまで山岳シーン。
日常&準備期間の街中のシーンは一休みとのバランスになりがち。
が、本作は街中から作画が超本気です。

元ネタ小説が90年代連載とのことで、
眼鏡のモダンの端っ子を咥えて口角泡を飛ばす、昭和のオヤジたちが支配した
喫煙率高めの日本社会もフランス人視点で緻密に再現。

人物の表情描写が繊細であるだけでなく、小物も物量、再現度共に高水準。
その小物にキャラの心情や性格を反映して演技させるレベルで構築される映像も芸術点が高い。

街中の段階から、道具の描写にまで魂が宿っているからこそ、
登山シーンにて、氷壁そびえる大自然に、登山道具と己が肉体一つで挑むクライマーの生き様に迫力が出ますし、
例えば、クライマー・羽生の、山や社会との距離感についても様々な着想が可能になります。

比較的、無難なアングルで構成される街中シーンの日常感。
山の画面比率を高める極端なアングルで、自然の偉大さと人間の小ささを強調する山岳シーンの非日常感。
映像構成の使い分けも良好。

総じて映像だけでも体感して損がないボリューム。

【キャラ 4.0点】
かつての天才登山家・羽生丈二。
山に対してストイック故、ただでさえ社会との溝が深い所に、
パートナーの事故が、さらに深い影を落とす。
彼が次どう行動するのか?次は助けるのか見捨てるのか?
変わりやすい山の天候並みにスリリングです。
そして、恐らく羽生自身も、自らの心理を理解できていない。

私も含めて、今、自分がここで行っている所業の理由を語れる人間などそうはいない。
私が、この映画と羽生から学んだ一番の教訓です。


そんな羽生の登山家心理に取り憑かれてしまった雑誌カメラマン・深町誠。
真実を求める内に深みにはまりキャリアが破綻をきたす。
ある意味、登山家並みに狂った報道人の性が羽生の心理とも共鳴し、
クライマックスを極限の狂気へと押し上げる。

{netabare}私は、羽生に身命を賭した最後のアタックを決断させたのは
深町の執念の取材だと感じました。{/netabare}


メイン二人の脇で、山だけでなくスポンサーの攻略も上手いライバル登山家・長谷、
羽生の後輩クライマー・文太郎などの登場人物が彩るが、見事に男ばかりw
女など文太郎の姉として登場する涼子さんくらいしかいない。
本作は武骨な山と男の映画ですw


【声優 4.0点】
羽生役の大塚 明夫さんを、深町役の堀内 賢雄さんが追いかける渋いキャスティング。
深町視点で進行するため堀内さんがモノローグでナレーションも兼任。
年輪を分厚く刻み過ぎて、見えなくなってしまった本音が、見えそうでやっぱり見えない。
面倒くさい男の性を、声色レベルで心理を示唆できるベテラン二人が好演。

このお二人の間では文太郎役の逢坂 良太さんも可愛らしい後輩役です。
が、{netabare}終盤、化けて出てくるトラウマ描写は結構怖かったです。{/netabare}

涼子役には今井 麻美さん。落ち着いて過去を振り返る演技で、
ベテランを前にしたミンゴスのキャリアの確実性を確認。


【音楽 4.5点】
劇伴担当はアミン・ブハファ氏(チュニジア)

寒々しい弦楽の調べ→勇壮なオーケストラという登山映画の定番。
そして、やはり宇宙空間に匹敵する未知の領域である高山には重厚なシンセの和音が似合います。


作画だけでなく、効果音もまた街中から本気なのも高ポイント。
濃密に再現された日本の大都会の喧騒があるからこそ、
山肌が軋む雪山の不気味な静寂の説得力が倍化します。


【付記】
「なぜ、山に登るのか?そこに山があるからだ」
本作でも登場するジョン・マロリーが語ったとされるこの名言。
これもまた独り歩き名言の一つでしてw

NYタイムズ記者の「なぜあなたはエベレストに登りたいのか?」との質問に、
マロリーが「そこにあるからさ」とエベレストに限定して答えた内容が、
いつの間にか山全体にミスリードされ、登山家の哲学的発言だと拡散したのだとか。

質問内容自体も上辺だけで、回答も社交辞令な印象。
人間・マロリーの深層心理をえぐるには程遠い。

マロリーのエベレスト初登頂の真相。記録、競争などどうでも良い。
男の生き様に深く惹かれて、奥地まで追ってきた深町に羽生がこぼした本音が、
上記の逸話とも混ざり合って、何とも言えない渋い余韻が残りました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24

みのるし さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

おそらく劇場で鑑賞したらこの何倍も素晴らしかったことだろうなと軽く悔やみましたぜ

正月休み明けの3連休。いきなりアマプラで配信が開始されていたのでそらあもう見ますでしょうが。

一応ミステリーとか書いてあるんですけど、見た感じ『そうかぁ~??』とは思いました。

ボクね~。SFとミステリー弱いんですよねぇ。


そんなボクでも全然楽しめました。
…ってかタイトルにある『登山史上最大の謎に迫る』といったようなことがあったのかなかったのか。ってボク的にはそう感じました。

確かにその謎を追っかけるって話にしないとこれは前に進まんのですが、なんか途中でそんなことどーでもええやんけと思うようになっておる自分がおるわけでした。


そうだす!!

そんなことどおでもええよって思ってしまうくらい主人公のおっさん2人の生きざまとゆうかかかわりとゆうかそこになんだか運命的な何かを感じましてですね。

そこにとにかくものすごい心動かされまして、謎とかボクの中ではもはやどうでもよくなっておったのでした(…そんなんでいいのか?)。

それに加えてまあ雄大な自然エベレストの山々の恐ろしくも美しい描写の素晴らしいことと言ったらない。

ここまで描き切った作品てかつてあったんだろうかと思うくらい素晴らしかったです。

それに合わせた音楽も素晴らしかった。劇伴だれがやったんでしょうか(笑)

おそらく劇場で鑑賞したらこの何倍も素晴らしかったことだろうなと軽く悔やみましたぜ。


ま、ボク自身山登りとかまったくやらない人なのでこのハナシがどのくらいリアルなのかはうかがい知れるところではありませんが、映像の説得力がハンパなさそうな感じは受けましたんでそれはおそらくそうなんだろうと思います。

そおゆう部分はよい作品であるためには重要なことだと思ってまして、実はよくわからんけどものすごい面白かったとゆう作品に共通する部分ではないかしらとも思っております。


とゆうわけで見てはらへん人は是非ご覧になることをお勧めします。
アマプラで配信はじまったばっかりやし、時間も約90分ってことで一杯やりもって見たらサクッと見れます。

これ見て『オレもアルプスに上るぞ!』とはなりませんけど、金剛山ぐらいは登ってみようかなとなるかもしれませんぞ。(ならんか)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「なぜ山に登るの?」という疑問に「回答はない」という作品。

 原作はかなり昔に読んだので詳細は忘れました。ただ、エヴェレストに登頂する前に少しでも身軽になるためにスプーンの柄を削ったり、ノートの表紙を破るとかいう表現があって、そのギリギリを表現した8000M級登山の恐ろしさすさまじさに戦慄した記憶があります。

 アニメになった本作は、上下2巻しかも結構厚い作品を良くまとめたとは思います。山に魅せられた男たちの狂気を良く描いていました。ただ、そういう鬼気迫るディテールが描けていたかどうかはちょっと疑問です。
 文太郎のシーンを丁寧に描いていたし、長谷に対する感情も説明しすぎない感じで上手に表現できていたのは、すごいなあと思いました。
 が、最後の日記のシーンが割愛されていました。リンゴを種以外すべて食べつくすような、凍えるような、酸素が薄くなった極限の感覚が無くなったので、作品の迫力が半減した気がします。

 マロリーのカメラは登山をする人なら分かるのでしょうか?あまり、ストーリーとは関係ない「そこに山があるからだ」という表現にしかなっていない気がするのですが、どうでしょう?それがテーマと言えばテーマですけど。これは原作でも確かそういう印象だったと思います。

 キャラデザはちょっと地味すぎです。このテイストなら実写版でいいのでは?とも思いますが、考えて見たら山岳ロケって大変ですもんね。谷川岳の一ノ倉沢とか屏風岩のオーバーハングとかの描写は確かにアニメ向きです。
 不思議なことに中盤のシーンの新聞記事が全く関係ない東日本大震災の記事だったのは、何か含意が?それとも手抜き?ここはいただけません。

 内容が内容だけにずっと暗い色調の画面だし、山の絵も美しいという感じの作画ではないので、爽快感はかけらもありません。寒いだけのアニメでしたが、それは多分演出意図としてはあっているのでしょう。

 総評すると、山岳もの一人の山に魅入られた男の人生を描いた作品として、出来はいいと思います。が、エンタメとしてのカタルシスや登山のウンチクには期待しない方がいいです。
 なぜ、登山なんかするんだろう?と思う人にたいして、回答なんてないよ、という作品です。人の本質を描いているという点では文学的でした。

 なお、冒険ミステリーと言ってますがミステリー要素はほぼ無いです。

 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

71.2 3 2022年夏(7月~9月)アニメランキング3位
夏へのトンネル、さよならの出口(アニメ映画)

2022年9月9日
★★★★☆ 3.6 (97)
356人が棚に入れました
あの日の君に会いに行く。

ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……

掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。

これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

過去ではなく未来へ向かって生きてゆく

これは主人公にとっては、ほんのひと夏のできごと。
でも、現実世界では…

ウラシマトンネル。これは過去で失ったものを手に入れることができる魔法のトンネル。
トンネルに入ると過去へ行くことができるそうです。
但しトンネルの中と外とでは時間の流れが違います。
トンネルの中ではわずか数秒の時間でも、トンネルの外では数時間も時間が経過します。


主人公は塔野カオル(とうの かおる)。彼は過去のできごとにより笑顔を失った高校生。

彼には、とても仲の良い妹がいました。
{netabare}でも、些細なことで喧嘩して、その日に妹は亡くなった。
妹は兄に大好きなカブトムシをあげて仲直りするつもりだった。
そのために木に登り、木から落ちて…

その後、家庭は冷え切ってしまい、母は家を出て行きます。
それから父は、酒に酔うたびにカオルを責め続けるのです。
{/netabare}
こんなことがあったら、誰でも笑顔を失います。
だからカオルは、未来を向いて生きていません。
彼の願いはたった一つだけ。{netabare}「妹が生き返ってほしい」それだけです。

それは無理な願いだと、彼にも十分にわかっています。
でも、それができるのならば、他は全ていらない。自分の命すら… 彼にはその覚悟がありました。{/netabare}


そんな彼が駅で出会った転入生の花城あんず(はなしろあんず)。
彼女も決して笑顔を見せない女の子。
{netabare}
大好きだったおじいさんが売れない漫画家だったため、彼女の両親はおじいさんを嫌っていました。
でも、おじいさんの影響で漫画家を目指そうとするあんず。
両親は、彼女の将来の夢を全く認めようとしません。{/netabare}


その二人が偶然見つけたウラシマトンネル。
このトンネルをめぐって物語は進行します。


トンネルの中で咲き誇る紅葉が幻想的で、とても奇麗でした。
二人とも無口で笑顔を見せませんが、お互いに相手を思いやる気持ちが十分に伝わってきます。
だから、この物語は意外と優しい物語です。

私は、ウラシマトンネルよりも、カオルの心の葛藤にいたく感情移入しました。

亡くなった人は、決して戻って来ません。
喧嘩をした後で後悔して、今度謝ろうと思っても、その人は、そのときまでに生きていないかもしれません。
だから、仲の良い人と喧嘩をしたときには、すぐに謝ったほうが良いですね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 24
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ウラシマ効果と願いの狭間で浮き彫りになる若気の至り

【あらすじ】
{netabare}欲しいものが何でも手に入る「ウラシマトンネル」
鹿との衝突事故により電車が止まるくらいの田舎を舞台に、
{netabare}亡き妹・カレンと幸福な家庭{/netabare}を取り戻したい高校生男子・カオル。
{netabare}漫画で世界に爪痕を残せる才能{/netabare}が欲しい女子高生・あんず。
二人が願望の代償として世界を捨てるに等しいウラシマ効果をもたらすトンネルを前に、
“共同戦線”を張る内に、距離が縮まる同名ライトノベル(未読)の映画化作品({netabare}83{/netabare}分){/netabare}

【物語 4.0点】
監督・田口 智久氏。

実写「デートムービー」も意識して、主人公の少年少女二人に焦点を絞り原作を再構築。
ヒロイン視点補強を試みて、二人の出会いなどの節目を詳述するため、
三度にわたる駅のシーンをアニメオリジナルで追加し、ボーイ・ミーツ・ガール成分増量。

「ウラシマトンネル」になかなか飛び込めずに事前調査を重ねる二人。
浦島太郎が予め竜宮城に行った後の顛末を知ってしまったら、
亀に乗るのにメッチャ逡巡して物語が停滞するでしょうがw
これが青春を生きる高校生二人なら、人生経験の少なさもあって不安定なアイデンティティや居場所のなさ。
“共同戦線”に下心や恋心はないのか?など整理できない自分の気持ち。
モヤモヤが些細な衝撃で暴発しかねない危なっかしさ。
若さは逡巡すらメインストーリーとして魅力十分な甘ずっぱいドラマに昇華させます。

トンネルの先を描いた終盤も、既視感は覚えるものの見応え十分。
何を言ってもネタバレになりますが敢えて一言だけ叫ぶと、
{netabare}気づくのおせーよ{/netabare}ってことでしょうか。


ガラケーがスマホに駆逐される前の時代が舞台とあって携帯メールが活躍するシナリオ。
連絡事項に改行スペースを重ねてスクロールさせ末尾に{netabare}「塔野くんてちょっとエッチだよね」{/netabare}と本音を仕込む技もベタですがあざといです。
ケータイ共々爆発して下さいw


【作画 4.5点】
アニメーション制作・CLAP

草薙(KUSANAGI)提供の細密な背景に押し負けない映像作りで、夏を始めとした季節感を好表現。
同スタジオの前作『ポンポさん』でも多用した、
色トレス(近景等の色彩に人物の主線の色を合わせる)も駆使して、
世界と登場人物の一体感をアップ。

小物に“演技”をさせる演出も上々で、
特に上記アニオリシーンで“助演俳優賞”級の活躍をしたビニール傘については、
描き込みが面倒な透明色にもめげずに二人の仲を橋渡し。
終盤の{netabare}錆{/netabare}の描写も良い仕事してました。

ただ私としては“助演俳優賞”は笑顔を彩ったヒマワリに授与したい心境です。

ケータイ画面やビニール傘が濡れる心情演出も文学的。
CGで構築された水面もまた波紋で揺れる男女の言動を反映する“役者”ぶり。


【キャラ 4.0点】
主人公の高校生男子・塔野カオル。
携帯プレイヤーは音楽鑑賞じゃなく外界の音を遮断するために使う系。
家庭に安寧の場所はなく、斜に構え、田舎で朽ち果てつつある典型的な疎外感を抱えた主人公少年。
世界から外れかかっている彼のメンタルこそが「ウラシマトンネル」を招き寄せた
という作中での考察、一理あります。

ヒロインの女子高生・花城あんず
東京から田舎に転校して来た、これまた典型的な孤高の黒髪ロングJK。
寄らば斬る(むしろ{netabare}殴り倒すw{/netabare})
そんなテンプレでツンツン、デレデレされたって俺は萌えないぞ。
……と頑なになっていた私ですが、彼女が{netabare}カオルに初めて自作漫画を読まれ論評{/netabare}されるシーンの足芸で、
あっさり萌えて陥落しましたw

それ以上にあんずにグッと来たのは世界に爪痕を刻むと決意する強さ。
特に{netabare}絵で物語る漫画がなくなるはずがない{/netabare}と熱弁する件。
「特別」を目指すヒロインのカッコ良さには異性としてではなく人として惚れ込みます。


【声優 3.5点】
実写とアニメの中間領域を志向し、メインキャストは俳優をオーディションで選出。

主人公・カオル役の鈴鹿 央士さんは声優初挑戦。
スタッフ陣はナチュラルなボイスがハマり役と好評していますが、
私は走って息切れるシーンの演技にしても、自然さより経験不足を感じてシックリ来ませんでした。

声に人生が滲み出る演技だなとも感じはしましたが、
哀しみ故に荒れた生活を送るカオルの父役の小山 力也さんにはまだまだ及ばない印象。

その点、ヒロイン・あんず役の飯豊 まりえさんは、声優経験もありまだ安定感がありました。

それでも、脇に回った畠中 祐さん&小宮 有紗さんじゃ駄目なんでしょうか?
という私の疑問をかき消すほどの演技ではなかったかなと。

ただし、カオルの妹・塔野カレン役の小林 星蘭さんは子役時代のスキルも生かした幼女ボイスで上々。
塔野家の天使に免じて評点は基準点+0.5点で。


【音楽 4.0点】
劇伴は富貴 晴美氏のフィルムスコアリング。
氏のBGMは管弦楽の迫力でねじ伏せるよりも、ピアノを中心に心情にそっと寄り添う方が味わい深いです。
本作でも遅効性の恋に繊細な音色がマッチしていました。

主題歌、挿入歌はeill。
アップテンポな劇伴ソング「プレロマンス」では二人の恋愛未満を的確に射抜き、
主題歌バラード「フィナーレ。」では濡れるリスクが増える相合傘の利点を恋愛面から力説。
一番刺さったのは既存曲のアコースティックアレンジとなった「方っぽ」
世界から外れそうな位の喪失感が痛切で抉って来ます。


【付記】
イケメン俳優&朝ドラヒロインをキャスティングして、
実写恋愛映画の如く、カップル集客も目論んでいるという本作。
ですが初週鑑賞時、まばらな観客は私も含めてアニメ&ラノベファンと思しきソロの男性ばかりで、
デート中のカップルなんて一組も見当たりませんでしたw

プロデュースが滑っている以上、上映期間も長くはないと思われるので、
興味がある方は、夏が消え去る前に、お早めに劇場に行くことをオススメします。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 17

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青春の共同戦線~ビニール傘をかして返してもらうまでの時間~

この作品は私が、ずっと楽しみにしてた作品の1つです。
原作を知ってる訳でもありません。
私はよくアニメ映画を見にくのですが、その中に必ずある映画告知でよく流れていたからです。
その時に、面白そうと感じたのが「夏へのトンネルさよならの出口」です。

2022年10月も凄く気になる作品がありますが、見に行きたいなぁ(*´˘`*)ニコッ
見たらきっとレビュー書いてると思います。




さて、私がこの作品に感じた事を書いていきます。
物語は、ウラシマトンネルと言う外と中では時間の流れが違うトンネルを発見する。
そのトンネルを潜ると欲しい物が何でも手に入る。
その対価として100年歳をとる。

そんな都市伝説的なトンネル発見した主人公とヒロインはお互いの願いの為にトンネルを攻略する共同戦線を張る!


主人公 カオル

彼の願いは「妹を取り戻す事」
妹のカレンは優しい女の子でした。
彼女は人の幸せを心から願える女の子です。
彼女の夢は「人が幸せになる世界にする事」
この幼い年齢でこの願いは凄いw

この歳だと、普通に可愛いぬいぐるみとか、欲しいゲームとか、願いませんか?
自分が恥ずかしくなるww

主人公のカオルの願いは「カブトムシが欲しい」コレコレ!コレが子供の夢よww

ある日、兄妹喧嘩をしてしまいます。
カオルは妹に「大嫌い」と言われて「大嫌い」と返して家を出ます。
妹はすぐに「嘘!大好き!いってらっしゃい!」と返すのですが、兄はそれも無視します。

彼が帰ると妹は木から落ちて事故死してました。
兄と仲直りしようとして兄の欲しいカブトムシを取りに行ったから起きた事故でした。

うん、これって結構キツいよね。
喧嘩なんて当然します……
でも、喧嘩をして永遠に会えなくなるのは……
私も似た経験あって中学生の時の思春期におばあちゃんと喧嘩しました。
その後、数日後におばあちゃんは亡くなってしまいました。

二度と謝る事もなく一緒に暮らしてる訳でも無かったので、それから言葉も交わさずに……
今でも心残りです。
だから、カオルの気持ちって凄く解ります。

彼が妹を生き返らせたいってのも凄く解る。
正直、多分、ずっと心残りになると思う。
いつになっても、「あの時なぁ〜」ってなります。

それに彼は妹が自分と仲直りしようとしての事なら尚更……
何を犠牲にしても叶えたい願いだと思いました。



アンズ

彼女の願いは「特別な才能が欲しい」
彼女のお爺さんは、漫画家でした。
しかし、売れる事もなく借金してまでも漫画を描き続けた。

そんなアンズも漫画を書く楽しさをお爺さんから教えて貰って彼女も漫画家になりたいと願うも踏み出せないでいました。

父に「お爺さんと同じになるつもりか!」と原稿をビリビリに破かれたそうです。
だから、彼女は漫画家になりたかった。
お爺さんを反面教師扱いする両親を見返したかった。

でも、自分の漫画は、どうしても普通にしか見えなかった。
出版社に持ち込んでもダメだと思い込んでしまう。

でも、自分も何か残したいと考えていました。
それが、彼女にとっては漫画でした。

実は私は彼女に凄く共感出来ました。
私も産まれて来たからには「世の中に何かを残したい」と思ってしまいます。
せっかく産まれてきたのですから私が私個人が生きていた証を……

で、私が他にも共感出来たのは自分の作品を自分の線引きで出版社に持ち込めないって点です。
自分の作品は普通だから……勿論書くがわからすれば面白いから書いてるけど、世の中には更に面白い漫画は沢山ある……だからこのレベルではダメだと……

実は、私も物語を書いていました。
今は書いてませんが……当時は、文庫本作家になってみたいなぁ〜とw
電撃大賞とかに出したいなぁ〜と思って書き上げたりしてましたが、結局は私も同じ理由で足踏みしてました。
文才も言葉も拙いのでw

結局、彼女は最後に編集に持ち込むので私なんかとは全然違うのですけどねw
で、アンズと私って多分、そんなに年齢変わらないです。
2005年になってたから1つか2つ先輩かな?
でも、同年代の子だと考えたら凄いなぁーって本当に思いますね。


だから、彼女の気持ちって色々共感出来ちゃいました。


ウラシマトンネル攻略 8月2日

攻略前日……アンズから自分の漫画を出版社に持ち込んだら気に入って貰えたそうなんです。
担当さんが付いて一緒に漫画を作りませんか?と提案されたのだと。

相談されたカオルは攻略の延期を持ちかけます。
それはウラシマトンネルの中と外では時間の流れが違うので数時間で数年経つ……すると多分、この漫画家への道は失われる……

しかし、カオルは1人でウラシマトンネルへ行きます。
アンズが気付いた頃には手遅れでした。

カオルのした事って正しくはあると思います。
共同戦線だからって最後まで付き合う必要はないし、トンネルは願いを叶えるのではなく、失った物を取り戻すトンネルだからです。
つまり彼女の才能は手に入らない。
それなら、尚のこと自分で掴んだ才能とチャンスを手放してまで一緒に来る必要はないのです。


でも、カオルはその反面考えが足りなかった。
アンズが自分の漫画が気に入られた時に相談したのは一緒に考えたかったのだと思います。

2人で共同戦線を辞めて2人で共に過ごす時間と、一緒にウラシマトンネルで妹のカレンを取り戻して3人で過ごす時間

その為なら、全てを投げ出してでも一緒に居たかった。
彼女は恋をしていたのです。

特別な才能が欲しかった彼女は、今はカオル特別な存在になりたかったのでしょうね……

でも、彼の決意は硬かった。
カレンダーを8月2日から破り捨ててました。
それは、それから先の時間は彼にはないからです。
更にはメールも全て消して、携帯も捨てて……
だから、決意の強さが伝わりました。


カオルは妹に再会します。
妹と兄の失われた時間。
カオルも子供になってました。
つまり時間が戻ったのです。

妹は自分が捕まえたカブトムシを兄にプレゼントします。
あの日、兄と仲良くする為に捕まえようとしたカブトムシ。

2人は幸せそうに話をする。
けど、カオルは気づく。鏡に映る自分の姿は高校生である事に……

そこに捨てたはずの携帯がメールの着信音を鳴らします。
そこには消したメールが全て復活してました。

ウラシマトンネルは無くした物を取り戻すトンネルですが、これでは言葉足らずです。

ウラシマトンネルは大切な物を取り戻すトンネルってのが正確だと思います。

過去の時間に戻ったって事は、元の時間の世界の大切な物を失ったと言う意味です。
だから、携帯もメールも戻った……そして自分の気持ちも。

妹も大事だけど妹と同じくらい好きな人……

実はカオルとアンズの2人はトンネルの外から中へのメールは届かないと実験していました。
しかし、今はメールが届いた。
それは、アンズの時間軸から無駄だ……届かない……そう知ってても送らずにないられなかったメール

経過する時間の中、アンズが送り続けたメール。
そのメールは、カオルが失った時間に送られたメールです。
だから、失った物としてトンネルを通じて彼に届いた。

彼は現実世界に戻るために走り出す!
カレンは知っていたのかもしれません。
兄が別の時間軸の兄だと……だから背中を押した。

カレン「大好きだよ!いってらっしゃい!」
自分に囚われてないで、気にしないでって彼女なりの優しさで。
喧嘩した時に本当に言いたかった言葉を添えて。

彼女の願いはなんだったけ?
「人が幸せになる世界にする事」
彼女が生きた時間のアンズは、引きずってる……カオルの事を……夢を叶えて連載を持っても彼女は笑えなかった……カレンの言う、人が幸せってのはアンズも含めてです。
だから、兄の背中を押した。
兄の幸せを考えられる強さを持ってるから。

私は死んだ人に生きてる人が出来る事って多くはないって思います。
でも、カレンにカオルがしてあげられる事がある。

それは現実世界で幸せになる事です。
人の幸せを願える妹の兄に出来るのは自身が幸せになり好きな人を幸せする事だと思います。
何故ならそれがカレンの願いだから……その1歩になる事が彼女に唯一してあげられる事なのかな?と思いました。

そうして、カオルとアンズは十三年ぶりに再会する。
13年……ウラシマトンネルの時間差……
13年間、ずっと待ち続けてくれたアンズ。
彼が戻る確信なんてなかった。
それでも、彼を待ってくれていた。
本物の愛なんでしょうね。
好きな人にそこまで待って貰えるカオルが幸せ過ぎますねw

理由はどうであれカオルは13年間アンズに心配を掛けて悲しませてきました。
これからの時間は、全力でアンズを幸せにしてあげて欲しいですね(*´˘`*)ニコッ

正直、この作品、ウラシマトンネルの調査中に大幅カットされてるような描写もあるけど、私に共感出来る事が多い作品でビックリしました。


因みに、ココに出てくる大人は最低の象徴として描かれています。

酔って暴力を振るうわ、息子が体調を崩すと心配すらしないで暴言暴力を振るう父親。

娘の夢を反対して原稿を破るわ、田舎に転校させ1人で暮らして頭冷やせとか言う両親。


この2人の出会いに……「親なんか居ないわ」「いいねそれ」って言葉があります。
最初は、カオルのいいね発言にビックリしましたが、これは2人が友達ではなく理解者であるんだろうなぁ〜と見ていて感じました。
ウラシマトンネルの共同戦線もお互いの利害が一致してるからでしょうし、お互いに理解者から恋人になるまでが描かれているのかな?とw

さて、この作品のタイトルって、「夏へのトンネル」はカレンの死んだ夏への入口、「さよならの出口」ってカレンへの未練を断ち切る為の、さよならの出口なんですね。
劇場版みた後に気づきました。
ある意味タイトルで盛大なネタバレされてるけど意外と気づけない上手いタイトルですね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

71.2 3 2022年夏(7月~9月)アニメランキング3位
雨を告げる漂流団地(アニメ映画)

2022年9月16日
★★★★☆ 3.8 (56)
252人が棚に入れました
まるで姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽。
小学6年生になった二人は、航祐の祖父・安次の他界をきっかけにギクシャクしはじめた。
夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに
取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。
その団地は、航祐と夏芽が育った思い出の家。
航祐はそこで思いがけず夏芽と遭遇し、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。
すると、突然不思議な現象に巻き込まれ――
気づくとそこは、あたり一面の大海原。
航祐たちを乗せ、団地は謎の海を漂流する。
はじめてのサバイバル生活。力を合わせる子どもたち。

泣いたりケンカしたり、仲直りしたり?
果たして元の世界へ戻れるのか?
ひと夏の別れの旅がはじまる―
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

団地は思い出を巡る方舟

石田 祐康監督のオリジナル青春アニメ映画及びNetflix配信作品({netabare}120{/netabare}分)
(劇場版を鑑賞)

【物語 3.5点】
小6最後の夏休み。少年少女たちの団地での“漂流記”を描く。
物語の柱は、団地育ちの航祐、夏芽二人。あとは団地に棲む謎の少年・のっぽ君。
特に取り壊しが決まった団地への未練が捨てきれないヒロイン・夏芽の抱えた物を、
漂流中の不思議なサバイバル体験、それに伴う子供同士の衝突などにより解き明かし、
ひと夏の成長を促すジュブナイルの王道。

よって種が明かされない漂流団地の仕組みについて説明を求めるよりも、
夏芽の心情周辺に焦点を当てた方が、迷わず航海できると思われます。
この視点から見れば、ここで起こしたトラブルで夏芽の何を掘り起こそうとしているのか、
明確な脚本意図が伝わると思います。
何より思春期一歩手前の小6の背伸び感たっぷりの人間模様は瑞々しく、
ロリショタは歓喜できると思いますw

惜しむらくは、団地アニメとしての個性がもっと欲しかった所。
築60年、様々な人生を見守ってきた団地。
とありますが、メインシナリオから共有できるのは航祐、夏芽の6年くらい。
歴史を感じる団地の描写や、団地伝統の夏祭りを示唆するカットなどで、雰囲気は味わえますが、
そこは団地建築当時の住民の営みなど、エピソードとして頂きたかったです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・スタジオコロリド

同スタジオの真骨頂である、ゲリラ豪雨などの圧巻の天候描写。
加えて“団地監修”を迎えて、描き込んだ漂流団地ほか建物、廃墟も出色の出来。

躍動する人物描写により再現された小6のワチャワチャ感も上々。
ちょっと目を離すと何しでかすか分からないガキンチョの危なっかしさが、
子供たちだけの漂流で解放されるドキドキの冒険要素。
終盤だけでなく、頭ぶつけたりするシーンも結構あったりして。
一歩間違えれば一人二回ずつくらい死んでます。


【キャラ 3.5点】
主人公格の航祐と夏芽。ツートップのキャラ解像度、団地への愛着度は良好。
“やすじい”に関するわだかまりと掘り下げは感動的。
夏芽は居場所を見失い漂流しがちな現代っ子の縮図です。

が、ここも団地と縁が深いのがこの二人とのっぽ君くらいというのが……。
七人で漂流するなら、過半数は団地関連の子供で固めて団地への愛を叫んでもらった方が、
クライマックスの共感度もアップしたと思うのですが……。
結局、団地以外のキャラの家族愛は隅に追いやられがちでしたし。
パワー担当で、{netabare}母ちゃんのコロッケ{/netabare}くらいしか愛を叫べなかった譲(ゆずる)君が不憫でなりませんw

ただし、団地を知らない子供たちの中でも、
令依奈は高飛車な憎まれ口で、シナリオの転換点として機能していました。
男子を原始人呼ばわりしつつ、航祐の前では赤面する。
ロリのツンデレは最高の遊園地アトラクションですw


【声優 4.5点】
主役の航祐役には田村 睦心さんの少年ボイスを、ヒロイン・夏芽役には瀬戸 麻沙美さんを、オーディションで選出。

他にはおっとり眼鏡枠の珠理役に花澤 香菜さんを指名し、
令依奈役の水瀬 いのりさんの喧嘩腰をなだめて見守る構図。

のっぽ役には声変わり前の少年も巧みに演じる村瀬 歩さん。
一人で場を賑やかにする大志役の小林 由美子さんのワンパク少年ボイス。

などなどキャストは声優陣で固める。

音響は、同じセリフを雰囲気を変えて複数収録し選りすぐる手法をしばしば用いる。
これは高確率でOKを連発できる実力を有した声優でないと難しい方法。
人気声優の名前じゃなく、技術を求めて、それを作品に生かせていると好感します。

ジーンとくる場面も多々ありましたが、
私にとっては物語以上に声優さんの演技にグッときた面が大きいです。

総じてロリショタ大歓喜ということで(←クドいw)


【音楽 4.0点】
劇伴担当は石田監督とは『ペンギン・ハイウェイ』でも組んだ阿部 海太郎氏。
ストリングスを押し出した感動系だけでなく、
“お化け団地”要素もフォローしたコミカルなホラー系も提供しエンタメ性を付加。
店内放送風のBGMで、思い出のトリガーとなる演出も、ノスタルジーを醸し出す。

効果音も、実際に団地で生音を拾うなど、多彩な音源を駆使して、
団地が漂流する超常の中でも、地に足が付いた実在感で、あの夏が夢じゃなかったことを示す。

主題歌は、ずっと真夜中でいいのに。「消えてしまいそうです」
他に挿入歌「夏枯れ」も提供。
小6にしてはチョット背伸びし過ぎな感はあるものの、
詩的な歌詞で夏の思い出を噛み締めることができる佳作サマーソング。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 27

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

期待通りの正統ジュブナイル。思い出は帰る場所じゃない、明日へと運ぶ方舟なんだ。

 「ペンギン・ハイウェイ」でも感じていたが、始まった瞬間から伝わってくるアニメーションと背景美術の詩情こそ監督の持ち味で間違いなかろう!。ストーリーやキャラ以上に、まず映像が心を打つものが出来ているというのは言うは易し行うは難しである。小綺麗な安定している仕事の作品は増えているが、その域に達しているのは数少ない。


 本作はジュブナイルものとして大きくはみ出すものは特にない。キャラもそんなに類型を超えているわけじゃないし、ストーリーは少々切り詰めた方が良い部分もあるように思えた(100分とかで良かったかな)。正直同じような事で何度も揉めるのは勿体なかった。


 ただ、とにかく映像の力が弱い部分を遥かに超えてこちらを高く導いてくれる高揚感が他の作品よりずっと勝っている。タイプは違うが「トップガン マーヴェリック」に通じるものを感じました。


 そこにちゃんとテーマとドラマが絡み合うように作れてるのが上手い。本作のテーマは「デジモン ラストエボリューション」と同じく思い出、或いは幼年期からの脱却とそれらが未来への道を拓いてくれるという点だろう。故にそんなのガン泣きするしかない案件である。しかも、これが家に帰ってもNetflixですぐ見直せるとか嬉しぃ〜!。


 なにより私の嗜好として美味しそうなショタが出てくれてるだけで大感謝である。ロリが溢れている日本アニメ界だが、良いショタは本当に希少だからそれだけでも嬉しくなってしまう。もっとショタ好きのためのアニメ出来ないかなぁ〜。あと、このツンデレって釘宮さんじゃないのにめっちゃ聞き覚えあるなぁ〜って思ってたらプリキュアのシエルやってた時のトーンの水瀬さんか!とクレジット見てやっと得心しました。


 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 14
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

哀しみの感情、包み込む幸せ

アニメーション制作:スタジオコロリド
監督:石田祐康、脚本:森ハヤシ、石田祐康
キャラクターデザイン:永江彰浩、
演出:渡辺葉、間﨑渓、竹内雅人、木村拓、増田惇人、
作画監督:近岡直、西村幸恵、黄捷、加藤万由子、
荻野美希、三浦菜奈、薮本和彦、水野良亮、坂口歌菜子、
渡辺暁子、平井琴乃、櫻井哲也、宇佐美皓一、篠田貴臣、斎藤暖

海上を漂流している、
SOSの文字の描かれた団地。
屋上には人の姿。
石田祐康監督が映画制作に取りかかる前に描いた
1枚のイメージボードだ。

その絵から生まれ出たのは、
それぞれの心のなかで、
ひっそりと留まって固まっていた残滓が
海上を漂う物語だった。

主人公は小学6年生の熊谷航祐と兎内夏芽。
幼馴染の男の子と女の子。
ふたりは、夏芽の両親の離婚と母の仕事の事情から、
同じ団地で姉弟のように育ったが、
航祐の祖父である安次の死がきっかけで、
関係性が変化してしまう。
そのふたりに加えて、航祐のことが気になる
羽馬令依菜と令依菜の長年の友人である安藤珠理、
航祐の親友である橘譲と小祝太志、
謎の少年・のっぽという登場人物たちが
不思議な漂流生活を送ることになる。

どちらかというとイメージ先行の作品だが、
それが好ましいものなので、安心して観られる。
昔は絶妙なコンビだった航祐と夏芽。
今でもお互いのことを大切に考えているが、
安次の死によって負った傷があまりにも大きすぎて、
なかなか修復できない。
ふたりにとって、大切な思い出は、
取り壊しが決まった団地での暮らしだった。

幸せな時間は住んでいた場所に残り続けるのか。
大切な思い出は建物がずっと覚えていてくれるのか。
暮らしていた団地や場所が、
人に対して何か影響を与えることがあるのか。
{netabare}簡単に言うと「付喪神」と呼ぶのかもしれないが、
この作品に限っては、団地自体が
色々な人々の想いを受けて持つことになった
「心」と言ったほうが正しいと思う。{/netabare}

映画を観て思い出したのは、
重松清のニュータウンを題材にした一連の小説だった。
日本で一時期流行った、東京や大阪郊外の大型マンション群。
夢見て購入した自分たちの未来が次第に変容し、
思い描いた夢と大きくずれていくさまを
ユーモアとシリアスを交えて情感たっぷりに
描いた作品で、多くの共感を呼んだ。
そこにあるのは、心の底から求めた願いの形。
人々が傷つきながらも、大切なものを渇望する物語の流れに
どこか似た香りを感じたのかもしれない。

ただ、この作品で思うのは、
細部におけるキャラクターへの寄り添い方や
心情の描き方が物足りないということだった。
中心は航祐と夏芽なのだから、
このふたりの心情をもう少し丁寧に描いて欲しかった。
イメージとしては、とてもよく分かるのだが、
例えば夏芽と母親の関係性や
航祐と夏芽の大切な思い出を
もっと丁寧に描き、現在につなげても良かったと思う。
{netabare}正直なところ、令依菜絡みの話は、
ほとんど必要がなかったと思うし、
珠理との話ももっと短縮できたのではないだろうか。
そもそも遊園地の部分の話が長すぎるし、
個人的には枝葉に時間をかけ過ぎているように思えた。{/netabare}
これは構成と脚本の問題が大きい。
もっと時間を短縮できただろうし、
その分、航祐と夏芽のつながりが強固になる部分を
膨らませて欲しかった。

とは言え、絵的なイメージやキャラクターの感情表現などは
目を瞠る箇所がたくさんあった。
子どもたちと一緒にひと夏の冒険譚を楽しませてもらった。

誰にでも大切な思い出が心のなかに必ずある。
そして、昔の想いを自分のなかで
昇華させながら成長する。
マイナスの感情もプラスの感情も併せて、
心のなかで何かを生み出す。

そうやって、私たちは大人になっていくのだ。
(2022年9月24日初投稿)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 29

71.0 5 2022年夏(7月~9月)アニメランキング5位
劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』[後編]僕は君を愛してる(アニメ映画)

2022年7月22日
★★★★☆ 3.8 (20)
104人が棚に入れました
これは、ある兄弟妹と、突然やってきたペンギンと、
この世界の過去と未来についての物語である——。

病気の妹・陽毬の命を救うため、謎のペンギン帽の命令により「ピングドラム」を探す
高倉家の双子の兄弟・冠葉と晶馬。
自身の運命を信じて日記に書かれた出来事を実現しつづける荻野目苹果。
新たな運命を導くため萃果の日記を手に入れようとする夏芽真砂子。
大切な運命の人を取り戻すために目的を果たそうとする多蕗桂樹と時籠ゆり。

彼らはそれぞれの運命と大切な人の為に「ピングドラム」を追い続けたのだった。

あれから10年——
かつて運命を変える列車に乗り込んだ冠葉と晶馬が、運命の至る場所からひととき戻ってきた…。

謎の赤ちゃんペンギンに導かれるままに巨大な本棚で埋め尽くされた
不思議な図書館へたどり着いた冠葉と晶馬。
「ようこそ、運命の子供たちよ!」
突然、本棚が割れて、ペンギン帽をかぶった少女が二人の前に現れる。
「それはあなたたちの物語」
図書館の司書を名乗る荻野目桃果は一冊の本とともに”大切な使命”を二人に授ける。
「きっと何者かになれるお前たちに告げる。己のなすべきことを見つけ、この世界を救うのだ!」
果たして冠葉と晶馬は何を見つけるのか…!?
ネタバレ

ソース さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

愛 し て る。 ほんのりとした優しさを感じる。

まず正直言うと、自分はこの劇場版に「少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録」のようなぶっ飛び具合を密かに期待していた所があったので、封切り前の期待値を上回ったかと言われると肯定しかねる部分はある。(まぁ総集編としての枠は飛び越えれてないよね)

しかし、純粋にTVアニメの際でも盛り上がった後半の部分を総集編としている為、前編よりも濃密なものに仕上がっている。そして前編同様、挿入歌などもいい感じにリニューアルされていて新鮮であった。そして {netabare} 運命の乗り換えのときの苹果の「私も...!」 {/netabare} というセリフ追加は秀逸。悲しい別れであるが愛を伝えられた!言えたじゃね〜か〜!

新作パートでは、自己犠牲否定でいくのかなと思っていたのだが、違った。私の見識が甘かった。{netabare} 自己犠牲,TVアニメラストの展開を認めながらの希望を感じさせる優しいエンド。冠葉達がこれから何者になっても、幸せになるのだろうな,大丈夫だろうな {/netabare} と感じさせてくれた。TVアニメラストよりも明るい雰囲気を漂わせていた。 {netabare} ペンギン眞悧そっちのけで「俺たちは陽毬のお兄ちゃんだ!」 {/netabare} のシーンは爽快だった。まぁ正直もっと先の未来を見せて欲しかった感はある。




あと 「少年よ我に帰れ」を流すタイミングが完璧だったぞ〜...とも言っておく(小声)





順当に良質な総集編でした。
幾原邦彦監督の今後のご活躍に期待をしております。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

劇場版の意味は?分かりやすくした?東日本大震災を受けて?

 TV版と主題は同じですが、若干分かりやすく修正されていました。ただ、前半よりは後半の方がTV版の再編集の印象は強かったです。

 テーマとしては、全体としては宮沢賢治的な利他・生命の循環というテーマ。家族とは家族愛とは?という子供に必要なのは愛であり、誰からも必要とされないと感じると透明になるという親による精神的虐待・ネグレクトを含むテーマ。
 そしてそう言うものが生み出した破壊衝動というか破壊に向かわざるを得なかった社会が生み出した悪意のようなモノです。

 こうやって見ると、例の宗教テロ事件をモチーフにしたというよりも宗教テロ事件とサカキバラ事件に着想を得て、その原因となった親と家族・教育問題を描きたかった、と見る方が自然だったかも、という気付きはありました。が、どちらが先でもいいと思います。

 後半は結末の修正でTV版よりも子供ブロイラーと透明な存在についてが分かりやすく描かれたこと、ピングドラムが生命の循環でありペンギンは陰陽の象徴であることが、分かりやすく描かれていた気がします。一方でオープンエンディングで余韻だった部分を見せてしまったのは、あまり関心しませんでした。

 悪意の象徴である渡瀬眞悧と善意の象徴である桃果の対の表現が、チビペンギンにより直接表現されたものの、一方でその対立が希薄になっています。全体的に悪意というか悲惨な出来事が省略されて一旦どん底に落ちる部分がマイルドだったのでカタルシスは弱い気がします。あわせて日記の方のピングドラムがちょっと希薄になったかなという気がします。

 例の白黒のクマがいる空間で鏡が割れていて、そこを歩くと傷がつくというのはそう考えると分かりやすいアナロジーで、あの空間は生きるということそのものだったのかもしれません。

 で「かえるくん、東京を救う」を入れた理由ですねえ…うーん。本作の舞台が2011年で、重要な出来事が95年。本作のTV版が7月からだったらしいので、おそらく東日本大震災は入れられなかったのでしょう。

 重要な震災2つの年と絡みながら、それを描けなかったことを修正しようとしたのかもしれませんし、家族・疑似家族の絆と愛情の問題より、広くとったほうが利他とか人間には誰にでも役割ある、みたいなことがが分かりやすくなるし、桃果と眞悧が活きてくる気がしたのかもしれません。
 ですが、ここは教育・親問題→子供ブロイラー→疑似家族で愛と承認と命の輪廻の話で良かった、気がします。大衆が人形みたいな理由はそこからわかりますし。

 となった時に、名作のテレビ版を越えたか、ですね。

 こうしてみると蛇足感はあります。面倒ではあってもテレビ版で十分言いたい事を言いきった感じでした。ただ、やっぱり2011年の東日本大震災問題です。
 ここで起きた創作上のパラダイムシフト…人間の間の悲劇よりあらがえない惨劇を経験しました。平穏な生活はいつでも破壊される。その現実の上で日本人は生きているという事実です。
 これがあるから新海3部作のともすればハッピーエンドは内容が無いと言われながらもそうしたのは、マーケティング的な思惑は別にして東日本大震災後に悲劇の在り方が変わったのでは?と思うからです。現実は悲惨だ。だったらせめてハッピーエンドを目指して生きようよというメッセージが必要になったと思っています。

 そうなったとき、この作品の最後に希望を持たせるためにこの作品が出来たと考えることはできます。それを想起させるための「かえるくん、東京を救う」を入れたのかな、と思わなくはありません。

 一方で大衆特に若い人がストレス耐性がなくなったから、バッドエンド・作品上のストレスに耐えられないという言説を聞きます。まあ、そういう面も必ずしも否定しませんが、そうなった原因にこの作品の主題である、親・教育・社会と子供の乖離が考えられます。子供は蝶よ花よで育てられて、ネグレクトというよりもスポイルされているからでしょう。その意味で新しい問題かもしれません。

 バッドエンドが駄目なのか?東日本大震災とストレス耐性などを含めて考えてみると、このリメイクに意味があるとするとそこかなあ…という気がしなくはないです。

 それとダブルHを登場させた意味がやっぱりちょっと消化不良だったかなあ。友情というには薄いですよねえ。TV版のEDを考えると運命論の話なんでしょうか?ここはやっぱりわかりませんでした。

 更にいじわるな見方をすると「RE:cycle of the PENGUINDRUM」の「RE:cycle」はリサイクルです。つまり、中古品を見せられている可能性はあります。お前らわからないみたいだから、中古品でもう1回分かりやすくしてやんよ?かもしれません。

 評価は…うーん、難しい。正直第一印象はTVでいいじゃん、ではあります。が、冒頭とラストの変更ですねえ。難しいので、取り敢えず保留の意味でまた、オール4にしておきます。

 テレビ版をまた見るかなあ…






 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 4

70.7 6 2022年夏(7月~9月)アニメランキング6位
ONE PIECE FILM RED(アニメ映画)

2022年8月6日
★★★★☆ 3.8 (112)
415人が棚に入れました
世界で最も愛されている歌手、ウタ。素性を隠したまま発信するその歌声は“別次元”と評されていた。そんな彼女が初めて公の前に姿を現すライブが開催される。色めき立つ海賊たち、目を光らせる海軍、そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにきたルフィ率いる麦わらの一味、ありとあらゆるウタファンが会場を埋め尽くす中、今まさに全世界待望の歌声が響き渡ろうとしていた。物語は、彼女が“シャンクスの娘”という衝撃の事実から動き出す。「世界を歌で幸せにしたい」とただ願い、ステージに立つウタ。ウタの過去を知る謎の人物・ゴードン、そして垣間見えるシャンクスの影。音楽の島・エレジアで再会したルフィとウタの出会いは12年前のフーシャ村へと遡る。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

海賊アニメとしても音楽アニメとしても異色

【まえがき】
ひとり語り多めの長文なので折りたたみw
{netabare}『ONE PIECE』は私にとってはハマる要素が多いはずなのに何故か入り込めない不思議なコンテンツ。
原作未読。劇場版鑑賞は本作が初めて。TVアニメも10年以上観ていないはず。

私は『パイレーツ・オブ・カリビアン』全作観る程度には海賊好きですし、
昔、観たエピソードも弱きを助け強きを挫く王道で、感動的だとも思いました。
が、キャラデザが合わないのか、
にしても涙腺脆すぎでしょ?啼泣だけが泣きじゃない。との感性の違いなのか。
観てはハマり切れずを繰り返す内に、自分は『ワンピ』とは縁が無いのだろうと距離を取っていた感じ。

だから私も最初はAdoさんが歌唱した本作の主題歌を耳にしても「うっせぇわ」って感じで聞き流していたのですが、
聞いている内に段々とウタに洗脳され、この歌かっこいいな♪となり、
脳内でヘビロテする中毒症状が現れたので、
Dolby Atmosでこじらせてみようと劇場に飛び込んだ次第。

尚、一部で、ウタの歌ばっかしで物語がおざなり。
タイトルや事前情報から、シャンクスが掘り下げられると期待したのに裏切られた。
といった雑音も耳に入った上で、ウタのライブに行くつもりで挑めばいいんでしょ?
と天邪鬼に天邪鬼で返す、捻くれた姿勢での鑑賞となっているのでご容赦下さいw{/netabare}


【物語 3.5点】
監督には谷口 悟朗氏を三顧の礼で迎える。

海賊作品としては異色。
原作者の「伝説のジジィ描くのに疲れちゃった」との意向を汲み(←おいおいw)
ヒロインおよび敵役でルフィの幼なじみの歌姫少女が「ルフィ、海賊やめなよ」と、
“大海賊時代”を否定する“新時代”の理想を語ってくる異例のシナリオが展開。

ベクトルの違うウタの能力には、
作品世界の序列やセオリーをリセットするシナリオ効果があり、
従来の能力インフレ下では出番無さそうなキャラにもワンチャンあり。
オールスター企画との相性は良好だった印象。


音楽アニメとしても異色。
通常、音楽で押す作品を観たら、やっぱり音楽っていいな~♪となる単純な私ですが、本作の場合は
{netabare}大海賊時代で疲弊した一般市民の想いを代弁したウタが、歌の力により、
ライブで感じる幸せが永久に続く、ウタウタの精神世界に人々を連れ去ろうとする攻防。{/netabare}
というプロット。
私もライブ会場からの帰り道、これ終わったら現実に戻るのか……と抱いた寂しさを思い出してみたり。
近年、動画配信等で、面倒なリアル社会との関わりを飛ばしてアーティストが才能をダイレクトに世界に広める良い時代になったなぁ~と思っていましたが、それも度が過ぎると考え物だなと思い直してみたり。
こんな苦い余韻が残る音楽アニメはチョット記憶にありませんw


構成は冒頭いきなりウタのライブ→寸劇→ライブと続く。確かに歌の猛攻w
ただライブばかりで物語が削られているというのは少し感覚が違うと思いました。
ウタの歌はウタウタの実の能力であり、ライブシーンは言わば戦闘エフェクト。
アクションアニメで技が飛び交うのは自然な成り行き。
『マクロス』でも視聴する感じで挑めば折り合えると思われます。

とは言え、キャラめっちゃ多いな~と思ったのも事実(苦笑)
どちらかと言えば、ウタも含めたキャラたちの能力描写に物語の尺が食われる、
お祭り作品あるあるな感覚の方がシックリくるかと。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・東映アニメーション

ライブ空間を再現した劇場体験には臨場感があり、
鑑賞者もウタウタの世界へと誘う引力があります。

それ以上に、本作は現実とウタウタ双方の世界にまたがるファイナルバトルの作画は、360°法則無視。
諸々の境界が溶けて行くようなフリーダムな作風。
これなら、{netabare}ルフィがシャンクスに再会したら麦わら帽子を返してシリーズが完結してしまう
というジレンマも越えて“共闘”も可能ですw{/netabare}


【キャラ 3.5点】
今回はシャンクスより“娘”のウタの話と開き直るのは良いのですが、
ウタの物語として見ても、シャンクスの掘り下げ不足と感じます。

(※核心的ネタバレ){netabare}ウタを傷付けないために真実を隠し罪を被ったという点。
ゴードンは真実を告げる勇気がなかった大人の弱さとしても、{/netabare}
シャンクスはそこまで弱い海賊なのかな?という疑問が残りました。
この辺りについてはルフィの幼馴染としてのウタより、
“シャンクスの娘”としてのウタの描写により力を入れることで、
シャンクスの“父性”の詳述から、彼の言動の真意を理解することで、納得したかったです。
具体的には20歳のシャンクスおよび赤髪海賊団にウタが愛されていく過程がもっと欲しかったです。


【声優 4.0点】
ヒロイン・ウタ役は名塚 佳織/Adoの演者と歌い手の分担。
クセのある歌い手にいたずらっぽい声質で合わせる名塚さんの対応力が光る。
ルフィに対する「でたぁ、負け惜しみ~」には、
幼少期から外の世界と隔絶されて育ったウタの変わらぬ無邪気さと狂気性が混在しており印象深いです。

ウタの育ての親・ゴードン役には津田 健次郎さんを据え盤石。
脇に置くべきゲストタレントを重要キャラに起用する間違いは犯しません。


ルフィ役・田中 真弓さん、シャンクス役の池田 秀一さんなど、
他作品では、失礼ながら流石に往年のパワーはない?と感じることもあるベテラン声優陣ですが、
『ワンピ』だと元気いっぱいですね♪
大御所だからとスタッフが遠慮しないこと。作品自体にパワーがあること。
ベテランを活かす秘訣です。


【音楽 4.0点】
劇伴担当は中田 ヤスタカ氏。同氏はウタが歌う主題歌「新時代」も提供。
ウタの振り付けにはPerfumeでも組んでいるMIKIKO氏を起用し、
タッグでウタのライブシーンの“攻撃力”を磨き上げる。

ウタ歌唱担当にAdoさんと聞いた時は毒キツ過ぎない?と懸念しましたが、
鑑賞後は、天使の歌声から{netabare}魔王の召喚{/netabare}まで振れ幅の大きさをカバーするには彼女の表現力が不可欠だったと納得。
低音域の唸り声には“パンチ力”がありました。

その他、ウタの歌は、
海賊を流儀ごとねじ伏せるMrs. GREEN APPLE提供の「私は最強」
澤野 弘之氏提供の闇落ちソング「Tot Musica」などの挿入歌群。
EDは秦 基博さん提供の「風のゆくえ」で締める全7曲の豪華絢爛な“作曲村”方式。

興収狙うならフェス感があって上策なのでしょうが、
作曲村はテーマの一貫性が保てないと感じ私は正直苦手です。
(自分が中田氏が全部担当したらどうなるか聞きたいだけという説もありw)


【付記】
次『ワンピ』を観るのは何時になるかは分かりませんが、
今度はキャラを絞って伝説のじじぃに挑む無難な海賊バトル作品をチョイスしたいですw

投稿 : 2024/12/21
♥ : 13
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

父として娘として

賛否両論ある劇場版ですね。

ワンピースのアニメって結構引き伸ばしが多いのです。
原作の1ページや数コマを30分で引き伸ばしたりなど、そうした点を見ると劇場版はそうしたのがなくサクサク進むのでワンピースの劇場版って結構好きです。

因みに、この劇場版は……現在のワンピースがワノ国編を最後に最終章に入ります。
その切り替え時期であり、原作でも謎が多いシャンクスがピックアップされてる事で物語の伏線になっているかもしれないって意見も多く重要な劇場版との噂ですね。

さて、今回の映画は……前回のスタンピードに比べると勢いや戦闘シーンや出演キャラに劣る今作では、海軍の3大将にビッグマム海賊団にCP0、ローやバルトロメオやコビーなども登場します。

アドの歌が話題を呼んでいる作品ですが、歌は個人的にはあまり……これは正直、ファンの方やこうした演出が好きな方には受けるかもしれません。

でも、私は普段アニソンを聴くか、サムネを見て貰えたら解る通りナナニジの曲とか聞いていているだけなんで、私には曲は刺さらなかったですね。
ファンの方、ごめんなさい(><)*。

ライブシーンもよくは動いてました。
しかし、これも好みで普通にアイドルアニメのライブの方が好きかな?

後、今回はワンピースに何を求めるかで評価事態が大きく左右する気がします。
全体的な印象としてはワンピースらしくはない気がします。

しかし、今回は考えさせられた部分や感動する部分もあり感情移入をしてしまう。
物語は凄く刺さりました。
ワンピースらしくはないけど、親子がテーマの1つであり私には新鮮でした。

劇場版のキーキャラのシャンクスの娘のウタ
彼女のポジションに驚いたのです。
{netabare} まさかのルフィ達に対立する立場として出て来ます。 {/netabare}

{netabare} 今作には敵と言うのが明確に存在しません。まっ、敵と言うなら魔王?
ウタも敵のような演出なんですが、中々憎めないキャラでした。{/netabare}

海賊に居場所や家族を奪われたり、海軍にも助けて貰えない民間人達が幸せを感じられるのがウタの歌です。
彼女の歌に心を救われた民間人達は、やがて彼女に依存してしまう。

{netabare} そんな彼女が沢山の人の救いに答えようと取った手段が彼女の能力世界に自分の歌を聞いてくれる人達を閉じ込めて何不自由ない平和な夢世界で幸せに生きてもらうと言う選択肢でした。

民間人が平和な世界を望んだから!
仕事や勉強をしないで生きれる世界を望んだから!
何不自由ない世界を望んだから!
彼女の歌をずっと聞いていたいと望んだから!{/netabare}

彼女は……気持ちに答えたかった。
でも、それを知った民間人は「帰りたい」と言う……あれだけ嫌がって居た現実世界に!

ウタはまた悩んでしまう。
{netabare} だから何も考えないでいいように更に楽しくなればと!
民間人を夢世界でお菓子や人形に変えてしまう。{/netabare}

私も思います。
自分達が望んで後から現実世界に帰りたいなんて勝手過ぎるって…
皆が望んだから力になってあげたかったのに……

でも、違う……
確かに平和な世界で争いもなくて病気もしない世界で一生遊んで暮らせるのは素敵だし幸せの1つだと思う。

けど、{netabare} ウタがした事はただの幸せの押し付けです。
自分の思う幸せに沢山の人を閉じ込めて守ってあげるよって幸せを押し付けて…… {/netabare}
もぅ……それは幸せじゃないよ。
{netabare} 幸せは押し付けたり押し付けられたりするもんじゃないもの…… {/netabare}

{netabare} 現実世界のウタが眠ってしまうと能力がリセットされ夢世界から民間人が現実世界に戻ってしまう。
皆の幸せを守る為に、現実世界のウタはネズキノコと言う眠れなくなるキノコを1人で食べるだけの日々を送ってました。{/netabare}

睡眠をしない彼女は近々死んでしまう……
{netabare} でも、彼女は死んでもいいと考えてます。
何故なら彼女が死んだら夢世界は永遠にキープされ全員が夢世界で一生暮らせるから。{/netabare}

私には彼女が{netabare} 死を覚悟してまでも誰かの幸せを守ろうと1人寂しそうにキノコを食べる姿に心が締め付けられました。{/netabare}
こんなにいい子なのに道を間違えてしまった……きっと彼女は優し過ぎたのだ……
だから、私はウタに同情してしまいました。
きっとこの子も被害者なんだ……

彼女はシャンクスに捨てられた過去がありました。
その理由はシャンクスが親だから選んだ選択肢でした。
大人は子供に事情を知らせないで勝手な事をする。
子供の為に例え恨まれようが、嫌われようが……

子供の頃は私にはそれが解らなかった。
多分、子供の私が見たら大人は勝手だ!何も説明しないで子供の為だとか言う言葉で蓋をして!
子供だって真実を知りたいし理解したいし納得したいんだって……力になりたいって。

でも、少し大人になった私には解る。
子供の気持ちは解る。
大人だって昔は子供だから……
それがわかった上でも知らなくていいんだ。
子供に悩んで欲しくないし心配かけたくないんだ。
不安も心配も悩みも抱えなくていいんだよ。
そんなものは成長すと嫌でも悩んでしまう日がくるから、その時までは、元気に楽しく遊んで欲しいって思う。
その方が楽しいでしょう?って

だから、シャンクスも{netabare} ウタに事実を隠して自分が憎まれ役になりながら元気に歌っていて欲しい。
いつか海の上で元気な彼女の歌声を聞くのを楽しみにして選んだ選択肢なんだと思いました。{/netabare}
親だから大切な子供だから別れたのだと。

ルフィはウタの友達で幼なじみ。
{netabare} でも、ルフィは最後までウタを攻撃する事はしませんでした。
「戦う理由がねぇ」彼のセリフですが、ルフィは解っていたのでしょうね。
ウタが間違えた方向に進んでいる理由も彼女が誰よりも優しい人間だと言う事を。{/netabare}

そして、ついにウタの前現れたシャンクス。
{netabare} でも、彼はシャンクスや赤髪海賊団はウタを攻撃しません。
ウタは現実世界の民間人の身体を使い赤髪海賊団に攻撃させますが、シャンクス達は何もしません。
攻撃も防御もせずにひたすら殴られ続ける。

多分、それは痛くないからです。
シャンクス達のした事って大人としては正しいと思います。 {/netabare}

しかし、親としては間違えだと思います。

{netabare} 例え子供の為でも、そこにどれだけ正当な理由があろうと、ウタを子供を置いていくなんてやってはいけない事です。
そうする事で本当に傷ついたのはウタでした。
ウタの心の傷に比べたらどれだけ痛くないか……彼女の心の傷は……痛みや悲しみや寂しさや辛さの方がどれだけ痛いだろうか?{/netabare}

多分、シャンクス達はそれが解るから親として当然の報いである思っているのかもしれません。
ウタも1年後にはシャンクス達の秘密に気づいていたみたいですが、それでもシャンクス達を許せなかったのでしょうね。
だから、シャンクス達は少しでも気が済めばと考えたのかもです。

{netabare} そんな中、海軍が一般人に発砲します。
ウタは夢世界では最強ですが、現実世界では血が流れすぎない様に泣きながら両手で止血するしか出来なくて……
夢世界でも発砲シーンはありましたが、それは直ぐに直せてたけど {/netabare}
やっぱりウタの現実世界の姿を見たら、この子は本当に優しい子なんだと感じました。

赤髪海賊団の{netabare} 「大事な娘の大切な人達を奪わせない」 {/netabare}ってカッコイイ理由だなぁ〜と思いました。

そうして、ウタの歌声によりトットムジカ……
{netabare} 魔王が降臨。
魔王はかなり巨大でしたね。
デザインはなんか……変な人形みたいな感じで魔王感はありませんねww {/netabare}

しかし、この巨体に総力戦で当たります。
巨体だとアニメだとスリラーバークのオーズ以来かな?
あれよりもかなり迫力ありましたね。

アニメでは過去にない連携ですね。
作戦組んで指示通りに攻撃はなんかワンピースの戦闘の中では新鮮味がある気がしました。

今回はシャンクスとウタの親子の絆もそうでしたが、もぅ1組…… {netabare} ウソップとヤソップですね。
この親子共演は初ではないでしょうか?
最初は指示出しがウソップが若干遅れ気味でしたが、段々とタイミングが重なり始めるのに親子の力を感じました。 {/netabare}

最後のルフィの攻撃とシャンクスの攻撃。
シャンクスは父として、ルフィは友達として……
私はこの作品を見るまで、もしも誰かが道を謝れば止めるものだと思っていました。

だから、最初はルフィもウタを止めるために説得していたしシャンクスも娘を止める為に来たのだと思っていました。

しかし、止める、では50点です。
{netabare} 「娘を救いに来た」{/netabare}とシャンクスが言ってました。

間違えた時に止めるだけでは意味がない。
{netabare} 救う事に意味があるのだと。{/netabare}
止めると間違えた道は進まなくなるけどそれだけ……

{netabare}救う事が出来るなら別の道へシフトさせてあげられる。
苦しんで悲しんで選んだ道ならそうした事から救い出すのが、家族であり友達ではないでしょうか?{/netabare}

だから、ルフィは{netabare} 友を救うために{/netabare}
シャンクスは{netabare} 娘を救う{/netabare}為に
一撃を放つ。

シャンクスはウタに薬を渡す。
{netabare} それを飲めば眠りにつきウタは死ななくてすむ。夢世界の皆も帰ってこられる……でも、夢世界に心が囚われているとウタが寝ても能力がリセットされずに皆が出られなくなります。
{/netabare}

シャンクスは多分…… {netabare} それでも薬を飲んで生きて居て欲しかったと思います。
やっぱり血の繋がりはなくても父親であり娘だから生きて欲しいって…… {/netabare}

でも、ウタは歌いたいと言う

皆を現実に呼び戻す歌を……
{netabare} 自分の命よりも皆を優先してあげられる。
夢世界が皆の幸せだと勘違いした彼女の姿はどこにもなくて…… {/netabare}

争いばかりで平和な世界じゃなくても、悩みながら苦しみながら時には道を踏み外して、泣きたくても泣けない事もあれば、泣くしか出来ない様な、今日もどこかで泣いたり命を落としたりする様な救いようのない世界にも、幸せはあって……
そんな世界だから幸せを強く感じたり出来るのかもしれませんね。

だから、彼女は歌う。
{netabare} その決意にシャンクスは何も言わない。
娘の決意を尊重する姿も親として姿を感じる事が出来ました。{/netabare}

歌の後に海軍がウタの引渡しを要求してくる。
{netabare} シャンクスは娘を守る為に覇気で海軍大将以外を気絶させるし、黄猿や藤虎もビビるらせるレベルでした。
戦わずして勝つ!とはまさにこの事ですね。{/netabare}

ウタは争いを嫌うから…… {netabare} シャンクス達からは仕掛けないけど、ウタを連れていくなら容赦はしない。{/netabare}
シャンクスらしい決意ではないでしょうか?

最後は……多分、ウタは…………

EDは止め絵でしたが{netabare} 懐かしい場所やキャラが沢山出ていたし、ウタの歌がどれだけの世界の人に聞かれて居るのかが良く伝わるEDで{/netabare}よかったですね。

最後まで見ると誰も本当は悪い人なんていなくて……
守りたい者の為にそれぞれが戦ったのだと感じました。

今回のテーマは「親子」「幸せ」ではないでしょうか?
親子の絆の強さや形、誰かにとっての幸せとは?など沢山沢山考えた作品でした。

ワンピースは人気作品で感動の名シーンも多いと聞きます。
でも、私はワンピースで良い話だなぁ〜くらいの感じは経験ありますが、感情移入や泣きそうになる事はありませんでした。
多分、ファンの方がキレてしまう発言でしょうね。(このレビュー1つで私色々なファン層の方に怒られそう……ごめんなさい)

しかし、私はそれくらいに今作は感動するものがあったと思います。
正直、最初はあまり期待してませんでした。
スタンピード程の人気キャラのオールスターでもないし注目はシャンクスくらいでキャラが全体的に弱いと思ってましたので、しかし見終わってここまでの物語に仕上げて来たのかと関心でビックリしてしまいましたw

また、見たくなる様な話でしたね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10
ネタバレ

ソース さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

谷口悟朗とAdoを求めて...

自分は「ワンピース」に関して、造詣が深くない。知識は東の海編,映画数本を見たレベルである。しかし、今作が興行収入を伸ばし話題作であるという点,監督が谷口悟朗さんであるという点やAdoさんを起用しているという点など惹かれる部分が多かった為、視聴した。

結論から言うととても面白かった。自分の知識が浅いため、存じ上げないキャラも居たがさほど問題はなかった。



物語序盤はウタがめちゃくちゃ歌うので「あれ?これAdoさんのライブの映画だっけ?」と一瞬思ってしまった。自分は楽しめたが、人によってはもうここら辺で嫌になっている場合もあるのかな〜と感じる。


中盤、 {netabare} ウタの能力が判明するが、この能力がいわゆる「セカイ系」を彷彿とさせる能力であることが分かる。 {/netabare} 正直この展開には驚かされた。ワンピースでこれをやりますか〜という感じ。

自分はVery Good!!と思ったが、ワンピースガチ勢の皆さんの中にはここら辺でう〜ん...という感じになる人がいるのだろうか。

また {netabare} ウタの能力や思想が判明したときに、エヴァンゲリオンや谷口悟朗監督作品で言う所の「ガン×ソード」のカギ爪の男,「コードギアス」のラグナレクの接続 {/netabare} などが脳裏をよぎった。「監督が谷口悟朗さんだから...」と釣られて今作を見た側面がある自分からしたらニヤニヤといったところであった。

00年代に名作を多く作った谷口悟朗監督だからこそ、この展開が出来たのかしら?


そして終盤
{netabare}
・ウタとシャンクスの別れの真実
・胸熱過ぎる、現実世界とウタワールドでのシャンクス達,ルフィ達の共闘
・まどマギを彷彿とさせるトットムジカのキャラデザ(意識してたと予想する)
・「ウタは俺の娘だ。」 by シャンクス
・ウタのラストの歌唱
etc.
{/netabare}

終始激熱で、さらに思わず涙が出てしまう展開もあり...ちょっと舐めてたなと感じた。多少詰め込み気味に感じる部分もあるが、大変満足出来る作品であった。



どうやら賛否両論あるようだが、個人的には今作に何を求めているかで評価がだいぶ変わるよな気がする。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 6

計測不能 7 2022年夏(7月~9月)アニメランキング7位
劇場版『Gのレコンギスタ Ⅴ』「死線を越えて」(アニメ映画)

2022年8月5日
★★★★☆ 3.4 (7)
43人が棚に入れました
地球帰還〈レコンギスタ〉の果て、待ち受ける未来とは。

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ブラックな意味でも大団円

Gのレコンギスタ劇場版最終章。
陣営が出揃い、戦いの舞台が宇宙から地球へ。
ドレッド艦隊の残存部隊、レコンギスタを望むジット団とキャピタル・アーミィのマスク陣営、アメリアの艦隊と、ベルリたちメガファウナが入り交じります。
謎の怒りでとにかくベルリを許せないマスクと、マスクのためにベルリに死んでほしいマニィ、マスクにマニィを譲ってしまいイライラが止まらないバララという迷惑軍団が、よりによって手段と目的入れ替わってそうなジット団と手を組んで暴れまわります。
ぶっちゃけたところこいつらが戦いの元凶なのではと思わないではなかったです。
始まりはアメリアとキャピタルの対立ですが、アーミィという暴走部隊の登場でキャピタル・ガードとアメリア、メガファウナはなんだか仲良しになっちゃってますしね。

劇場公開は第4部とほぼ同時に連続公開となった第5部ですが、内容はほとんど戦闘です。
ストーリーや状況説明は完了しており、その結末を語るのが第5部ですね。
ただ、4部までの感想の通り、そもそも戦いの理由がよく分からず、ラストもなんかきれいに終わったのですが納得いったかというと難しいところがあります。
見どころはあり、バララがユグドラシルでドレッド艦隊相手に大暴れするシーンや、天才クリムの地上戦など、戦闘シーンメインですが名シーンは多数ありました。
ストーリーはともかく、見ていて飽きはなく、この愛憎入り交じる個人的な感情を大義と混同し戦争する感じは、富野ガンダムの醍醐味だと思います。
放映版はもっとですが、劇場版もガンダム上級者向けで、本作からガンダム見始めてはいけないと思いました。
本作に、そもそも新しい世代の子供に見てほしいという願いが込められているのが皮肉な気がしますが、もし本作から初めてガンダムを視聴してはまれたら素質は十分ですね。

死者が大勢出ましたが、最終的にメインキャラはほぼ生き残って、続く人生を謳歌しているのも違和感を感じます。
何気に大団円で終わっていて、楽しそうな笑い声で終幕となります。
一方で、生き残っていると都合の悪そうなキャラは大体死んでるのがうまいと思いました。
こいつ生き残ってたら戦争の火種を起こしそうだな、と思えるキャラから死んでる感じがするので、ブラックな意味でも大団円な気がします。

劇場版もテレビ放映版も全話観るとそれなりに時間がかかりますが、個人的には劇場版の方が比較的見やすくておすすめです。
どちらもストーリーはほぼ変わらないですが、視聴時には理解力、あるいは、理解を放棄するのが大事のような気がします。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

計測不能 7 2022年夏(7月~9月)アニメランキング7位
劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」(アニメ映画)

2022年7月22日
★★★★☆ 3.7 (9)
42人が棚に入れました
資源の枯渇した地球を救うエネルギーである「フォトン・バッテリー」。地球では製造することのできないエネルギー装置の供給源へ向かうため、地球圏を離れたベルリ・ゼナム、アイーダ・スルガンらが乗艦するメガファウナは、ついに目的地である金星宙域にあるビーナス・グロゥブに到達する。地球への帰還=レコンギスタ作戦を目論むジット団との戦いを経て、アイーダは、「フォトン・バッテリー」の生産と供給を独占している団体「ヘルメス財団」のラ・グー総裁との会談の機会を得る……。

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

やっぱりなんで戦っているのかよく分からなかった

Gのレコンギスタ劇場版。
第4部である本作、「激闘に叫ぶ愛」は放映版の19話から22話を元に再構成したものとなっています。
元としているのが放映版のたった4話分で、尺としておそらく劇場版の方が長くなる感じですね。
逆に劇場版視聴後の今となっては、放映版をどうやって短くしていたのかと思えるくらいギュッと詰まった内容だったように思います。
この辺りは、私は放映版視聴時は完全についていけず、惰性で見続くていたようなところですね。
放映版はストーリーを追うことに諦めて、ググりながら見ていましたが、第4部は大幅に追加カットがあったらしく、一応、ストーリーをググりながらでなくても追えるようにはなっていました。

ヴィーナスグローブからフォトン・バッテリーを運ぶ輸送船『クレッセント・シップ』に、メガファウナが接触した続きとなります。
クレッセント・シップと共に、ヴィーナスグローブへ目指す一行だったが、そこにヴィーナスグローブの考えに賛同しない集団、ジット団が現れ襲撃にあう。
この突然現れたジット団や、前作で暴れていたドレット艦隊、既存の4つの組織があり、かなりごちゃごちゃしてきます。
ただ、放映版に比較すると、本作ではドレット艦隊は不在となり、新たに出てきたジット団とのいざこざを一つの章として捕らえることができ、見やすくなっていました。
でもやっぱり前提として、なぜ戦っているのかがよくわからない。
アメリアとキャピタルの対立はまだわかるのですが、ジット団がクレッセント・シップを武力制圧しようとした流れがわからず、メガファウナと戦うことになった流れはもっとわかりませんでした。
ヴィーナスグローブには司法機関がないのだろうか。

相変わらず、よくわからない戦闘を繰り返す作品でした。
特にジット団は、レコンギスタのタイトル回収となる行動をするのでラスボス枠になるのではと思いきや、謎展開で退場というのも変わりなしです。
ただ、ベルリとマスクが一騎打ちする追加カットはとても良かった。
やっぱりなんで戦っているのかよく分からなかったですが楽しめました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 1

計測不能 7 2022年夏(7月~9月)アニメランキング7位
バズ・ライトイヤー(アニメ映画)

2022年7月1日
★★★★☆ 3.6 (7)
37人が棚に入れました
世界で最も有名なスペース・レンジャー〈バズ・ライトイヤー〉誕生の秘密を描く─「トイ・ストーリー」シリーズのディズニー&ピクサーが贈る最新作

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

おもちゃより男前、勇敢なスペース・レンジャー

 吹替版、字幕版見たです。帰還途中の数千人をのせた宇宙船で、バズが目覚め未確認の星に着陸し調査したです。危険な星だとわかり、脱出を試みるも、失敗してしまうです。
星から出られなくなり、新しい燃料を作り成功させるため、バズはテスト飛行を繰り返すです。しかし、バズにとっての4分はこの星の4年に相当し仲間がついにはいなくなり、状況も変わっていってしまうです。出会いもあり協力し、絶望的な状況の中解決策?を目の辺りにするです。その時バズは、何を決断するのか?本当の帰還が何なのか?命がけで仲間を大切にする、バズの真実を見せてくれたお話だったです。

 結構面白いお話で、私は好きです。テスト飛行に時間を消費してしまうリスクを知っても、なお任務を遂行するバズの姿がカッコよかったし、そのテスト飛行超高速の作画映像が、印象的だったです。
 また出会いによってともに行動する仲間が失敗を繰り返ししまいには、とんでもない失態をして絶望的になったです。これらを見ていると、「ふざけるな!」という気持ちにもなったです。
 予測不能の展開が多く、このあとから形勢を逆転につながる仲間の機転が、HAPPY ENDへと誘っていき凄かったです。展開展開が、特に後半ハラハラ、ドキドキ終盤まで盛り上がったです。
 任務を成功できたかできないか?結局わからないけど、仲間たちと新しい任務へ向かう姿が良かったです。「無限の彼方に!」だったです。
 ただ、一番最後の描写は謎で、何を意味しているのか?「私、気になります!」だったです。字幕、吹替ともに甲乙つけ難く、どちらも良かったです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ストーリーは意外にハード

劇中劇(クレヨンしんちゃんでいうアクション仮面やカンタムロボ)なだけあって、惑星の調査報告内容が『1』でバズが初めて動き出した時の報告と同じであったり、翼やレーザー等の装備が追加されておもちゃのバズっぽくなる所なんかはシリーズを見ていると思わずニヤケてしまう演出が沢山あった。
ただストーリーは結構複雑且つハードなため、『トイ・ストーリー』のバズから想像していたもの(個人的にはコブラやスタートレックをマイルドにしたような冒険活劇だと思ってた)とのギャップに驚いた、てか、正直この内容であそこまで人気になるかな?
他にザーグの正体が『2』のおもちゃの台詞とは違ってたりしたのはストーリー的には仕方が無いと思うが、逆にこのストーリーでなければならないと言うほど面白かったかと言われると微妙。
何度も言うが決してつまらなくは無いが、色々な要素を詰め込んだ結果後半が駆け足気味になってしまっていたり、最終決戦がイマイチ盛り上がらなかったり等の弊害も出てしまっていたのは残念。
総評
1つのSF作品としてみればまぁまぁ面白いと思うが、トイストーリーのバズの本物(?)の活躍が見れると思って期待しすぎてしまったのが、自分が想像していたストーリーとのギャップもあり、いささか面食らうものがあった。
ただ、ラストの今後の活躍に関しては、それこそ私が勝手に想像していた内容が展開されそうなので是非とも続編を希望したい。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

計測不能 7 2022年夏(7月~9月)アニメランキング7位
ミニオンズ フィーバー(アニメ映画)

2022年7月15日
★★★★☆ 3.8 (6)
27人が棚に入れました
ユニバーサル・スタジオ×イルミネーション・スタジオが生んだ人気キャラクターのミニオンを主役に描く長編劇場アニメ「ミニオンズ」の第2弾。最強最悪のボスに仕えることを生きがいとするミニオンたちが、なぜ怪盗グルーをボスに選んだのか、そしてグルーはどのようにして月を盗むほどの大悪党になったのか、その謎が明らかにされる。1970年代、ミニオンたちはミニボスとして崇拝する11歳の少年グルーのもとで日々悪事を働いていたが、ある日、グルーが何者かにさらわれてしまう。ミニオンのケビン、スチュアート、ボブは、グルーを救出するため奔走し、その過程でカンフーの達人マスター・チャウと出会う。ケビンたちはマスター・チャウに弟子入りを志願するが、その先にはさらなる険しい道が続いていた。監督は前作「ミニオンズ」や「怪盗グルーのミニオン大脱走」も手がけたカイル・バルダ。声の出演はグルー役のスティーブ・カレルほか。日本語吹き替え版も笑福亭鶴瓶がグルー役を引き続き担当し、市村正親、尾野真千子、渡辺直美、田中真弓、速水奨、大塚明夫、立木文彦、宮野真守、鈴木拡樹ら豪華俳優・声優陣が集った。

計測不能 7 2022年夏(7月~9月)アニメランキング7位
映画 バクテン!!(アニメ映画)

2022年7月2日
★★★★☆ 3.7 (6)
21人が棚に入れました
テレビアニメ「バクテン!!」の映画版。2021年4~6月に放送されたテレビシリーズの続編となり、「アオ高男子新体操部」の部員6人による最後の挑戦を描き出す。通称「アオ高」こと私立蒼秀館高等学校の男子新体操部で出会い、いつしかチームとして一丸となった個性豊かな6人の部員たち。それぞれの思いを胸に抱えながら青春の全てを懸けて駆け抜ける彼らは、次の舞台となるインターハイへ向けて動き出す。

pikotan さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

完結編

テレビ版の続きです。
本作で物語が完結するので、テレビ版を観た人はこちらの視聴もお勧めします。
良かった点は何と言っても「作画」で、リアルを超える躍動感が伝わってきて、見応えがありました。
物語は青春部活動作品として王道の流れで、新体操に興味が無くても楽しめると思います。
ただし、他の映画評価サイトの感想では「泣けた」という書き込みがチラホラ見受けられましたが、私の場合は「泣ける」までは至らなかったですね。
人によっては学生時代に部活動を行っていた自分の姿とオーバーラップして、思わず涙が…なんて人もいるのでしょう。
総合的に見て、良質な作品に思えました。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 4

計測不能 7 2022年夏(7月~9月)アニメランキング7位
それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ~るカーニバル(アニメ映画)

2022年6月24日
★★★☆☆ 2.3 (3)
8人が棚に入れました
ひとつの勇気がみんなの笑顔になる!一緒にバケールカーニバルを守るんだ!
今回の舞台は<バケールカーニバル>! どんなものにも変身できる、かわいくて愉快なオバケたちの街・オバケタウンで開催される楽しいお祭りです! 子どもたちは、遊園地のような華やかでワクワクするバケールカーニバルを心から楽しみます。ところが、変身が苦手なオバケの男の子・ドロリンだけは楽しむことができず、ひとりぼっちに……。 そんなドロリンはクリームパンダと出会い、ときにはぶつかり合いながらも絆を深めていきます。彼らは世界一の変身パワーを秘めた<まっくろマント>を探しに“おぞましの森”へと向かいますが、そこにばいきんまんが現れマントの力でバケールカーニバルをめちゃくちゃにしようと大暴れ! アンパンマンたちはばいきんまんから楽しいバケールカーニバルを守ることができるのでしょうか? みんなが笑顔になる大冒険が今、はじまります!

計測不能 7 2022年夏(7月~9月)アニメランキング7位
人間なんてクソくらえ(アニメ映画)

2022年7月8日
★★★★☆ 3.9 (1)
6人が棚に入れました
ボブ・スピットは漫画のキャラクターで、彼を生み出したブラジル人の漫画家アンジェリの頭の中にある、世界滅亡後の砂漠に住んでいる。アンジェリがボブを殺すと決めた時、ならず者のボブは荒廃した世界を抜け出して、生みの親と対峙する。

計測不能 7 2022年夏(7月~9月)アニメランキング7位
おそ松さん ~ヒピポ族と輝く果実~(アニメ映画)

2022年7月8日
☆☆☆☆☆ 0.0 (0)
0人が棚に入れました
ある日、6つ子たちはダラダラと続く冴えない日常に終止符を打つべく、
食べるとどんな願いでも叶うという伝説の果実を探す旅に出掛ける。
偶然、ある島に辿り着いた6つ子たちが出会ったのは、奇妙な姿の「ヒピポ族族」。
そこで彼らによって大切に育てられていた果実は、
6つ子たちが探し求めていた伝説の果実だった!?
はたして、「おそ松さん」史上最大のスケールで描かれる、
欲望と波乱が渦巻く大冒険の行方は―――?
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