ウェスタンガール さんの感想・評価
4.0
小景異情
紛うことなき“海外”アニメである。
もちろん“カギ括弧付き”のそれではあるが…。
監督の“ダイス”さんは、高校を出ると、“何か”を求めてアメリカに渡り30年、ルーカスフィルムの子会社を経てピクサーへ、大いなる野望を持って独立に至るわけだ。
“トンコハウス”は、日米両国に拠点を持つユニークな体制で、その日本側のスタジオが置かれているのが、私にとっての第二の故郷である金沢の中心地、古い町家の中に在ることを最近知った。
そんな訳で、堤“ダイス”大介監督の出自も併せて、タイトルに使わせてもらった“小景異情”、その作者であり、金沢出身の室生犀星に想いを馳せるのである。
「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」である。
これは犀星が郷里の金沢に帰郷したおりに作られた詩だそうだ。
東京で思うにまかせぬ暮らしを強いられ、懐かしい故郷に帰っても温かく受け入れてもらえない。その悲哀、郷里への愛憎半ばする思いが描かれているのである。
“ONI”の子供、その望郷の物語である。
内容は推して知るべし。
ぜひご覧あれ。
ピクサー退社時に“失敬”した(監督談)レシピで、尊敬する宮崎駿の世界を味付けしちゃいました的な作品と言ってしまうと身も蓋もない訳だが…^ ^、各話40分、絵に描いたような起承転結に、清々しい感情を持ってエンドロールを迎えることができること請け合いだ。
因みに、ダイス監督の奥様が、“となりのトトロ”のメイちゃんで幼なじみの初恋の人、宮崎駿が義理の叔父さんという嘘のような本当のお話(糸井重里との対談に詳しい)。
あと、天狗センセイのお声がジョージ・タケイという、トレッキーにとっては嬉しいサプライズ。