けみかけ さんの感想・評価
3.8
鮮烈の超変化球アイデアなのに着実にストライクゾーンを捉える!イロモノなんて言わないで!!きっとあなたも最後には共感してる【腋毛】にまつわる青春!!!
短編映画や自主制作アニメを多く手掛ける87年生まれ…つまりオイラと同い歳のふくだみゆき監督による30分弱の短篇Flashアニメ
2014年に自主的に制作が始まり、2015年にいくつかの映画祭での受賞を経て、2017年2月遂に待望の一般公開という経緯に既に期待で胸が膨らんでおりました
中学2年の夏
主人公、小谷ゆいは水泳の授業をキッカケにあるフェティシズムに目覚めてしまいます
友人が男女交際を始めるなど、彼女の周辺はまさに思春期まっさかり
そんな中、ゆいの熱い眼差しを感じた同級生の男子、武尾マサト
ふと趣味である好きな映画の話題を振った武尾に喰い付いたゆい
しかしゆいが本当に関心を持っていたのは、武尾自身や武尾のする映画の話ではなかったのです
なんとゆいは、武尾のひときわ濃厚な【腋毛】に興味をそそられていたのです…
腋毛フェチというあまりにも極端なフェティシズムに思春期真っ只中で目覚めてしまった少女と
思春期真っ只中であるが故に濃厚な腋毛がコンプレックスになっている少年の邂逅を描く青春ドラマです
まず、あまりにもインパクトが強い題材に尻込みしてしまう人も多いことでしょうが、“腋毛”という点以外はほぼどんな人にも一つや二つ身に覚えのある青春模様が、とてもユーモラスに描かれているのが特徴だと思います
気持ち悪い、という先入観から一転して笑いが止まらなくなり、最後は爽やかな主題歌と共にちょっぴり切なさすら感じさせてくれます
とても観易い作品だと感じれるポイントなのが現役中高生の役者がプレスコで演じた芝居から画面を起こしている為、非常に自然体な、誇張されすぎていない、等身大感のある青春ドラマに仕上がっているというところにあるでしょう
この役者がまた林奏絵、上妻成吾、春名風花といった今注目の若手俳優がさらに若かりし頃に演じたものだというのですから、かなり貴重な一作だと言わざるを得ません
もしかしたら後々伝説的な扱いをされる可能性すら秘めています
また、いざ実写でやろうとするとこの"脇毛"という題材の刺激が強過ぎて直視し辛いところ、Flashで作られた緩い映像が程よく刺激を中和してるのも良い感じです
日本のアニメののほどは青春ドラマで出来ていますよね
ロボットに乗ろうが、超能力に目覚めようが、空から美少女が降ってこようが、根本に描かれているのは“青春”なわけです
だからそう、“腋毛フェチに目覚めてしまった青春”を描く映画があってもいいわけですよ