ビアンキ さんの感想・評価
4.4
ワンパターンとは無縁の「安定感」を持つ作品
1月4日、ちょっと文章を修正。
レンタルDVDで全話視聴
1998年に放送された、魔法少女アニメというかファンタジーアニメというか…
その中間ぐらいの設定・内容の作品 全48話
話数だけ見ると長めに見えるが、
基本的に1話あたり10分程なので
30分アニメで言うと2クールぐらいの視聴時間となる。
この作品、どこか一部分が突出して良く出来ているというよりかは、
全体的にどの要素も高水準で、常に安定したクオリティーを保っている作品だと感じた。
その中でも特に「シナリオの安定感の理由」に重点を置いて書いてみる。
・安定感の理由 1
主人公の魔法
主人公は、自分の前に表れたちょっとした問題や、
「ふしぎ」を解決するために魔法を使う。
出てくる魔法は、風・水・森・ハート・太陽
主にこの5つが精霊という形で出る。
そしてこの精霊たち
一応その疑問や問題解決に適したものがでてくるのだが、
主人公は狙ってこのうちの一つを出すことができない。
つまり選べない。
しかしどんな魔法が出ても、大抵はうまいこと解決して終わる。
一部例外となる回があるものの、基本的に毎回こんな流れである。
この、出せる魔法が5つと決まっている
というのと、
出せる魔法が選べない
という部分こそ、安定感の理由の1つだと私は思う。
一つの疑問や問題に対して
「基本的に5つ」というある程度決まった「道具」と「解決法」が用意された謎かけのようなシナリオは、
視聴者が何の魔法が出るのか予想し、どう解決するのか
考えたり想像する楽しみがある上、
基本的に魔法は5つしかないせいか
時々、一見ミスマッチな魔法や、
ぶっ飛んだ解決法が出ても、そこまでぶっ飛んだように感じない。
むしろ、「よくこんな解決法考えたな」と発想にちょっと驚かされ、意外性となって良い点になっていると私は感じた、
そしてこの意外性は、シナリオをワンパターンにさせない工夫としても良い方面に働いただろう。
こういう、「5つだけ」といった
ある程度決まった要素がシナリオのベースにあれば、それは強い安定感を持つだろう。
・安定感の理由 2
ふきこさんの存在
主人公に魔法を与えた魔女であり、薬局:ファンファンファーマシィーの店主。
紫の髪したおばさんである。
このふきこさん、すごく優しい上、常識のある大人なのだ。
主人公は一応魔法は使えるものの、小さい女の子な上、 魔女としては未熟な「魔女見習い」
失敗することや、 結局よく分からないことだって少なくない。
そんなとき、ふきこさんは影で助けてくれたり、助言をくれたりする。
あくまで助言をしたり、たしなめたりする程度で
一度も主人公を強く怒らなかったのも「大人だなぁ」と私は思った。
ふきこさんという目立つ大人の脇役の存在は、
抽象的な表現になってしまうが、本作を良い意味で
「子供だけの世界」にしていない、と私は感じた。
シナリオの安定感にも大きく貢献しているキャラだっただろう。
・安定感の理由 3
豊富なゲストキャラ
主人公の感じる疑問や問題には、 ゲストキャラが関わっている場合が結構多い。
四季を操り、管理している四季の精霊たちをはじめとして、
風邪を引いたゆきだるまや、
実体の無い影法師や、
もぐらのような猫などなど…
「魔女がいるからふしぎな街ではない、ふしぎな街に魔女がいる」
というふきこさんの言葉どおり、
不思議で癖のあるキャラがわんさか街に現れる。
そしてゲストキャラたちはシナリオにバリエーションや新鮮さを持たせ、ワンパターンにさせない。
…これはどちらかというと安定感の理由ではなく、
ワンパターンにならない理由だったかも知れない。
しかし、癖のあるゲストキャラが出るのに対して、魔法という「道具」を当てはめて
基本的に1話10分という時間で問題を解決し
毎回綺麗に纏めているという構成力は高く評価して良い点だろう。
…ゲストキャラの豊富さにあんまり関係ない「良い点」な気がしなくもないけど気にしないでや!
本作のキャラクターデザインであり、
作画監督の一人でもある伊藤郁子の描いたキャラクターはとても非常に可愛らしく、魅力的。
さっき上げた、モグラみたいな猫や、 ふきこさんの飼っている猫のニボシといった動物のキャラも可愛いが、
伊藤郁子といえば女の子だろう。
本作以前の作品である「魔法使いtai!」や、
本作以降の作品である「プリンセスチュチュ」でも存分に発揮されていた、
可愛い女の子のキャラデザは本作でももちろん健在。
主人公:ぽぷりちゃんをはじめとして、
主人公の友達の女の子たちとか、春の精霊とか、人魚とか可愛かったなぁ…
今、この感想を読んでる一部のロ●コン野郎共、
これ見たことなかったら今すぐレンタルしてこい!(小声)
…1998年の作品ながら作画は非常に安定しており、ほとんど崩れない。
あくまで私見だが、動きにも、作画枚数的にも特に違和感は感じない。
作画監督が伊藤郁子さんで統一されているわけでもないのに、
キャラクターデザインもそこまで変わらない。
1話10分程度という短い時間であることが良い方面に働いたのだろう。
バンクはあるものの、 最終回2話前まで私は気づかなかった。
いや、 注意深く見ればほとんどの方が気付くだろうが…
使い方の上手いバンクだったと思う。
冒頭でも書いたとおり、
一部分が突出しているというよりかは、全体的に高いクオリティで安定している作品です。
日常系アニメや魔法少女アニメが好きな方であれば、まず間違いなく楽しめると思います。
作品の評価としては「傑作」で!
下手くそな文章、お読み頂きありがとうございます。