◇fumi◆ さんの感想・評価
3.3
1986年公開の一般向け劇場アニメ 「プロジェクトA子」と同時上映 40分
監督作画 びっくり箱 制作 吉田尚剛 配給 松竹富士
80年代アニメのあだ花「くりいむレモン」の全年齢向け作品
16歳の少女亜美の母は仕事に明け暮れるキャリアウーマン。
亜美の父と離婚後、海外出張が多い男性と再婚するが、
その連れ子である義理の兄ヒロシと亜美は肉体関係を持ってしまう。
しかし、その事実が知れると家族はバラバラになりヒロシはロンドンに留学。
傷心の亜美はディスコで知り合った「河野」とも肉体関係を持つ。
亜美は、街でスカウトに会い歌手やモデルとして仕事を始めるが、
ヒロシのことが忘れられずに、一人成田空港へ向かう。
これはまさに80年代後半バブルストーリー。
スケールの小さい大映ドラマ(でもこっちのほうが垢ぬけてる)です。
亜美シリーズの物語をダイジェストで紹介しましたが、
この劇場版は、アイドルである亜美の恋の苦悩と自分探しだけを描いたもので、
アダルト作品ではありません。
「プロジェクトA子」と同時上映と言うことで、まさに時代を映した一大イベントでありました。
ビバ80s に浸りたい人には「プロジェクトA子」と共に観ることをお勧めします。
タイムスリップを味わえますよ。
作画や演出は悪くない出来です。物語は大映ドラマレベルです。
制作はベテラン陣だというのは、絵を観りゃ分かりますよね。
えたんだーる さんの感想・評価
3.6
※そもそも声優は付いておらず評価不能なのでこの項目は「評価がわからない」ということで★3.0にしてあります。
今はディズニーとくっついたピクサー・アニメーション・スタジオの歴史の始まりにある、全編3DCGによる短編アニメーションです。
この作品に登場する卓上電気スタンドが、PIXAR社のロゴに使われたことでも有名ですよね。
元々は「SIGGRAPH」というコンピュータグラフィックス技術に関するカンファレンスに出品され、「CG技術でこんなことができるぜ!」という見本的な作品としての意味を持って作られました。そんなわけで、私がこの作品の存在を知ったのは『ASCII』というコンピュータ関係の雑誌に掲載された当時の「SIGGRAPH」のレポート記事だったりします。
映像の作り方としては、作中に出てくる卓上電気スタンドやボールなどの3Dモデリングを行った上で、光源や光の強さから表面の反射や陰影の見え具合を物理シミュレーション計算して、3DCG として表現するという当時では画期的な方法(今では普通)を行っています。
今では陰影とか透過光のシミュレーション計算を高速に行い、それをすぐにレンダリングして3DCGにできたりするのですが、当時のコンピュータの計算能力ではこの短編を1本作るのにも膨大な計算時間が必要だったはずです。
電気スタンド親子の微笑ましい映像の陰に、当時の涙ぐましい努力があったことに想いを馳せてご覧になってみてください。きっとストーリー以上の感慨が湧いてくると思います。
ワドルディ隊員 さんの感想・評価
3.2
この作品は、ピクサーを代表するジョン・ラセター
が初めて監督を務めた短編アニメである。
実は1986年のアカデミー短編アニメ賞にノミネートされており、
2014年アメリカ国立フィルム登録簿に登録された作品でもある。
ピクサーを代表するアニメの一つとしてあげられることも多い。
あらすじを一行で言い表すと、電気スタンド、ルクソーと
その子どもルクソーJr.が仲良くボール遊びをする
ただそれだけのアニメだ。
流石に、ここ最近のピクサー短編アニメと比較すると
劣る部分は多いのだが、当時の頃を踏まえれば非常に
クオリティの高い作品だったように感じた。
一番注目すべき部分は、なんといってもキャラクターの動かし方だ。
電気スタンドの特徴を踏まえつつも、大きく飛び跳ねる、
首をかしげるといった動作は目を見張るものがある。
ピクサー社においてもとても思い入れのある作品だったのだろう。
必ずと言ってもいいほど、ピクサーのオープニングロゴには
ルクソーJr.が登場しているのだ。ピクサーに精通している方なら
当たり前だろといわれてもおかしくないが、大事なことなので
あえて記載することにした。
2分以内で終わり、尚且つ面白いわけではないため
気軽にはおすすめしにくいが、ピクサーの歴史を語る上では
重要な作品であると感じた。
暇な時に見てみるかくらいの心構えで視聴するのがいいだろう。
少なくとも、ここ最近のピクサー短編アニメと比較するのは
やめておいた方が良い。これが作られた時は、技術も予算も
まだまだ足りないのだ。負けるのは当たり前だ。
鸐 さんの感想・評価
3.8
かの有名な「ルクソーJr.」
私も一度はアニメーションを学んだ身。当然名前や概要くらいは存じております。
ただ、なんとなく見る機会がなく、必死に探そうともせず、聞きかじりでこれまで過ごしてきました。
いくつかのピクサー作品に触れてきた今なら、技術は進化してもピクサーの根幹にあるものはここから始まっているのだとわかります。
それは、ピクサーの映像は常に最先端を走っていることの象徴であること。
それは、身近なものでも見方を変えればエンターテイメントになるということへの気づき。
なんとなく高い技術、複雑なストーリーばかりにあこがれを抱いて現実とのギャップに打ちひしがれていましたが、題材はシンプルでいい。コツコツと技術を磨くことへの重要性を今更になって気づきました。
まあ、こうやって真面目に考えちゃうので、エンタメ従業者にはやっぱり向いてないのですけどね…笑
自分からは、ライトスタンドに命を吹き込もうなんて想像だに出来ないでしょう。
流石はジョン・ラセター。どんな思考回路をすればこんな発想ができるのでしょう。