1986年秋(10月~12月)に放送されたおすすめアニメ一覧 24

あにこれの全ユーザーが1986年秋(10月~12月)に放送されたおすすめアニメを評価したーデータを元にランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月22日の時点で一番の1986年秋(10月~12月)に放送されたおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

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年代別アニメ一覧

72.3 1 1986年秋(10月~12月)アニメランキング1位
蒼き流星SPTレイズナー ACT-3 刻印2000(OVA)

1986年10月21日
★★★★☆ 4.0 (12)
55人が棚に入れました
85~86年に放送されたロボットアニメ『蒼き流星SPTレイズナー』の新作OVA。TV版では描かれていない終盤の部分を、改めて制作した真の最終回というべき内容である。 地球へ侵攻した異星人グラドス。だが意外にも両者は起源を同じくした兄弟種といえる関係であった。これを知りながらも秘匿していたグラドスの支配者グレスコ、そんな父に対してル・カインは我を見失ってしまう。ル・カインにとってグラドスこそが優良種で、地球人という劣等種を管理することが自分たちの役目だと信じていたのだ。そんな彼は激昂して父を射殺。グラドスと地球の悲劇をこれ以上拡散させまいと、二つの惑星の間に生まれた美女ジュリアが持つペンダント=刻印が発動する。ル・カインとジュリアの弟エイジ、因縁の二人が宇宙で最後の戦いをはじめた……。 TV版の構想時にエイジの乗る主役SPT(巨大ロボット)のレイズナーは可変タイプの新型機レイズナーMk-IIへバージョンアップされる予定だったが、本作でもTV版の実際のラストを踏まえて強化型(ニュー)レイズナーが登場するに留まっている。

声優・キャラクター
井上和彦、江森浩子、梅津秀行、鹿股裕司、鳥海勝美、平野文、戸田恵子、原えりこ、堀秀行、横尾まり、塩沢兼人

69.6 2 1986年秋(10月~12月)アニメランキング2位
聖闘士星矢[セイントセイヤ](TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (194)
906人が棚に入れました
この世に邪悪がはびこるとき、必ずや現れるという希望の闘士聖闘士(セイント)。その拳は空を切り裂き、蹴りは大地を砕くという。彼らは神話の時代より女神アテナに仕え、武器を嫌うアテナのために素手で敵と戦い、天空に輝く88の星座を守護としてそれを模した聖衣(クロス)と呼ばれる防具を纏う。6年もの厳しい修行を経てアテナの聖闘士となった少年星矢が、同じ境遇の仲間の聖闘士たちとともにこの世に蔓延する邪悪と戦う。

声優・キャラクター
古谷徹、鈴置洋孝、堀川りょう、橋本晃一、堀秀行、潘恵子、山本百合子、宮内幸平、小山茉美
ネタバレ

だわさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

君は、コスモを感じたことがあるか

全117話



聖闘士星矢。聞いたことがないという人はいないんじゃないだろうか。
いわゆるバトルスーツ系のはしりとなった作品だ。
星座に因んだバトルスーツ、所謂クロスを纏い、
物質の根源である原子を砕く力をコスモとし、自分のなかに感じるコスモを燃やして戦う。
強烈な個性とともに熱く描かれたバトルは今も色褪せることは決してないと信じている。
117話は、聖域編・アスガルド編・ポセイドン編と分かれているが、聖域編の中の41~73話の十二宮編が最も人気のある部分であり、
シナリオが完成されている。長すぎて嫌だと思う人でも、ここまででいいからぜひ見て欲しい。
のめり込んだら、自分のように黄道十二星座を丸暗記してしまうかもしれない。
それほど聖闘士星矢の魅力はこの十二宮編に凝縮されてて、
十二宮編の他の話は、全ておまけと言っても過言ではないと思っている。
むしろ、他は十二宮編の人気の亡霊である。続編はことごとく人気に伸び悩み、ことあるごとに十二宮編と比較されてきた。
聖闘士星矢Ωなんかより十二宮編を現在の作画技術でリメイクした方がよっぽど人気がでるんじゃないだろうか。

車田作品として、リングにかけろでも同じことが言えるんだけど、
主人公の力量に対して目の上のたんこぶのようなキャラを作ってるところがいい味を出している。
主人公と仲間の力量をある程度均衡させて描く場合、この目の上のたんこぶ、つまり主人公以外の仲間キャラの強さを主人公より多少上げておく
キャラ構成によって各キャラの成長を分かりやすくしているんじゃないかと思う。
車田さんについてもう少し言えば、上に吹っ飛んで頭から落下する車田作品の派手な演出はもう古典的典型と言ってもいいんじゃないだろうか。
基本バトル演出の礎のひとつになったと思う。
知らない人は、ぜひ見て欲しい。本当に。


十二宮編について↓
原作漫画もテレビアニメもバトルではアクティブな戦いより会話の方が多い。
それでも面白いと感じるのは、キャラの個性を闘う相手に受け止めさせているからだと思う。
キャラの個性に合った宿敵と、双子座ジェミニの二面性をうまく利用した真相とその結末。
これ以上のキャスティングとシナリオは無かったと思う。
現行の星矢Ωの十二宮編にはこのどちらの要素も欠落している。

以下、キャラ設定を生かした魅力的な十二宮対戦カード
{netabare}
星矢 VS アルデバラン・アイオリア
星矢は正義の象徴であり猪突猛進キャラだが、逆に同じ個性を持つ相手をぶつけたカードとなっている。
正義を根性で貫くという主人公らしい戦いをアルデバランの角折りやアイオリアのカシオス登場で味付けしている。
実際、ここで星矢が先に進むことで星矢含めブロンズの正義の前進を視聴者は実感できたんじゃないだろうか。
1秒100発の星矢の流星拳がアイオリアの1秒1億発のライトニングプラズマを凌駕することは頭で理解しやすく、
視聴側も手に汗を握る。

瞬 VS アフロディーテ
美形対決のカードであり、師匠殺しの因縁対決。お互い生身の拳で相手を殴りつけないので距離が埋まらないまま決着がつくのが特徴。
優しい男の娘キャラである瞬が勇猛な兄一輝と最後まで男らしく戦うことを約束した戦いであるところも惹かれるが、
追い詰められることによって発揮される瞬の本来の力の衝撃は十二宮編のどの戦いより驚かされる。
普段大人しいキャラの高い潜在能力というギャップは美形対決を最後まで美しく締めくくった。

紫龍 VS シュラ
流血担当紫龍に、いかにも血流戦になりそうな「いかなるものも切り裂く手刀」をもつシュラを相手としてあてがったカード。
そして、従順に老師の教えを守ってきた誰よりも誠実な紫龍が禁じられた技を使うシナリオは本当に完成されている。
「老師、お許し下さい。この紫龍、老師の戒めを破ります…」の言葉には死以上に優先されるべき目的を果たさんとする意思がうかがい知れる。
その禁じられた技というのも、天に昇っていく自殺技ということろが紫龍らしく、龍らしい。
昇龍となって昇天する姿は美しい。ポセイドン編やハーデス編で明かされるシュラの最後の瞬間に紫龍に託したものも、美しすぎて涙がでる。

氷河 VS カミュ
師弟対決。唯一無二のマザコンキャラ氷河の母が眠る氷海の底の沈没船を深海に突き落としてマザコンからマザーを奪うのは仁義が無い。
氷河がそれでも感謝の心で凍気対決で凍気の真髄に辿り着く過程に感動する。カミュが「その力、信じる者のために使わせてやりたかった」
というのは立場の事情を悔やむばかりである。後にも先にも凍気使いの聖闘士はもう出てこない。
師弟対決が強烈過ぎて氷河VSミロがかすむが、ミロも非常にいいキャラだった。

一輝 VS シャカ
ブロンズで最も神に近い男と対峙できるのは不死鳥だけだっただろう。地獄の果てからも甦る不死鳥のイメージを遺憾なく発揮した。
また、仲間の中で最強の一輝が黄金聖闘士最強クラスを相手にする対戦カードはもうそれだけで感涙もの。
猛々しい一輝のコスモがシャカのコスモを覆い尽くし、十万億土とやらに旅立つ一輝の男らしさと儚さにはロマンが凝縮されている。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 28

ひげ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

聖闘士に同じ技は通じない!

といっときながら食らうんだなぁ・・・
一ジャンルを築きあげた伝説の漫画のアニメ版。
以後、俗にファン、メーカーサイドではシュラトなどのフォロワー達を『クロスもの』というジャンルで呼んだ。
ジャンプ漫画らしく原作に追いつくまではおもしろい。
追いついても十二宮編まではなかなか。以後はDBを想像していただければわかるだろう。オリジナルストーリーと回想とバンクでがんばるのだ。ひたすら退屈w。

聖衣『クロス』のデザインが製品化(変形して星座の形になる)のためアニメ版ではぜんぜん違う。本来防御面積が狭いほど階級が低い。主人公たちは一番下っ端。
ファンのクレームのため後にバージョンアップしたものは原作に近い↑のDVDパッケージ写真のタイプへ変更されました。
そんな作品なのに1クールもたたずに商品であるクロスを否定する(正確には傷がついたから脱ぎ捨てる。あと生身の打ち合いが大好きなのだ)紫龍さんにみんな惚れてた。
当時の子供たちはみんなおもちゃの上を脱がせていた。

車田節はアニメでも健在で、みんな上にすっ飛ぶ。
パンチも歩かないでスライド式に相手を突き抜けるのがデフォ。アッパー、拳圧の描写もかっこいい。

現在でも根強く残るのが黄道十二星座、黄金聖闘士(ゴールドセイント)によるカースト制度である。
一番終わってるのは蟹座の人。地位が高いのは射手座、しし座、水瓶座あたり。のちに双子座も。要するにキャラの人気順。

地味にすごいのは聖衣に専門デザイナーがいて同じ変形はひとつとして存在しないこと。
若い方は半分ネタとしてごらんになってください。 
見たら外人に技を当ててみましょう。かなりの高確率で反応してくれます。  


投稿 : 2024/12/21
♥ : 9

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ロマン溢れる戦闘アニメ

放送された当時、このアニメはとってもカッコ良くロマンチックな戦闘アニメでした。
このアニメ世代の男性達の間では、「聖闘士星矢は男のロマンだった!」という声をよく耳にしますね。

◆この作品の概要は・・・
ギリシャ神話の星座を基に、女神アテナの化身である少女のもとに聖闘士と呼ばれる5人の少年達が集い邪悪な存在と戦う、ファンタジーバトルアニメです。

◆聖闘士とは・・・
ギリシャ神話の星座の数は88個。
その星座を守護星とする88人の聖闘士が存在します。
それぞれ階級があり下の階級から、青銅聖闘士・白銀聖闘士・黄金聖闘士とあります(厳密には他にも分けられますが)。
そしてその強さは半端ない!
一番最下級の青銅聖闘士でも1秒間に100発以上のパンチを繰り出すことができるマッハの速さで動く事ができます。
最強の強さを誇る黄金聖闘士にいたっては高速(マッハ90万)の動きを・・・。
ビックリするほどスケールの大きすぎる戦士達ですね!!

◆壮大なストーリー
聖闘士の少年達は自分達よりも圧倒的に大きい敵と戦いながら、傷つきながらも成長していき、時には奇跡を起こしながらも敵を打ち破っていきます。
全ては女神アテナのために・・・地上の平和のために・・・。
一昔前の作品なので、今見たらクオリティが低く感じるかもしれない。
でもこのアニメは最高です!

◆星座が覚えられます・・・
そういえばこのアニメのおかげで1月~12月の星座を覚えましたね。
「8月は何座?」って思った時、「デスマスクの次はアイオリアとシャカだったから獅子座か乙女座だな」というふうに(笑)

◆最後に一言・・・
当時は全然感じなかったけど、瞬=「ドラゴンボールのべジータ」という声優図式が今ではビックリですね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

67.1 3 1986年秋(10月~12月)アニメランキング3位
11人いる!(アニメ映画)

1986年11月2日
★★★★☆ 3.6 (74)
413人が棚に入れました
少女漫画としても、SFとしても評判が高い萩尾望都の代表作をアニメ化。宇宙船という密閉空間の中で、サバイバルを行うことになった異星人たちの対立や葛藤を描くSFサスペンス。同時上映は新井素子原作の「扉を開けて」。遙か未来、惑星シベリーヌ出身の少年ダダは、3年に一度行われる宇宙最高峰の大学“コスモ・アカデミー”の入学試験に臨んでいた。最終試験は、10人の受験生たちがひとつのグループになり、漂流する宇宙船の中で53日間サバイバルを行うというもの。しかし、集まった受験生たちは11人いた!

ねこmm。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「直感は狂わない 狂っていては直感ではない……」  【ねこ's満足度:70pts】

宇宙最高峰の大学『コスモ・アカデミー』の入学試験に臨む全宇宙の受験生達。
超難関な試験の最終課題は、10人一組になっての宇宙船でのサバイバルでした。
決められた期間力を合わせて様々な困難に立ち向かい、
最後まで一人の脱落者も出すことなく無事試験を終えることができれば合格というもの。
ところがいざ始まってみるとなぜか受験生は11人いて……。

1人多いことで受験生達は冒頭から猜疑心を持ちます。
どうして1人多いのか。その多い1人は誰なのか。いったいなにが目的なのか。
さらには次々と起きるトラブルによって、彼らは徐々に相互不信に陥っていきます。
その上、主人公ダダには思い出せない過去の記憶がありました。
宇宙船内という密閉された中でのサスペンス要素に加え、ダダの記憶に関するミステリー。
90分が短く感じるほどテンポよく、軽快に物語は進んでいきます。

声優陣は神谷明、田中秀幸、古川登志夫、玄田哲章、故・鈴置洋孝、若本規夫、TARAKO
といったいまや重鎮といってもいいほどの超豪華な顔ぶれです。
ところがヒロイン(?)役のフロルだけは、当時のアイドル河合美智子が担当。
この子の演技がとても残念なことに……。
さらに挿入歌も歌ってるんですが、この歌唱力がまたまた残念なことに……(笑)。
昔から映画のこういうキャスティングってあるんですね。
唯一にして最大の欠点がこのキャスティング。ホントに残念でした。

しかし、それ以外は中弛みもなくおおむね満足。
最後までドキドキしながら楽しむことができました。
さすがは知る人ぞ知る傑作、といったところでしょうか♪

投稿 : 2024/12/21
♥ : 33

らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

これは、よくできた「お話のつくり方講座」

この、30年以上も昔のシーラカンスのごときSF作品を、あえて現在の視点で評価するとすれば、これはもう、ある種のよくできた「お話の作り方講座」として読む(観る)以外に価値はないと断言してもよいのではないでしょうか。
いろいろセンスが古すぎて今観るにはマジきつすぎるし、同じ土俵で評価するのも妥当とは思えない。
あとスペースオペラを期待しても敗北必至でしょう。


●お話の作り方講座としての『11人いる!』

まさに帰納法のお手本のようなプロット*1で、しかも、昔ながらのオーソドックスなフーダニット系ミステリのそれに限りなく近い手法を踏襲しています(…といっても「ノックスの十戒」や「ヴァン・ダインの20則」を踏襲しているという意味ではもちろんなく、物語の組み立て方が古典的な推理小説に近いという意味で)。

つまり、完全に「結末の提示」から逆算する形で、以下のものを、ほとんど機械的に無駄なく配置しているのであります。

 結末
 ↓急展開・予期せぬ事態の発生
 ↓状況の把握・ミスリードの仕込み
 ↓状況発生

 ★本作の場合、これらが下からそっくりきれいに物語の起承転結を成す

実際に観たことがある方ならば、すぐに具体的な作中の出来事に当てはめることができるかと。もちろん「結末」に当たるのは、「11人目が誰か」への回答です。

あまりに洗練され、かつ贅肉がなさすぎて、「面白い!」ではなく「あざやか!」という感想しか出てこない。ほんと、よくできた「脚本」。この作品、wikiによると舞台化もされているようですが、さもあらんというか、絶対やりやすいと思うわ。

*1
手塚治虫が定義するところの帰納法的プロットと演繹的法的プロットのこと。哲学や論理学における帰納・演繹とはだいぶ意味が違う。


**

●雑談 ~洗練されすぎの弱点。様式美としてのロマンス

もう少し話を広げると、本作では、そのように洗練されたプロットの中に、サブストーリ的に恋愛的興味を放り込んできます。上述したミステリの観点から言うと、これはまさにアガサ・クリスティの作品を読んでいる感覚なんですよ。無味乾燥としすぎないように、軽くロマンスを挟んでくる、あの感じ。ヴァン・ダイン先生は「そんなもん要らん」と怒りそうだけど。

で、本作においてその恋愛的興味(ロマンス)が説得力のある形に料理できていたかというと、たぶん観た人のほとんどが「NO」と答えるんじゃないかしら。あまりにも心の機微が描けてなさすぎ、と。予定調和すぎて醒める人も多いと思います。
クリスティ作品で描かれるロマンスとかまさにそーいう感じなんですわ。あーはいはい、って感じで。そもそも心の機微なんざ描こうとしてないんだもん、仕方ないわな。

この手の作品は基本的に贅肉のない物語を指向するので、キャラ立ちというものを表現しにくい。『11人~』にしてもキャラの「描き分け」は短い時間の中でかなり頑張っているけれども、キャラ立ちはしていない。人間の深いところを探ったり、魅力を引き出していくことを半ば放棄しているから仕方がないんだな。

本作の描くロマンスに説得力が生れないのも原因はこれ。帰納法寄りの組立をすることの最大の弱点といってよいです。あらかじめこうと決めた結末やその周辺に対して、「ロジック的に意味を持たない言動」をキャラにとらせにくいのです。だからキャラが立たない。*2

そこへいくと、我々が普段から親しんでいるアニメや漫画の多くは、キャラに魅力を持たせることを非常に重視しています。そこが出発点といっても過言じゃない。あにこれにも、さも当然のように「キャラ」という評価項目がありますよな。
十分な魅力を備え、消費者に支持されるキャラを作った上で、物語を展開していくやり方(それを帰納法に対して演繹的なプロット作成法と呼ぶ向きがある)が主流なわけです。

キャラの魅力が高度に煮詰まってくると、いわゆるキャラが「独り歩きする」状態になり、ある程度の話の流れさえ用意すれば、あとはもう、まるでリアクション芸のごとき感覚で物語を成立させてしまう。両津勘吉とかイカ娘とかそれに近いですよね。連載形式のコンテンツの場合、これがたいへんな武器になるのです。

で、ロマンスの話に立ち戻ると。
心の機微を正面から描こうとして派手に失敗しちゃってるラブストーリーなんかに出会ってしまうと、ぶっちゃけ本作のように、ある意味で様式美じみたロマンスのほうが、よっぽど綺麗で納得できるものだと私なんかは思ってしまう。
描こうとして失敗している目も当てられない悲惨さに比べたら、こっちのほうが全然マシと感じてしまうのですよ…。*3

*2
これに対する最も効果的で手っ取り早い解決策が、名物キャラを作ってシリーズ化することである。ホームズとワトソン、ポアロとヘイスティングズetc…。そうしておけば、少なくとも主人公級のキャラクターに限っては十分なキャラ立ちを確保することができる。

*3
本来は、「映画的なもの」と「TVアニメ的なもの」との手法的差異、という観点からも説明加えないとフェアではない…。


**

えらいとりとめのない雑談になってしまいました。

とにかくも、この作品は、「お話の作り方」の教科書として鑑賞する分には、非常にわかりやすく、すぐれたものだと言わざるを得ません。
どうやったら観る人の興味を引き続けることができるか、というのを、帰納法的プロット作成の観点から、見事に実践している一作なのです。

もう一度断言します。それ以外に価値はないです。


なお。
この感想みたいに、頭に浮かんだことを行き当たりばったり勢いで書いちゃう態度が、まさに帰納法の真逆ですよね。
まったく着地点を決めていない。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

今となっては作れないかも

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。90分ほどのSFサスペンス。

 作品としては、起承転結がしっかりしていて、どんでん返しあり、シリアスあり、コメディーありと、幅が広いのが特徴です。キャラクターも立っているし、テンポもいいし、あまり悪いところが浮かびません。オープニングから苦労せずに作品の世界に入っていくことができました。テンポの速さが若干脚本を圧迫していますが、許容範囲内だと思われます。ミステリーの教科書的な作りになっていますが、謎解きの助けとなるような描写はないので、ジャンルとしてはサスペンスと言えるでしょう。

 物語の流れは、現在では使い古されたものですが、古典的という意味では良作に該当すると思います。1986年の作品ですので、作画やBGM・SEなどが古いのは当然ですけどね。
 SFとして見ても、当時のSF感というのが分かる作品になっています。今見るのと少し荒唐無稽で陳腐な感じもありますが、これも現代の尺度で語っても仕方ないことですからね。


 私のレビューのタイトルは、この辺に関することではありません。現在のSFレベルに刷新して、脚本と作画を少しいじれば十分楽しめる作品としてリメイクできるでしょう。問題は、エンディングにおけるアイデンティティや性の描き方に関してです。この作品のテーマにジェンダーがあるのですが、今の価値観からすると少し古いように思えました。
{netabare}
 ヒロイン的ポジションのフロル。彼女は男女の区別がない両性体であって、将来的には「男になりたい」という目的をもって、試験に参加しているわけです。エンディングでは、主人公タダの恋愛感情もあって、「女性」を選択するという結論を出します。
 彼女とは別に、対比構造を作るために男女未分化のヌーというキャラクターが出てきます。彼(?)が述べるのは徹底して「定め(運命)」です。
 フロルがいた社会は、男性優位で女性は不自由な立場にあります。そして、対比構造をもつキャラクターは「定め」だと言う。そんな中で、フロルは女性としての価値を認め、女性として生きることを宣言する、という流れですね。当時の社会を色濃く反映しているように思えました。

 で、この描き方なんですが、いつごろからフロルが男性になりたいと思い始めたのかは正確には分かりませんが、彼女の行動原理やアイデンティティとしては確立されていたように見えました。「男になりたい」という言葉には結構説得力がある。これに対して、女性の方の理由付けがやや弱く感じるんです。「女がいい!」ではなくて、あくまでも「女でもいいや」のレベルに思えてしまう。

 私は十分楽しめましたし、説得性が欲しいのは願望レベルなのだと重々承知しています。ただ、これを現在の作品として公開するにはリスキーかな、とも思いました。
 現代では、例え社会的性差の問題が未だに解消されていないとしても、ここまで女性の地位が低いわけではなく、もう少しボトムの高いところでジェンダーが語られている気がするんです。さらに言えば、現代における性の問題はジェンダーのみならず、LGBTとかの別の視点も加わってきている。
 フロルが強い恋愛感情を見せていないために、ある社会でその性が受け入れられないなら、別の社会で生きて行こうという姿勢にも映ってしまうわけです。これが前向きではなく後ろ向きの「逃げ」として捉えられて、「もっと戦え!」と批判を受けるような感じですね。現代における性の問題は、当時の女性の地位向上という単一的な視点よりも、より複雑になってきている。男女未分化と性の選択を描くには相当気を使わないといけないでしょうね。
{/netabare}
 リボンの騎士やベルばらのような男装でもなく、らんま1/2のような性のスイッチでもない。性の選択を正面から語るには、現代の視点から見ると、この作品は少し怖い。この作品自体はすばらしいものですが、やはり古典と言っておかないといけないような気がします。
 「私は気にしない」とも言いたいのですが、この発想が正に批判の対象になるわけです。思想の変化によって、作品の表現が狭められていくのは残念ですが、どの作品も社会的背景なしに語れませんからね。当時は何の気なしに作れ、議論の先端であった作品でも、現在の視点からは規制の対象になるかもしれない。そういう意味では、当時の価値観の中でこそ誕生した作品なのかもしれません。


対象年齢等:
 ちょっと難しいですね。男女どちらも見れる作品だとは思いますが、対象年齢を具体的に挙げるのは困難です。見るだけなら小学校高学年くらいからでも大丈夫ですが、テーマへの批評が必須とすると、もう少し上の方がいいかもしれません。
 ジャンルから見ても、サスペンス・ミステリー・SF、いずれも現在のが洗練されていますからね。この辺のジャンルが好きで、古典にまで遡りたい人なら楽しめると思います。むしろ古典としては必見レベルかもしれません。
 個人的には、食わず嫌いせずに見て欲しい作品です。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

64.2 4 1986年秋(10月~12月)アニメランキング4位
タッチ2 さよならの贈り物(アニメ映画)

1986年12月13日
★★★★☆ 3.6 (32)
200人が棚に入れました
人気漫画家あだち充の80年代における代表作『タッチ』をアニメ化した劇場用シリーズ第2作。キャストなどは同時期に展開されていたTV版と同様である。急死した弟・和也に代わり、野球部へ入部することとなった明青学園の高校生・上杉達也。一方その幼なじみの少女・浅倉南は代理として出場した新体操で優勝を果たし、一躍脚光を浴びる。スターとなった南に少なからず戸惑いを覚えつつも、達也は甲子園の夏を迎える。

声優・キャラクター
三ツ矢雄二、日髙のり子、井上和彦
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

タイトルなし

達也が野球を続けようと決心したのは、須見工の新田の「和也にかわって俺と戦ってくれ」という言葉だった。達也は、和也の練習メニューをこなし、黙々とロードワークを続けた。ある日、南が新体操部に入部したというニュースが学校中に広がる。そして大会に出場、見事に個人優勝を飾った。その年の冬、正月の各紙は都大会代表になった南の写真を大きく取り上げていた。そんな中、映画館へ出掛けた南と達也は勢南高校のエース・西村と新田に出会う。というあらすじ。

新体操を始めてすぐにできるのは凄いと素直に思う。

{netabare}達也がノーヒットノーランをさらっと達成。野球センスの塊。{/netabare}ピッチャーのヘッドスライディングは危険すぎる。そこは気になる。

弟への想いが所々溢れる。でも、自分は弟ではなく、自分でしかなかった。

新田が熱い。{netabare}贈り物がホームランとは痛い。{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

60.0 5 1986年秋(10月~12月)アニメランキング5位
あんみつ姫(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★☆ 3.2 (25)
132人が棚に入れました
1949~1955年にかけて『少女』に連載された倉金章介の同名コミックをTVアニメ化。舞台は平和なあまから国。殿様・あわのだんごの守のひとり娘、あんみつ姫は、好奇心旺盛なおてんば少女。城での退屈な生活に飽きた姫は、家老やお局にイタズラをしたり、こっそり城下町へ遊びに行くなど自由気ままにやんちゃし放題。そんな彼女の行くところには、いつも大騒動が巻き起こって……。アニメ放送前の1983年には、小泉今日子があんみつ姫を演じた実写ドラマ版も放映。1986~1987年には竹本泉によるリニューアル版コミックが『月刊なかよし』ほか講談社の雑誌に連載された。

声優・キャラクター
小山茉美、神山卓三、京田尚子、八奈見乗児、鈴木れい子、青木菜奈、千葉繁、三田ゆう子、渕崎ゆり子、玄田哲章、富山敬、稀代桜子

59.7 6 1986年秋(10月~12月)アニメランキング6位
アウトランダーズ(OVA)

1986年12月16日
★★★★☆ 3.2 (11)
73人が棚に入れました
セント・エバスキュレーゼの王女、カームに指揮された生体メカ戦艦が地球を襲う。地表に降り立ち、剣で戦闘する王女カームの強さは生半可ではない。戦場を撮影していた哲也は、ひょんなことからこの王女に惚れられ結婚する羽目に。二人は、カームの父の皇帝のもとへ結婚の承諾を受けに行くが、当然猛反対にあう。怒り狂う皇帝に対してカームが取った大胆な計画とは……。

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

80年代エログロSFファンタジー

最近の転生ものやファンタジー系ライトベルは80年代の空気感が漂ってくる。

人気声優すぐ起用したり、エロを入れてみたり、ブラックでシニカルな内容だったりとまさに80年代の空気感である。

時代は繰り返されるとはよく言ったものだが、これによってまたアニメがマニア化してオタクの消費物になることだけは避けて欲しい。

せっかく最近はオタク層が増えて広がりを見せたのだから、それこそ文学的で実写では映像化が難しいようなアート的な表現ができるようにならないとまた縮小してしまう。

まあ、否定はしませんけどね。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

月夜の猫 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

微妙・・

Wikipediaを見ると色々設定が有ったようだけど?
基本はドタバタラブコメ風で・・可也薄っぺら^^;

同年代の作品と比べても色々・・可也陳腐かも??
80年代アニメのテイストに軽く触れる程度の気持ち
で視ると・・そこそこ楽しめるかも?だけど・・
それはそれで・・普通に80年代のメジャーなアニメ
視たほうが楽しめるだろう・・と思うと可也微妙・・

ヒロインが平野文さんで・・うる星の劣化版と感じる
人もいそう・・

兎に角・・出逢いから蛋白でお座成りで・・こういう
ノリ嫌いじゃないぜって人でも・・あまり評価は・・
されないかも??

OVA1話なので 最後まで視ることは可能かなw
此れは酷い・・と言うほどのものでもないと思うので。

キャスト
カーム - 平野文
若槻哲也 - 岩田光央
バティア - 横尾まり
ナオ - 神谷明
モモ - 土井美加
ポン・ボン・ホン - 篠原恵美
皇帝 - 外山高士
ゲオバルディ - 内海賢二
プログレス - 寺島幹夫
牢番 - 真鍋譲治

投稿 : 2024/12/21
♥ : 1

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
ドテラマン(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (8)
64人が棚に入れました
日本初の文字放送アニメ番組として日本テレビ系で放映された作品で、ドテラをまとった少年少女の活躍をコミカルに描く冒険活劇ドラマ。小学生の佐藤ハジメと中村マリコは、ドテラを着ることによってドテラマンとドテラピンクに変身することができる。変身によってパワーアップした2人は、巨大な鉛筆や扇子を武器に、鬼次元からやってくる鬼たちとドタバタバトルを繰り広げていくのであった。『タイムボカン』シリーズを彷彿とさせる世界観やキャラクターで人気を博したが、全20話と短命に終わった。音声多重放送番組でもあり、副音声では登場キャラクターのオニゾウのセリフがシーン毎に入るという演出も話題になった。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
扉を開けて(アニメ映画)

1986年11月1日
★★★★☆ 3.4 (7)
46人が棚に入れました
 斬新な文体でSF界に革命をもたらした新井素子の同名小説を原作にしたヒロイックファンタジー。萩尾望都原作「11人いる!」と同時上映された。根岸美弥子は、月に左右される超能力を持つ女子大生。彼女は、同じく月に能力を左右されるテレポーター斉木杳ともに、同級生の山岸桂一郎を調べる計画を立てていた。彼もまた、自分たちと同じ能力を持っているのではないかと思ったからだ。しかし、3人が揃った瞬間、時空が歪み、3人は異世界へと運ばれてしまう。気がつくと、目の前には大きな扉がそびえ立っていた。美弥子はそっと扉を開けて…。

ato00 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

時代の寵児、新井素子氏原作の唯一のアニメ

SF小説界の革命児新井素子氏原作のアニメ映画です。
彼女は、当時の堅いSF小説界に新風を吹き込み、80年代に一世を風靡した時代の寵児です。
砕けた文体、柔軟なストーリー、生き生きとした登場人物等により、SF小説界を大衆娯楽化した人物です。
今を時めくライトノベルの走りで、当時深夜アニメがあれば、かなりアニメ化されていたのではないかと思います。
この作品は、新井素子氏のSF小説の唯一のアニメ化作品です。

ストーリーの概要は次の通り。
東京に住む3人の超能力者(サイコキネシス、テレポーター、ライオン男)が揃った時に、異世界の扉が開かれる。
この世界は、剣と魔法(実際は超能力)からなるファンタジックな世界。
主人公'ネコ'(普通の女子大生であり、サイコキネシス)が、滅亡した「中の国」の伝説の王女となって、支配者「西の国」と戦い、「中の国」を再興するというものです。

古いアニメのためか、声、絵柄、シナリオが残念なものとなっています。
特にシナリオは、90分弱に収めるために、急転直下かつ唐突な展開で、ちょっとついていけません。
唯一の見せ場は、「東の国」の鬼姫ディミダ姫とのバトル。
それでもあっさりとしています。

今の技術を使い、十分練り込んだシナリオで丁寧にリメイクすれば面白くなりそうな作品です。

余談ですが、草創期の京アニやシャフトが制作協力していたようです。
たぶんチョイ役でしょうけど。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12
ネタバレ

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

異世界で繰り広げられる「扉を開く」ための物語

原作はSF小説家として有名な新井素子さんの一作。


主人公の根岸美夜子、そして斉木香、山岸桂一郎の三人は超能力者。
ある日その能力のため異世界への扉を開けてしまい、そこでの戦争に巻き込まれる・・・というのがあらすじです。


美夜子が訪れた‘中の国’の神官ラディンに伝説の女王の生まれ変わりとして祀り上げられ、国を救うため戦うことになります。


中世的な世界観と現代を生きる少女の組み合わせは今見ると使い古されたものですが、
壮大なファンタジー世界やキャラクターの心情が色濃く描写され中々見応えあるものでした。


異世界の住人では中の国の神官ラディンと東の国の姫ラ・ミディン・ディミダが魅力的でした。

一方はミステリアスで紳士的だが妖艶な雰囲気の男、もう一方は‘鬼姫’と呼ばれるほど勇猛果敢なおてんば姫。

特にディミダ姫は一人称が“わらわ”で中世の姫様って感じが堪らないです。後半の活躍もめざましい。



この作品は異世界で軍勢を率いて戦うただそれだけでなく、あくまで美夜子達の精神的葛藤や成長がテーマであるということが特徴的です。

後半からは彼らの超能力者故の苦しみも描かれ、誰もが感じたことがある疎外感や孤独感に共感することもあると思います。

{netabare}ラディン亡き後川辺で涙する美夜子のバックで挿入歌が流れるシーンが印象的です。 {/netabare}

タイトルにもある「扉を開く」ことの意味は多面性があって考えると面白いです。



作画はリアル調で表情が豊かに描かれていて見応えがあります。音楽もファンタジーチックで引き込まれる迫力があります。

声優陣は井上和彦、平野文、野沢那智、勝生真沙子、島田敏、池田勝など。
また端役で立木文彦、坂本千夏、深見理佳、貴家堂子(←一番驚きました)などが出演と豪華の一言です。

※美夜子を演じる藤本恭子さんは本職でないため違和感がありますが、棒読みでなく抑揚のある声で悪くはないです。
むしろアルタリア役の荒勢さんが棒気味で気になりました。


この映画は同時上映された、同じくSF小説家として有名な萩尾望都さんの「11人いる!」が好評だっただけに比較するとやはり詰め込みすぎな印象があります。

しかし、画面から魅せられる美しさがありました。
なによりジャケット及びポスターの見事なデザインに心を奪われました。
お気に入りの一作です。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
蒼き流星SPTレイズナー ACT-1 エイジ1996(OVA)

1986年10月21日
★★★★☆ 3.9 (8)
43人が棚に入れました
アニメ作家・高橋良輔がOVA版『装甲騎兵ボトムズ』に続いて制作したSFロボットアニメ『蒼き流星SPTレイズナー』。そのTV版を再編集したOVA版の第1弾が本作である。 西暦1996年、火星に少年少女たちも含めた地球の調査団が到着する。だがそこへ異星人グラドスの攻撃隊が出現。グラドスは同じ星の大国同士で衝突している地球の好戦的な性質を認め、宇宙進出を阻止せんと攻撃してきた。これと前後してグラドスと地球の間に生まれた少年エイジが火星に降り立ち、地球側へグラドスの脅威を警告。エイジは故郷である地球とグラドスの戦いを回避させようと努力し、ついに彼の意思は地球の少年少女たちの理解を得る。しかしエイジは兄同然のグラドス人ゲイルとの戦いを避けることができず……。 本作と次巻のACT-2は完全新作のACT-3『刻印2000』の発売に先がけてリリース。このACT-1の構成は、TV版でも演出を手がけた今西隆志が担当している。

声優・キャラクター
井上和彦、江森浩子、梅津秀行、鹿股裕司、鳥海勝美、平野文、戸田恵子、原えりこ、堀秀行、横尾まり

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (4)
43人が棚に入れました
舞台を2010年の未来に移し、多くのレギュラーを入れ替えた「トランスフォーマー」第2作。1986年に欧米で公開された劇場版の後日談だが、当時の日本ではこの映画そのものが未公開だった。2005年のユニクロン戦争で勝利したサイバトロン戦士だが、謎の第3勢力であるクインテッサ星人が暗躍。エネルギー不足に苦しむデストロン軍団をたきつけてサイバトロンに挑戦してきた。だがクインテッサの真の目的は全トランスフォーマーの撲滅にあった…。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
がんばれ!キッカーズ(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★☆ 4.0 (5)
41人が棚に入れました
『月刊コロコロコミック』で連載された、ながいのりあきの同名漫画を原作にした少年サッカーアニメ。強豪クラブから転校先の弱小チームに入部したサッカー少年が、ライバルとの試合を通して、ほかの部員たちとともに成長していく姿を描く。明るく元気な熱血少年・大地翔は、少年サッカー界の名門、清水ヶ丘フットボール・クラブから転校先の小学校にある北原キッカーズに入部することに。しかし、キッカーズは公式戦22試合未勝利の弱小チームで、部員たちのやる気もゼロ。見かねた翔は強豪・南陽小サッカークラブに試合を申し込み、試合を受けてもらう条件として、相手のゴールキーパー・上杉との1対1の勝負に挑むことになる。

声優・キャラクター
鈴木富子、伊倉一恵、つかせのりこ、渡辺真砂子、大谷育江、安達忍、高乃麗、頓宮恭子、TARAKO、山田栄子、YOU

はなが天使に… さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

唯一

唯一ハマったサッカーアニメです。

少年時代より実際にサッカーをやってますが
当時、所属していた少年サッカークラブでは
他にもサッカーアニメはあったはずなのに
何故か「キャプテン翼」派と「キッカーズ」派に
二分していました。
もちろん「キャプテン翼」が圧倒的多数でしたけど。。

私は実際やってたからこそ
キャプテン翼のあり得ないシュートやプレーを
どうしても受け入れられず、読むのも観るのも
挫折した記憶があります。
一方、このキッカーズはアニメらしいあり得なさも
多少あるものの、環境、状況は現実と似たようなところもあり
共感しやすかったのを覚えてます。

あとキャプテンをやってたこともあり
GKの本郷くんの泥臭いプレーとキャプテンシーに
憧れていたのも懐かしい思い出です。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 2

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
Bugってハニー(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★☆☆ 3.0 (5)
36人が棚に入れました
1986年にハドソンから発売されたファミコンのアクションゲーム『高橋名人の冒険島』の世界観を元にした、TVアニメ作品。ゲーム世界の有名人・高橋原人の人気をねたんだキュラ大王は、彼を幽閉。そのため、現実世界のゲーム画面から、高橋原人が消えてしまった。ゲーム世界から現れたハチのような女の子・ハニーに高橋原人の救出を依頼されたワンナップやみどりたちは、ゲーム世界へ飛び込んで大冒険を繰り広げていく。主人公・高橋原人のモデルは、当時の子供たちに絶大な人気を博していたファミコンの高橋名人こと高橋利幸氏。主題歌も高橋氏が担当して話題になった。1987年には、このアニメ番組を元にしたファミコン用ソフト『高橋名人のBugってハニー』が発売されている。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
強殖装甲ガイバー(アニメ映画)

1986年12月13日
★★★★☆ 3.1 (9)
32人が棚に入れました
漫画家・高屋良樹のライフワークともいえる変身ヒーローコミック『強殖装甲ガイバー』。その初のアニメ化作品が本作である。実制作はスタジオライブによって行われ、アニメーターの渡辺浩が手がけた初監督作品でもあった。 平凡な高校生の深町晶はふとしたことから奇妙なカプセルを拾ってしまう。中から飛び出してきた怪異な物体に包まれて川へと落下する晶。その傍ら、彼のガールフレンドである瀬川瑞紀に怪物や謎の男たちが迫った。だが川から現われた別の怪人が怪物=超獣化兵(ゾアノイド)を撃退。男たちの正体は秘密結社クロノスの一員で、カプセルは結社が作り出した人間を強化させる「ユニットガイバー」だった。ユニットガイバーで怪人=ガイバーIへ殖装(変身)する能力を得た晶。彼とクロノスの戦いが始まる……。 劇中に登場するもう一人のガイバーことガイバーIIは原作と異なり女性キャラクターへ変更。本作はOVAとして発売された同日に一部地域で劇場公開もなされている。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
魔法のスター マジカルエミ 蝉時雨(OVA)

1986年9月28日
★★★★☆ 4.0 (8)
29人が棚に入れました
アニメ会社ぴえろ(当時はスタジオぴえろ)による魔法少女アニメの名作『魔法のスター マジカルエミ』の新作OVA。 誰かの手でめくられていくアルバム。そこには在りし日の少女・香月舞や美少女スター・マジカルエミの写真が貼られていた……。夏休みのある日、舞は魔法の力を手に入れてエミとなった自分のことを考えている。いつかはエミも消えてしまう、これを舞は自分でも知っているのかはたまた違うのかは誰にもわからないが、今の彼女は母の陽子の言葉にもうわのそら。あやとりに夢中のまま、舞は陽子に頼まれたおつかいに出かける。公園で同級生の男子・武蔵と出会って遊ぶ舞だが、夕立が降ってきて……。 本作はTV版のスタッフが再結集して制作。TVシリーズの後日談ではなく、途中の一編ということを意識した作品だが、情緒ある心理描写に力が注がれたほか、背景美術にも広がりが見出せるよう工夫がなされた。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
オズの魔法使い(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (5)
29人が棚に入れました
世代を超えて読み継がれ、何度となく映像化もされているライマン・フランク・ボームの名作冒険ファンタジー「オズ」シリーズのTVアニメ化。ここはカンサス州の農場。少女ドロシーは叔父夫婦とともに平穏な生活を営んでいたが、ある日、愛犬・小犬のトトとともに家ごと大竜巻にさらわれる。彼女が着いたのは、異世界オズの国。故郷に帰りたいと願うドロシーは、知恵を求めるカカシ、心を求めるブリキの木こり、そして勇気を求める臆病なライオンと同道。トトを加えた一行は、どんな願いでも叶えてくれるというオズの大王が住むエメラルドの都を目指すのだった。アニメ制作は、シンエイ動画作品『忍者ハットリくん』などに参加してきたアニメスタジオ・パンメディアが担当。日本アニメーション「世界名作劇場」にも参加したスタッフも集結し、評価の高いアニメ映像を作りだした。一年にわたった番組は、原作シリーズの内、1~3、6巻を下敷きに物語が構成されている。
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

テンプレ異世界ものはどこへ行った?

 このレビューでは、「異世界もの」について考えていきます。
 本題に先立って、このレビューにおける「異世界もの」の定義付けをしておきます。

 現実世界と異世界の両方が登場する異世界ファンタジーは、外観的には次の三つに分類されると思います。
①現実世界から異世界に舞台を移すもの―千と千尋とか。いっぱいある。
②異世界から現実世界に舞台を移すもの―はたらく魔王さまとか。珍しい。
③現実世界と異世界を往復するもの―GATE自衛隊~とか。これも珍しい。
 このうち、このレビューの対象とするのは、①の「現実世界から異世界に舞台を移すもの」です。この形態の異世界ファンタジーを、ここでは「異世界もの」と呼んでいきます。
 「異世界もの」の基本形は、現実世界から始まって異世界に渡り、異世界でなんやかんやあった後に現実世界に帰ってきて即終わり、というものですね。

 で、私が本題として念頭に置いているのは、従来型の「異世界もの」と最近の「異世界もの」のテンプレが違いそうだよねってことです。ただ、そこまで踏み込む気はありませんから、従来型の「異世界もの」の特徴を整理することが目標となります。その特徴というのは、「二つの世界を分断して、対比して、風刺する」構造のことです。
 この対比の部分を中心に「オズの魔法使い(以下オズ)」で確認していきます。


オズの魔法使い(あらすじとテーマ):{netabare}
 「オズ」は、主人公のドロシーが、カカシ・ブリキのきこり・ライオンとともに異世界を旅する「異世界もの」ですね。念のため、あらすじとテーマを併記しておきます。

 異世界へ飛ばされてしまったドロシーは元の世界に帰るための方法を、わらで作られたカカシは本物の脳みそを、心を失くしたきこりは心を、臆病なライオンは勇気を、それぞれが求めて魔法使いのオズに会いに行きます。
 何とかオズに会うことができたのですが、オズは魔法の使えないただのペテン師に過ぎませんでした。ですが、オズから脳みそ・心・勇気をもらったカカシたちは、それが偽物であるにもかかわらず満足してしまいます。
 ドロシーは良い魔女グリンダから、自分の履いている銀の靴が元の世界に帰るための道具だと教えてもらい、無事に元の世界へ帰ることができました。というお話ですね。

 「オズ」は、偽物の脳みそ・心・勇気でも問題なかったことや、ドロシーが求めた帰るための方法が最初に手に入れた銀の靴だったことなどから、「欲しいものは最初から持っているんだ、それに気付かなきゃいけないんだ」というのがテーマとして語られることが多いと思います。
{/netabare}

オズの魔法使い(二つの世界の対比):{netabare}
 では、現実世界と異世界の対比的な関係について話を移します。

 「オズ」は、アメリカのカンザスの街の描写から始まります。ドロシーは孤児で、エムおばさんとヘンリーおじさんに育てられているのですが、ドロシーにはこの二人の姿が生気のない灰色に見えてしまいます。また、太陽の強い日差しのせいで、景色も枯れ落ちた灰色に見えてしまう。ドロシーにとってはすべてが灰色に見える街カンザス。これが「オズ」における現実世界の描写です。
 一方で、オズの国には、すべてが緑色に輝いて見えるエメラルドの街というのが出てきます。エメラルドの街が緑色に見えていたのは、かけていたメガネのレンズが緑色だったから、というオチが付きます。メガネを外せば、普通の街と何も変わらなかったのです。ペテン師のオズによる、単なるトリックだったってことですね。

 で、この二つの描写というのは明確に対比がなされていますよね。灰色のカンザスの街と緑色のエメラルドの街。
 エメラルドの街のエピソードが教えてくれるのは、メガネというフィルターを通していたら、本当のエメラルドの街を見ることは出来ないよ、ってことです。つまり、真実の姿を見たいんだったら、フィルターとなっている先入観や固定観念を捨てないとダメだよ、と言っているんですね。
 これにより、灰色のカンザスの街って本当に灰色だったのかな? 何らかのフィルターがあったせいで灰色に見えていたのかな? という疑問が生じますよね。エメラルドの街と同じように、フィルターを外した上でカンザスの街を見てみなければならないのです。

 「オズ」のエンディングは、異世界の最後でドロシーが養父母への優しさを見せて、帰ったときにエムおばさんが涙を流して歓迎してくれる、というものです。本当のところは、灰色の養父母なんかではなかったのです。
 ドロシーにも何らかのフィルターが存在をしていて、それが目を曇らせていた。このことにドロシー自身が気付かなければいけなかったのです。そして、最後にドロシーがこれに気付くことで、「欲しいものは最初から持っているんだ、それに気付かなきゃいけないんだ」というテーマが再度遡及されるわけですね。

 現実世界のカンザスの街と異世界のエメラルドの街。この二つの世界を使った対比が、ストーリーの中で上手く機能しているのが分かると思います。
{/netabare}

おまけ①ドロシーのフィルター:{netabare}
 ドロシーのフィルターというのは、孤児設定のことです。
 「オズ」は1900年頃の作品なんですけど、当時のアメリカには孤児列車というものがありました。東部で親を亡くした子供たちを、中西部に運ぶための列車ですね。実体はともかくとして、その目的は養子縁組による孤児の支援です。
 おそらく、ドロシーもこの孤児たちの中の一人だったのでしょう。両親との別離を経て、養父母と出会い、見知らぬ土地での生活を始める。このような経験が、ドロシーの灰色の世界を作ってしまったように思います。
 ドロシーの孤児設定については掘り下げられていませんので、時代背景を知らないとちょっと分かりにくいですよね。時代性を写し取った社会風刺の部分なのでしょう。
{/netabare}

従来型の「異世界もの」:{netabare}
 「異世界もの」の特徴は、「二つの世界を分断して、対比して、風刺する」構造である、と述べました。これについての検討をしていきます。

 異世界ファンタジーの中には、指輪物語(ロードオブザリング)のように、「異世界だけを舞台にしたもの」もたくさんありますよね。異世界の面白さだけを追求するのなら、この形態で構わないんです。
 なぜ「異世界もの」が二つの世界を必要としているのかというと、二つの世界で対比を作りたいからなんです。「オズ」を例にするなら、、灰色のカンザスの街と緑色のエメラルドの街ですね。異世界だけを舞台にしている作品では、このような二つの世界を使った対比はできません。
 二つの世界を使った対比の成立、これが「異世界もの」の最大の特徴なんです。

 そして、この対比の成立によって、間接的な風刺をすることが「異世界もの」の目的となっています。
 「異世界もの」では、主として現実世界への風刺が行われています。「オズ」だったら、現実世界を灰色に見てしまうドロシーへの批判であり、また、子供に現実世界を灰色だと認識させてしまう社会への批判でもあります。ただ、この風刺を直接的に行おうとしているわけではないんです。直接的に風刺をしたいのなら、現代劇でやればいいからです。
 直接的に現実世界を風刺せずに、異世界を通じて間接的に現実世界を風刺しようとしている。この間接的な風刺をするために、現実世界とは別の異世界が必要なんですね。

 対比があるから風刺ができて、風刺をするためには対比が必要だ。対比と風刺の関係はこのようになっていて、これらが「異世界もの」の構造における両輪となっているんだと思います。また、これを実現するためには、異なる二つの世界が存在していることを明示する必要がありますよね。このために、分断があるのです。
 これが「異世界もの」が持つ「二つの世界を分断して、対比して、風刺する」構造です。

 テンプレとしては、まず、現実世界が描かれて、次いで、現実世界と分断された異世界へと渡る。そして、異世界の中で現実世界との対比が作られます。最後に、異世界から現実世界へと主題がフィードバックされて、現実世界の風刺が達成される、という感じですね。
 作劇上でで一番大切なのは、最初の現実世界の描写だと思います。ここは起承転結の起の部分に該当しますが、対比元が決定される場所でもあります。ここで、何を対比していくのか、という主題の限定がされています。


 ちなみに、「二つの世界を分断して、対比して、風刺する」構造っていうのは、必ずしも「異世界もの」の専売特許ではありません。分断というのが、異世界でなくとも作れるからです。
 良くあるのが、都会から田舎へ移る、というパターンです。アニメで言ったら、「おおかみこども」や「ばらかもん」みたいなやつです。現実世界と異世界の代わりに、都会と田舎で分断を作っていますよね。この手の作品で、やや都会でもやや田舎でもなく、僻地ともいうべき超田舎に行くのは、より都会との差を浮き彫りにするためなんだと思います。風刺対象の都会を客観視するためには、属性的に大きく異なっているところの方がいいからです。
 日本から外国に行くとか、現代から過去や未来に行くっていうのも同じです。距離的・時間的な分断があれば、「異世界もの」と似たような構造は可能になります。
{/netabare}

おまけ②「千と千尋」:{netabare}
 「オズ」だけがサンプルだと知らない人には分かりづらいかもしれないので、「千と千尋」でもごく簡単にですが確認しておきます。「千と千尋」も、現実世界から始まって異世界に渡り、異世界でなんやかんやあった後に現実世界に帰ってきて即終わり、という流れですから、典型的な「異世界もの」ですよね。

 「千と千尋」の現実世界では、次の二つのことが描写されています。一つ目が、友達との別れである転校です。二つ目が、口うるさいお母さんと車で暴走しちゃうお父さん、という親子関係の不確かさです。

 異世界に渡った先で描かれていたのは、湯屋での新生活と、ブタになってしまった両親ですね。
 千尋は湯屋で仕事体験をしていましたが、これは、友達もおらず、両親の助けも借りられない場所での新生活です。転校も、友達もおらず、両親の助けも借りられない場所での新生活ですから、湯屋での生活というのは転校の疑似体験と同じようなものです。湯屋で自立ができた千尋は、転校先でもきっと大丈夫!ってことですね。
 また、千尋は、多くのブタの中から両親を識別できていました。姿かたちがどうであれ、子供と親の間には根源的な信頼関係があるんだってことです。だから、口うるさいお母さんでも暴走しちゃお父さんでも、大丈夫!なんですね。

 エンディングでは、千尋は異世界での出来事を忘れてしまったように描写されていました。たとえ千尋が、湯屋で自立できていたことや、両親との信頼関係を確認できたことを忘れてしまっていたとしても、それでも大丈夫!なんです。
 これを象徴的に説明したのが、ゼニーバが千尋に託した髪留めですね。ゼニーバは「一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで」と言っていました。忘れてしまったわけではなく、思い出せていないだけ。
 自立の力も、親子の信頼関係も、思い出せてはいないのかもしれないですけど、忘れることはできないものなんです。それらは、千尋の中に確かに存在しているものです。だから、大丈夫!なんですね。

 この「一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで」というテーマは、感情的な山場としては、ハクの名前を思い出したところになりますよね。でも、ここは、構造的にはサブエピソードなんだと思います。ここだけ押さえても、「名前を思い出したから、だから何よ?」となってしまいますからね。
 構造的なメインエピソードは、転校先で自立の力を、親子の間で信頼関係を、「千尋がこれから思い出す」という作品上では描かれなかったところのような気がします。ここまで含めて、オープニングで描かれていた現実世界へのアンサーシーンとなるからです。
 「千と千尋」では、現実世界の描写で問題提起をして、異世界を通じてそれが解決できることを描いていたってことですね。実際の解決はされないままに、その可能性だけを見せてエンディングを迎えました。
{/netabare}

雑記:{netabare}
 以前、「千と千尋」のレビューで、「本当は違うことをやりたかったんですけど、こんな内容になっちゃいました」みたいなことを書いたんですけど、本当にやりたかったことってのが、上で書いたことですね。初稿から1年以上経っているんですけど、ここに来てやっと成仏できました。

 あと、前々から思っていたんですけど、個別作品のレビューでは、監督で括ったりジャンルで括ったりっていう横断的な論点ってやりづらいですよね。いやまぁ、やるなって話なんですけど。このレビューも個別作品のレビューと言っていいのかがもう怪しいですもんね。だから、目立たなそうな「オズ」にしたんですけどね。あんまり目立たなければ大丈夫だろうという、世にも安易な発想です。


 最後に、「オズ」を申し訳程度に宣伝して終わます。
 このレビューで書いた「オズ」の話は、全部原作からのものです。アニメは見ていないので分かりませんが、実写映画は原作から改変されているところがボチボチあります。メガネの話もなくなっていますからね。

 でも、灰色のカンザスの街はきちんと表現されています。オープニングとエンディングのカンザスの街は白黒映画として撮っていて、オズの国がカラー映画になっている、という表現です。面白い演出ですよね。
 白黒のシーンを指し込む作品はままありますけど、舞台設定的に使うのは珍しいですよね。アニメ作品で言ったら、「トップをねらえ」がこれに近い演出になるのかな。

 「ユリクマ嵐」では、「オズ」が意図的に引用されていましたね。赤いヒールのかかとを、三回鳴らすってシーンがありました。かかと三回は、「オズ」で使われた現実世界に帰るためのおまじないです。原作は銀の靴で、映画が赤いルビーの靴だから、映画からの引用ですね。

 いわゆる名作はどこで引用されてもおかしくはないですから、見ておいて損はないと思います。今見て面白いってものでもないですけどね。「オズ」は日本ではパブリックドメインになっていますから、比較的見やすいと思います。
{/netabare}

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
Oh!ファミリー(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (5)
29人が棚に入れました
舞台はアメリカのカリフォルニア州。ロサンゼルスに住んでいるアンダーソン一家のもとに、ある日パパの隠し子と名乗る少年ジョナサンと飼い犬のアダムが現れる。しかも、この少年の母親がパパの元カノだと知り家族中は大パニック・・・かと思いきや、家族のほとんどが彼を受け入れてしまう。当然パパはショックで寝込んでしまう。そして、一人納得のいかないフィーは彼に対して敵対心をむき出しにする。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
GREY デジタル・ターゲット(アニメ映画)

1986年12月13日
★★★★☆ 3.6 (7)
28人が棚に入れました
代表作『軽井沢シンドローム』で1980年代に一世を風靡した漫画家・たがみよしひさのSF漫画のOVA化。26世紀、人類が地上に分割された各統治国歌町(タウン)ごとに生きる時代。それらの町では徹底した階級社会が築かれ、下層階級民(ピープル)は上部階級市民(シチズン)に支配されていた。民の出自の者が市民となるのは困難だが、トループスと呼ばれる戦士として他の町と交戦し、勲功を上げた者には市民への道も開かれていた。歴戦の青年トループスグレイは自分の部隊が全滅しても生き残り、敵に容赦ない攻撃をすることから死神との異名を持つ。市民に憧れて戦い続けるグレイだが、戦死した仲間の思い出、そして戦友の女戦士ノーヴァとの心身の絆の中で、何かが変り始める!? 葦プロダクション制作の80分の長編作品だが、アニメ映像の制作は、本作の監督・出崎哲率いるアニメ会社マジックバスが主体となっている。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
アーバンスクウェア 琥珀の追撃(OVA)

1986年11月28日
★★★★☆ 3.5 (6)
23人が棚に入れました
OVA隆盛期のラインナップ内では希少な本格派ハードボイルド・アクション・アニメ。神戸で売れないライターをやっている松本良は、ひょんなことから手に入れた手紙のために、女子大生の田村由紀とともに殺人事件に巻き込まれ、殺し屋に追われることに。刑事の望月は捕らわれた良を救うべく、単身で殺し屋たちに立ち向かっていくが? アダルトな雰囲気のキャラクターデザインには、『うる星やつら』などでおなじみの高田明美が起用され話題に。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
活劇少女探偵団(OVA)

1986年11月25日
★★★☆☆ 3.0 (6)
21人が棚に入れました
アニメバラエティ誌「月刊OUT」に連載された同題コミックを原作とした美少女もののOVA。老舗のアニメ会社である東京ムービー新社がはじめて手がけたOVAでもあった。 お嬢様の学校として名高い聖ゴーダマ女学院。そこは世界各国の王侯貴族も通う由緒正しい学院で、ここに通学する江戸川友里子、一の谷碧そしてイングリッド・静香・グレーベルは大の仲良し3人組であった。ある時、碧が行方不明になったため心配する友里子と静香だが、両者もまた何者かに狙われる。一連の事件の背後には学園理事長の野望が隠されており、その魔手は碧の父・一の谷博士が開発した新兵器にあった……。 本作の監督を務めたのは『きらりん☆レボリューション』などでも同職を手がけているアニメ作家の奥脇雅晴。

nyaro さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

OVA史には失敗作もいっぱいありました。

 1986年とOVA黎明期の作品。企画コンセプトは学園もの、セーラー服少女、SF活劇…でしょう。そのためだけの作品で26分くらいの間、ずっとそういう映像だけ流れる感じです。つまり、ストーリー性は類例がないほどありません。

 OP前の人物の色彩がのっぺりしていてびっくりするくらい出来が悪いです。ですが、OPに流れるアニメというか止め絵の水準は高いです。OP以降は冒頭よりもマシになります。
 OPは声優さんが歌っているみたいですが、歌が下手すぎて笑ってしまいます。今の声優さんたちの歌の水準の高さから比べると冗談みたいです。
 EDは森口博子さん。Zガンダムの人ですね。この人は歌は上手いですが、その歌のうまさを全く生かせていない、メロディラインが平板な曲でした。

 なにが言いたいかと言うと、いままで見てきた80年代OVAの中では最低水準でしょう。
 この作品は資料的価値としては……まあ、どんな時代でも失敗作ってあるよね、ということくらいでしょうか。
 懐古主義的に今見る80年代の作品って時間の洗礼を受けている作品がメインなので秀作が多いので、こういう失敗作も新鮮といえば新鮮です。
 
 そうそう、女子高生が無免許で自動車…しかもマニュアル車を運転しているシーンが新鮮でした。そこだけは表現の幅があっていい時代だったなあ、という感慨はありました。それくらいです。

 

投稿 : 2024/12/21
♥ : 4

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
ハートカクテル(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (6)
20人が棚に入れました
漫画家わたせせいぞうが『週刊モーニング』で連載した、お洒落な雰囲気の同題コミックをアニメ化。原作が持つ独特の描線やポップな色使いは、アニメでも見事に再現された。熱帯雨林気候のため、蒸し暑い日が続く日本。ボクは本来ならば屋外でビールを飲むべきだろうと思いつつも、冷房の効いている喫茶店でアイスコーヒーを口にしていた。ついに思い立ったボクはカノジョに電話をかけ、二人だけのビアガーデンを開くことが決定。二人ともビールをおいしく飲むため、朝から余分な水分をとらないように注意しつつ、暑い日の夕方を迎えた。会社が終わり、ようやく二人の大切なビアガーデンがオープンする……。本作は金曜日の深夜に放送。一週につき5分のショートストーリーが用意された。アニメの制作は映画『魔女の宅急便』などにも参加しているメルヘン社が担当。作画監督にはベテランアニメーターの高橋信也らも参加していた。

つぼ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

彼と彼女の、今とは少し違った約3分間の純愛ストーリー

※当レビューは、ほぼ初見の方へ向けたレビューとなります、既にご承知の私と同年代の中年諸兄は「ふーん」と流し見下さい、知らない年代の方に是非ご視聴頂きたく私なりに工夫して書いてみました、どうぞご覧下さい



○ ハートカクテルってなんですか?

△ はい、原作は週刊モーニングで連載された、わたせせいぞう著の「ハートカクテル」です、数ページの1話完結で全編オールカラーだったと記憶しています、わたせせいぞう氏によって描かれる、そのあたたかみのあるやわらかな描線とポップな色彩がとても印象的な作品となっています

○ いつ頃の作品なのですか?

△ はい、アニメは日本たばこ(JT)一社単独提供で「タバコ1本分のストーリー」と言うキャッチで86年~88年に放映されました、時間帯は失念してしまいましたが夜間だったように思います

○ どんな作品なのですか?

△ はい、作画からお答えします、わたせせいぞう氏の作画を最大限に活かす為にアニメーションするカットは極力抑えられ、カメラワークの寄りや引きやパーンしたりのカメラワークで氏の描く1枚絵の魅力が際立ちます

△出演は、彼(声:塩沢兼人さん 奥田民義さん)
彼女(声:島津冴子さん 島本須美さん 麻上洋子さん)
一応なんですが奥田民義さんはミュージシャンの奥田民生さんではありません、民義さん曰くよく間違われたそうですので念の為付け加えておきますね(笑)、奥田民義さんはこの作品が初主演作品でした、現在はナレーター業が本職のようで、そのあたたかかつ品のあるさわやかボイスは皆さんも聞けば必ず「あっ!」と出演作を連想されると思います、
また、共演陣も声を聞けば誰しもが気付く有名声優さん達がガッチリ脇を固めストーリーに奥行きを持たせています(ただ30年前の作品ですから当時は若手だったかも知れませんね)

△音楽は、松岡直也、トニーズ・ショウ、島健、三枝成章、とその道のエキスパートでそうそうたる面々です、その彼らがこのアニメの100を越えるエピソードのひとつひとつに曲を付けたのですから、今では考えられないような贅沢な仕様となっています、さすがバブル期制作作品ですね(ほぼ同期には「アキラ」や「オネアミスの翼」がありますからある意味納得です)

△作品の構成はCMを除けば約3分間のショートストーリーでオープニングもエンディングもありません、スッとはじまり余韻を残しつつもサッと終わります、毎1話完結です(カモメがつれてきたカノジョだけは三連作)、彼と彼女のさわやかな恋物語をわたせせいぞう氏の作画、しっかりした声の演技と素晴らしい音楽で魅せてくれます

△バブル期の作品ですからヴィンテージカーや高級ブランドやこだわりある小物は時代感のありますがしっかり登場します、ですが物語自体は素朴であり実直で人物の人柄は何処か朴吶さえ感じられます、これは物語を書いたわたせせいぞう氏の人柄そのものだったのかも知れません

携帯もネットもない、今とは少し違った恋物語です、

この時代に青春期を過ごしたご同輩は再度視聴すれば、胸の内側を擽られるような何ともこそばゆく感じになるかも知れません、時代を知らない若い世代の方はある意味新鮮さ面白みを感じて貰えるのではないか?と期待しています

○ よく喋りますね、疲れませんか?

△ はい、少々興奮気味です、恐縮です

○ 100を越えるエピソードと言う事でしたが、観るのが面倒に感じます

△ はい、大丈夫です、興味を持たれた方の為に選び易いように、いくつか私のお薦めエピソードを挙げておきます、これらは私なりに「これぞハートカクテルです」と言えるものです、

△音楽 トニーズショウ

「一足お先にIslander」
「思い出ワンクッション」
「もうフォークは投げない」
「木馬が歌った日」
「町を出てゆく男」
「オフホワイトのレースのスカーフ」

△音楽 島健

「'84 -夏-」
「カモメが連れてきたカノジョ①」
「秋に向かって」
※モノクロームファンタジーは必聴です
「カモメが連れてきたカノジョ②」
「バイク・サクランボ&イパネマの娘」
カモメが連れてきたカノジョ③
「夜行列車」


△特に「思い出ワンクッション」「カモメがつれてきたカノジョ」「夜行列車」は素晴らしいです、ストーリー・作画・声の演技・音楽が完璧です、絶品です(島健は本当に凄い、音楽素人の私ですが震えるほどの出来です、事実島健の担当したハートカクテルvol.4のサントラはプレミアがついて今なお高値で取引されています)



○ つぼさんはバカですか?

△ どちらかといえば、バカではなくアホです、昔大阪駅構内のガラスの壁に気付かず本気で通過しようと激突した事があります、ちょうどラッシュの時間帯でしたが誰にも笑われずツッコミもされず、ただただ痛いだけで散々だった記憶があります

○ まだ、言いたい事がありますか?

△ はい、とかくバブルが語られる時、功罪の罪の部分だけがクローズアップされますが、潤沢な資金で素晴らしい創作物(作品)がつくられた事、そして夢物語でしかなかった世界最高峰の絵画や装飾品等の本物達を目にする事が出来た事は幸せでした

○ そろそろ、締めて下さい

△ はい、大変長文となりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます、
もし、これをきっかけにハートカクテルをひとりでも認知して頂けるなら、私はとても嬉しいです

投稿 : 2024/12/21
♥ : 10

とらお さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

あえて紙芝居にする感性

本作品は[つぼさん]のレビューを読みましょう
作品を正しく面白く紹介してとても読みやすいです
絵文字機能あったら乱発しそうなおじさんぽい文構成も好ましい

本作品の基本ストーリーは恋愛のワンシーンを切り取った内容で、
「課長島耕作」のドライな恋愛観がまかり通っています
出会いはスマートで犬と砂浜フリスビーでフィアットで北へ、、、
というトレンディーでくそダサそうな気配ですが、
今見ても結末の余韻、かっこいい
やや鼻につく島耕作よ、これ見て学べ!と感じるほど洒落乙

たしかすっごい深夜アニメで話題性は薄かったですが
コメントではバブルのヤング達の憧れ伝わります
https://m.youtube.com/watch?v=u8ZR-4S9AYk
コメントさんらはどう見てもアニオタの言葉ではないね

塩沢さんも合ってる~
ごくまれにゲスト出演する有名声優も大人ボイスな演技
全話ありそうなチャンネルなので探して下さい

金あるバブル期に紙芝居とは、わかってらっしゃる
見事なわたせせいぞう絵の再現度は最も成功したアニメ化かも?
ぬるぬる動き格段に作画レベルがアップしたOVA版、コレジャナイ
アニメーションが良くなってもダメな場合もあるんです

参考「木枯らしセンティメント」
https://m.youtube.com/watch?v=gheQdppK7Hw

投稿 : 2024/12/21
♥ : 5

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

80年代――古き良き時代の息吹や恋愛模様を感じてもらいたい/2023/5/4追記

【レビューNo.55】(初回登録:2023/5/3)
コミック原作で1986-88年作品。5分アニメで全78話。
先日旧友から「ハートカクテル カラフル」を録画したDVDが送られてきました。
(この春にNHKで放送されていたらしい)
それを観て「ちょっと違うかな」ってのがあって、軽く本作を見直したのでレビューして
おこうかなっと。

(個人的なハートカクテル史)
・スタートはレコード店(当時はまだレコードが主だった)で松岡直也のCD「ハートカク
 テル Vol.1 」をジャケ買いしたところから。(作中BGM集)
 (余談だがこの当時、この歌詞のない曲だけの音楽は「フュージョン」と分類されていた。
  (正確にはジャズの派生ジャンルらしいけど)
  有名なところでは「カシオペア」「T-SQUARE」「渡辺貞夫」等)
・その後コミックがあることを知りそちらを買い始め、更にアニメが放送されていること
 も知りアニメも見始めた。
 (当時会社の1年研修で寮生活だったので、本当はTV持ち込み禁止&就寝時間だったの
  だが、携帯TVを持っていた友人に借りてこっそり観ていたw)、
 なので、コミック11巻とCD6枚はコンプですね。正直アニメは全部視聴できていない
 ですがw 

(作品情報他)
「つぼさん」が綺麗にまとめてくださっているので、そちらを参照ください。

(評価・追加情報等)
・ある意味(アニメ界)メディアミックス展開の先駆け的な?!
 ・原作は「わたせせいぞう」。「漫画家」というよりは「イラストレーター」として
  の知名度の方が高い感じですかね。名前は知らなくても作品(画)を見れば、誰も
  が「あっ、これか!!」となる位に彼の作品は巷に溢れています。
  作品としては原作が4ページ枠だったので1話が短く、アニメ化すると5分弱だったと。
  ((スポンサーもあるが)その尺が「タバコ1本のストーリー」の名コピーに!)
 ・アニメ的には「つぼさん」の解説通り、わたせせいぞうの世界に、音楽は松岡直也他
  実力派フュージョンアーティストとのコラボという豪華仕様。
  私も詳しくは分からないですが、OP/EDに有名ミュージシャンを起用するケースは昔
  からありますが、当時作中BGMにここまで力を入れている作品って、あってもアニメ
  映画位じゃないと。そしてそれをしっかり「ハートカクテルブランド」で売り出すと
  いう。さすがに今のようなノベライズ化はなかったですが、「コミック」+「音楽」
  +「アニメ」という、(アニメ界)メディアミックス展開の先駆けの部類に入るの
  かなあと勝手に解釈していますw
  (最近TVをほとんど観ないからアレですが、この音楽も結構TV番組の中でBGMで使
   われてたりしてるんだよね)

・深夜アニメとしても先駆け的な?!
 Wikiからですが
 「日本テレビ系列では、1969年放送の『六法やぶれクン』(名古屋テレビ制作)以来、
  17年ぶりに復活した深夜アニメで、日本テレビ制作は初である。」
 らしく、深夜アニメの本格化は1990年代後半かららしいので、やはり先駆け的な存在
 と言えるんでしょうね。まあ深夜アニメといえばエロやグロ表現等、健全な子供が起
 きてる時間に放送できないという規制的な側面もありますが、本作は大人の恋愛モノ
 ということで、その視聴者層に合わせたって感じですね。

・バブル最盛期他80年代の空気感+アメコミ感
 ・バブル最盛期他80年代の空気感
  ・この辺も「つぼさん」の解説通りですが、大人の恋愛モノ(いろいろな恋人たち
   の日常や出会い、別れ、喧嘩等)をメインに、時には軽妙に、時にはほろ苦くと
   いう感じで、短いながらも最後に残る余韻を楽しむって感じですかね。
   また時代的に高級スーツで小洒落たカフェバーでデートという、バブル期の若者
   の憧れを形にした作品も結構見られますね。
   (まあ「トレンディドラマ」の黎明期ともいえる時代でしたからね)
  ・そしてネットや携帯がなかった時代だからこそ成立するエピソードなども、当時
   を感じさせてくれます。
 ・アメコミ感
  あの色彩感覚に溢れた彼の作品を見れば、かなりアメコミから影響受けていること
  は容易に想像がつきますが、実際彼の実家の近くに米軍駐屯所があり、両親の仕事
  柄米兵の出入りが多く、そこに待ち込まれるアメコミを見て育ったそうです。
  なので、描かれてるアイテムもアメリカントイやヘインズのTシャツにリーバイスと
  いったアメリカブランドが多く登場します。
  あの作風だけに、そりゃアメリカブランドの方が映えるのは当然でしょうね。
  なのでエピソード的にも、日本人らしい恋愛を描きつつも、時にアメリカンなノリ
  を感じるところはありますねw

正直アニメとして評価した場合、
「『わたせせいぞう』の世界観を堪能するための豪華な音声、音楽付き紙芝居」
って感が強く、「名作なので皆にオススメ」って感じではないですね。好みがハッキリ
と分かれる作品だと思います。

私も「つぼさん」の考えに近く
・まずは「ハートカクテル」という作品を多くの人に知ってもらいたい。
 ・漫画家としての「わたせせいぞう」の魅力も知ってもらいたい。
  (画だけじゃなく、こういうストーリーの作品も作れるんだぞっと)
 ・またこだわりのBGMも是非聴いてもらいたい。
 ・特に若い方には、古き良き時代の息吹や恋愛模様を感じてもらいたい。
という思いから、レビューを書いてみた次第ですね。

最後に引用を快諾してくださった「つぼさん」に感謝します。
本当にありがとうございました。


(追 記1)
正直アニメに関してはバイアスがかかり、多少辛口気味なところがあります。
・上述の通り、音楽 → コミック → アニメの順で入った
・アニメは紙芝居的であまり動かない
 (コミックとあまり大差なく、アニメーションとしての新鮮さが薄かった)
ということで、ネタバレの上でアニメに入ったので「本当にアニメ化されてるわw」
位の感じで、ちょっと感動が薄いんですよね。
(といいつつ、結構観てたけどw)
初見がアニメからだったら、もっと印象も変わっていただろうなと。

(追 記2)
以前「ReLIFE」のレビューで、「おっさんになってから初めて買ったコミック」って
書いて当然コンプしているのですが、よく考えると人生で初めてコンプしたコミック
は、この「ハートカクテル」だったわw
(調べたら、その後に傑作選が10冊近く出てて、
 「同じ話の使いまわしをどんだけするねんヽ(♯`Д´)ノ」
 ってちょっと興ざめしちゃいましたがw)

(2023/5/4追記)
今日図書館にいったら「東京ラブストーリー」もコンプしてたなって思い出した。
時期的に微妙ですが、こっちはドラマ→コミックだったので、やっぱ本作のコミック
方が先だったなw

投稿 : 2024/12/21
♥ : 7

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
ドリモグだァ!!(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (5)
19人が棚に入れました
『月光仮面』『レインボーマン』など傑作ヒーロー作品の作者として知られる川内康範が提供した原作を元にした、モグラが主人公の異色冒険アニメ。舞台は8世紀のヨーロッパ。領土の拡張をめざすフランク王国は、指導者カール大帝の指示のもと、周辺の国々に侵略戦争を続けていた。戦禍に苦しむ欧州の罪もなき人々。だがそんな被災者の心の支えとなるのは、全ヨーロッパ中の地中を自由に突き進み、困っている人間や動物に支援の手をさしのべるモグラの兄妹ドリモグとハナモグだった! 高い知性を持って人語まで話すドリモグたちは世界中に張り巡らせた地底トンネル「ドリモグロード」を活用。その機動力をフルに活かして、カール大帝やその仲間の妖術師ババールに闘いを挑む。クセの強いヒーロー作品を多数生み出した原作者らしい、ひねったそして夢のある設定のSF冒険アニメ。番組は好評の中で一年間放映され、後半は時代と舞台を変えた第二部(新シリーズ)に移行した。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
ボスコアドベンチャー(TVアニメ動画)

1986年秋アニメ
★★★★★ 4.1 (3)
16人が棚に入れました
トニー・ウルフ原作の絵本『ボスコの森の住人たち』をもとにした冒険ファンタジー。ボスコワールドにはフォンテーンランドと呼ばれる聖地があり、その谷の中央には命の泉と泉の女王の座があった。フォンテーンランドの女王が女王の座にいる限り、泉は命の水を湧き出し続け、ボスコワールドに生きるすべての生き物に生命力を与える。ところがあるとき、正体不明の魔物スコーピオンがこの泉を奪おうとした。スコーピオンは泉に侵入して女王をさらい、女王の後継者アプリコットまでも手下に捕らえさせる。アプリコットは家来の九官鳥スピークに救出のメッセージを託すことに。やがてそのメッセージを知ったボスコの森の住人たちは、アプリコットを救い出すために飛行船ボスコ号で旅立っていく。

声優・キャラクター
中原茂、石丸博也、山寺宏一、皆口裕子、銀河万丈、はせさん治、緒方賢一、柴田秀勝、吉田理保子、宮内幸平、渡辺菜生子、水倉久美子、日髙のり子

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
バビ・ストック II ザ・リベンジ・オブ アイズマン 愛の鼓動の彼方に(OVA)

1986年11月10日
★★★★☆ 3.1 (3)
8人が棚に入れました
1985年に発売されたOVA『バビ・ストックI 果てしなき標的』の続編。 強大な敵ベンティカ帝国と、今も戦い続ける女戦士ケイト。所属する組織=警察惑星G・P・Pを失ったものの、帝国打倒の切り札といえる少年バビそして少女ムーマはケイトの脇にいた。帝国との抗争の果て、ある天体に漂着した一同。だがそこは100m以上もの樹木が群生し、さらには妖精や恐竜のような生物までが棲息する植物惑星だった。戸惑うケイトたちの前に、帝国が差し向けた強敵=サイボーグ戦士のアイズマンが来襲する。 諸事情から前作とは制作体制を一新。脚本の寺田憲史以外は完全に別スタッフになった。制作会社もスタジオ・ユニコーンに交代。監督はTVアニメ『ママレード・ボーイ』の矢部秋則が務める。物語的にはバビとムーマの恋模様を絡めつつ、帝国との戦いに一応の決着をつけた。

計測不能 7 1986年秋(10月~12月)アニメランキング7位
お月さんももいろ(アニメ映画)

1986年9月28日
★★★★★ 5.0 (1)
6人が棚に入れました
松谷みよ子による同題の創作民話をもとにした、人形アニメーション映画。昔、土佐の月灘に、祖父と二人暮らしの海女の娘・おりのがいた。彼女はある日、高価そうなももいろ珊瑚を拾う。そのことを知った庄屋はおりのを呼び出し、その珊瑚は土佐藩の秘密の品なので奉行に差し出すように命じた。だが実は、おりのは病気の祖父のため親切な山の若い猟師・与吉から薬をもらい、そのお礼にとももいろ珊瑚を渡していたのだった。弱ったおりのは海に潜って、別のももいろ珊瑚を探そうとするが……。米国ランキン・バスとの合作でも有名な、人形アニメーションのスタジオ、ビデオ東京プロダクションが制作。脚本と監督は同社の諸作に関わり、名作『おこりじぞう』の監督職も務めた河野秋和が担当した。
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