nyaro さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ジャンプには珍しいキャラに深みがあり奥行がある作品でした。
キングゲイナーのOPを久しぶりに聞いて、そのつながりで本作の「真っ赤な誓い」を聞き、思いのほか感動し、本作のアニメを思い出してレビューしています。バサラと合わせてこの3作の主題歌は今なお色あせないどころか、アニメが忘れた「熱さ」が素晴らしです。
本作は登場人物の熱さが少年漫画的ではありますが、しかし、キャラ達がみんな背景を持っていて、正義・悪というのが相対化されているのが特徴だと思います。病気や家族の不幸などの過去がきちんと描かれていました。
キャラが描けて物語があるので、ジャンプ漫画としては珍しく強さのインフレがありません。必殺技うんうんなどどこにもありません。ジャンプなのにジャンプ的でない、極めて優れたストーリーとキャラ造形でした。
そして戦いや設定はもちろん少年漫画の部分もありますが、しかし、ホムンクルスや核(名前忘れました。心臓の変りの奴)という単純だけど、錬金術と上手く絡めた設定でここまで奥深いストーリーが展開できたのは素晴らしい。
初めの数話がちょっとテンプレっぽい雰囲気なのが惜しいですね。パピヨンのキャラが見えてくると面白くなってきます。
今調べると、当時は打ち切りだったみたいですね。しかし、単行本10巻で終わっているのがかえって良かったのでしょう。最終決戦とその後の展開まで、テンポよくそして納得の行く結論が描かれました。
本作、アニメについては当時は人気だったみたいなので隠れた名作とは言えないかもしれませんが、埋没しそうな感じがあります。特に「るろうに剣心」好きな人、あるいはジャンプらしからぬ登場人物の背景を描いた「鬼滅の刃」にもちょっと通じますので、そのあたりが好きな人には向くかもしれません。
今アニメは私の入っているサブスクには無いみたいなので、動画サイトなどで名シーンなど確認しながら思い出して書いていますので、コミックスとごっちゃになっている可能性はありますが、しかし、アニメ版はほぼ遜色なくコミックスを2クールで描き切っていました。
あと、作画なんですけど、狭義の作画技術についてはそれほど今より優れているといは思いません。が、背景美術とか登場人物の陰影とか線の数ですね。あとは着彩の深みですね。こういうところはいいですね。がっつりアニメを見ている満足感があります。
少年ジャンプなのでちょっと子供っぽいところはありますが、しかし、ストーリー世界の奥行は侮れないと思います。