ようす さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
陰謀に陥ったかのように辛いことばかり…だけど、捨てたもんじゃないはず。そんな世界に、ようこそ!
NHKは「日本引きこもり協会」のことで、
テレビ放送とは無関係です。
アニメ版ではその違いを表現するための配慮として
「N・H・K」と表記しているのですね。
原作の小説は全1巻、
小説を基にした漫画は全8巻、
アニメは小説版と漫画版のエピソードを
織り交ぜたものとなっているようです。
(私はどちらも未読です。)
全24話です。
● ストーリー
佐藤達広(さとう たつひろ)、22歳。
引きこもりとなって大学を中退し、引きこもり歴は4年。
ある日、宗教の勧誘で家を訪れた中年の婦人。
その婦人に付き添っていた美少女のことが気になった。
彼女の名は、中原岬(なかはら みさき)。
岬は佐藤をプロジェクトへ誘う。
そのプロジェクトとは、
引きこもりから脱出させるというものだった。
佐藤は自分は引きこもりではないと見栄を張って嘘をつく。
その嘘を現実にするべく、後輩の山崎薫(やまざき かおる)と共にギャルゲー作りを始める。
引きこもり&ニート。
生活は家族からの仕送りで。
そんな青年が主人公の作品です。
初めは引きこもりが美少女の前で見栄を張って嘘をついて、
見苦しいなと思ってあまり好きになれませんでした。
だけど、こんなダメ人間だから出会う人生の恐怖は、
この作品だから見れた景色であったように思います。
自殺、ネットゲーム廃人、マルチ商法、引きこもり。
佐藤はどれも足を踏み入れるけど、
深く入り過ぎる前の、引き返せる位置にいます。
深く入りすぎた人たちと出会うことで、
その恐ろしさを感じることができる。
これは、そういう作品なのだと、
中盤あたりから思うようになりました。
佐藤は、安定した人生からは外れてしまってるけど、
人としての道までは踏み外してない。…と思う。笑
佐藤の目線を通して「ここに踏み込み、引き返せなくなるとこうなるよ」と恐ろしさを警告しているように感じました。
人生の負を描いて正を示す。
そんな作品なのかな。
《 生きづらさ 》
佐藤に関わる人はみな、
生きづらさを感じている。
引きこもりである佐藤が人生に苦しんでいるのはもちろんだけれど、
オタクの後輩・山崎は専門学校のクラスメイトとうまくいっていないし、
美人で優秀な高校の先輩は、職場では疎まれ…。
生きづらい人間って、
どうしてこんなに生きることがしんどいんだろうな。
考えすぎなのか、合わないのか。
人によって程度の差はあれど、
誰でも何かしらの生きづらさは感じているものだと思います。
私も感じているし、私の周りにも感じている人がいる。
苦しんでいる人がいる。
時代は移り変わっても、
人の悩みや有り様は変わらないものなのかもしれない。
だからこの作品も、アニメは2006年の作品のため描写は古いけれど、内容はいつの時代にも通じるでしょう。
生きづらさや悩みを抱えていて、この作品に救われる。
そんな人もいるかもしれませんね。
《 陰謀説 》
佐藤は、自分が引きこもりであることなど、うまくいかないことは「NHK(日本引きこもり協会)の陰謀だ!」としています。
責任転嫁してないで、現実とちゃんと向き合わないと変わらないよ…と初めの頃は思っていましたが、
時にはこんなふうに、
存在しない何かのせいにすることもいいのかもしれない。
何か他のもののせいにすれば、
肩の荷が降りて楽に生きれるかもしれない。笑
真面目に悩みすぎたらいけないし。
「NHK」は略称のため、「日本引きこもり協会」やら「日本変人協会」やらいろんなとらえ方で広げられるのですが、それをうまく活用した最終話のオチはうまいなと思いました。
タイトル回収、お見事でした^^
● 音楽
【 OP「パズル」/ ROUND TABLE feat. Nino 】
曲はさわやかで好きでした♪
【 前半ED「踊る赤ちゃん人間」/ 大槻ケンヂと橘高文彦 】
【 後半ED「もどかしい世界の上で」/ 牧野由依(作中では、岬役) 】
前半EDが私には合わなくて…苦手でした。
普段はOPとEDを絶対に飛ばさないのですが、
この曲は飛ばそうか悩んだぐらい。笑
なので、後半EDに救われました。
前半EDとはびっくりするぐらい真逆の曲。笑
私はこちらのほうが断然好きでした。
まるで岬が歌っているかのよう…。
● まとめ
初めはあまり好きじゃないかも…と思っていましたが、
全体的な内容は悪くなかったです。
生きるのって大変だよね。
みんな、大変なんだよ。
うまくいかなくて、だめで、
何度もどん底を見そうになっている佐藤を見て、
自分を重ねるのか、自分も頑張ろうと思うのか、
何かしら感じるものがあれば、勇気がもらえると思います。
普通に生きることが、
それだけで幸せなはず。
その普通を感じ取ることが、
意外と難しいんだけど。
普通を感じられるように、そこにある幸せに気付けるように、
生きていきたいなと思いました。
少し古いので好みは分かれるかもしれませんが、
名作と呼ばれるのも納得の作品でした^^