yuugetu さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
この作品を見るのに大切なのは読み取ろうとする努力、そして想像力
アニメミライ2015の作品のひとつです。
これまでアニメミライの存在は知っていましたが、真剣に見たのは初めてです。(キャッチしてる方のレビューで気になったので…笑)
すべてが未来的に美しく整えられ、動植物すら機械化された街で、本物のチューリップを巡って展開するクミという名の女の子の物語。
{netabare}
どちらかというと子供向けのシンプルなストーリーではありますが、かつては理想とされた未来都市像と自然物の共生、おじいさんからクミへ受け継がれる心、子どもの持つエネルギーと、読み取ろうとすればいくつものテーマが見て取れます。
この作品で珍しいのは、セリフは一切なく、キャスティング自体されていないということ。
そのため、絵(演出、表情、動きなど)からストーリーを読み取る集中力が必要になります。
この手法、私はとても好きです。セリフが状況や心理の説明になってしまっているアニメが時々ありますが、常々良くないと思っているクチなので。
ストーリーもキャラクターの心理も絵を真剣に見ないとわからない、というのは挑戦でもありますが、この媒体ではある意味正しいアプローチです。音もセリフも大切だけれど、アニメーションは映像作品なのですから。
最初は、セリフなしは好きなんだけど、息遣い、笑い声、悲鳴、泣き声などはあったほうがいいな、と思っていましたが、最後まで見ていて、ああ、なくて良かったのかも、とも思いました。
というのは、演じる声優さんの名前が浮かばない、声優さんの他のキャラクターのイメージを引きずることがないからです。
一人の声優さんが色んなキャラクターを演じているのを知って驚くのも楽しいけれど…声も視聴者のイメージで良い。キャストの経歴や容姿は一切浮かばない。そういうアニメもあっていいと思うんですよね。
クリエイターの方の挑戦が見られるアニメは見ていて楽しいです。
…ふと思ったことですけど、この世界、すべてが機械化されているのはけして悪いこととして描かれてはいないと思います。
それでも、エネルギーを持て余す子どもたちにとっては、この街は少々窮屈なのでしょうね。仲間と一緒にチューリップを育てるのは、健全にエネルギーが向かう先だったということかもしれません。 {/netabare}
(2016.3)